「患者さんのために我慢しなさい」は危険だった
暴言を受けた看護師の生産性は最大50%低下する
結論
患者さんや家族からの暴言。
実はこれ、看護師の気持ちを傷つけるだけではありません。
研究によると、
つまり、看護師への暴言は、巡り巡って患者さん自身の安全にも影響するかもしれないのです。
看護師への暴言は珍しいことではない
「患者さんから怒鳴られた」「理不尽なクレームを受けた」そんな経験はありませんか?
実は世界中の研究で、看護師に対する暴言や暴力は非常に高い頻度で起きていることが分かっています。
ある調査では、救急外来で発生する暴言の多くが患者や家族からのものでした。
また、精神科病棟ではほぼすべての看護師が暴言を経験していたという報告もあります。
本当に怖いのはその後
多くの人は、「嫌な思いをしたね」で終わる話だと思っています。
しかし研究者たちは、もっと深刻な問題を指摘しています。
暴言や暴力を受けると、看護師の
集中力 ・ 判断力 ・ 注意力
が低下するのです。
想像してみてください。
強いストレスを受けた直後に、複雑な点滴計算や観察が必要な患者さんを受け持つ状況を。
誰だって本来のパフォーマンスを発揮することは難しくなります。
生産性は最大50%低下・長期化する
さらに驚くべきことに、暴力被害を受けた医療従事者は、その後6〜18週間にわたり、生産性が最大50%低下すると報告されています。
しかも、精神的なダメージは長期間残ることがあります。
つまり、暴言はその場だけの問題ではないのです。
なぜ看護師は我慢してしまうのか
ここが看護師特有の問題かもしれません。
多くの看護師は、「患者さんも不安なんだ」「病気だから仕方ない」「これも仕事だから」と考えます。
そして誰にも相談せず、一人で抱え込んでしまいます。
しかし、我慢し続けた結果、傷つくのは看護師自身だけではありません。
その影響はチームや患者さんにも広がっていきます。
看護師を守ることは患者を守ること
私はこの研究を読んで、患者ファーストの前に「看護師の安全」が必要だと感じました。
看護師が安心して働ける環境があるからこそ、質の高い看護が提供できます。
看護師が傷つけば、患者さんも守れなくなる。
この視点はもっと知られるべきではないでしょうか。
まとめ
✅ 看護師への暴言・暴力の多くは患者や家族から起きている ✅暴言は看護師の集中力や判断力を低下させる
✅ 生産性は最大50%低下する可能性がある
✅ 看護師を守ることは患者を守ることにつながる
もしあなたが暴言を受けて苦しんでいるなら、それは「気にしすぎ」ではありません。
研究が示しているように、暴言は確実に人の心とパフォーマンスを傷つける問題なのです。
参考文献
- The Impact of Patient Assaults and Aggressive Behaviors on Nursing Personnel's Stress, Well-being, and Intention to Leave Post–COVID-19 Pandemic. Journal of Nursing Administration. 2024.
- The Association Between Workplace Violence and Psychological Distress Among Nurses Working in Psychiatric Hospitals in Jordan. Journal of Psychosocial Nursing and Mental Health Services. 2024.
- Perception of Workplace Violence in the Emergency Department. Journal of Emergencies, Trauma and Shock. 2019.
- I do not even tell my partner: Nurses' perceptions of verbal and physical violence against nurses working in a regional Hospital. Journal of Clinical Nursing. 2020.
- Exploring National Trends and Organizational Predictors of Violence and Mistreatment From Patients and Visitors. Journal of Healthcare Management. 2023.
