前回、ナイチンゲールの「環境を整えることで患者の生命力を高める」という看護観を振り返りました。今回は、看護理論家ヴァージニア・ヘンダーソンの考え方に焦点を当て、看護の本質についてさらに深く考えてみたいと思います。
ヴァージニア・ヘンダーソンとは?
ヴァージニア・ヘンダーソン(Virginia Avenel Henderson、1897年11月30日 - 1996年3月19日)は、アメリカの看護師、看護研究者であり、看護理論家です。
彼女は、看護教育の指導者として、フローレンス・ナイチンゲールに次いで世界でその名を知られています。
ヘンダーソンは、1918年にアメリカ陸軍看護学校に入学し、1921年に卒業。その後、コロンビア大学ティーチャーズカレッジで看護教育を学び、1934年に修士号を取得しました。
彼女は、看護の独自性と専門性を強調し、看護理論の発展に大きく貢献しました。
ヘンダーソンの看護の定義
ヘンダーソンは、看護の独自の機能を次のように定義しています。
「看護師の独自の機能は、病人であれ健康人であれ各人が、健康あるいは健康の回復(あるいは平和な死)に資するような行動をするのを援助することである。その人が必要なだけの体力と意志力と知識を持っていれば、これらの行動は他者の援助を得なくても可能であろう。この援助は、その人ができるだけ早く自立できるように仕向けるやり方で行う。」
つまり、
看護とは、患者が日常生活を営んだり、医師の指示した治療法を実施する上で欠如している知識、意志、体力を補足することによって患者を助けること
だと考えられます。
14の基本的ニード
ヘンダーソンは、看護の実践において、患者の基本的欲求を満たすことが重要であるとし、以下の14の基本的ニードを提唱しました。
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正常に呼吸する
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適切に飲食する
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身体の老廃物を排泄する
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移動し、好ましい姿勢を保持する
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眠り、休息する
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適当な衣類を選び、着たり脱いだりする
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衣類の調節と環境の調整により、体温を正常範囲に保持する
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身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
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環境の危険因子を避け、また、他者を傷害しない
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他者とのコミュニケーションを持ち、情動、ニード、恐怖、意見などを表出する
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自分の信仰に従って礼拝する
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達成感のあるような形で仕事をする
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遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
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「正常」発達および健康を導くような学習、発見をする。あるいは好奇心を満足させる
これらのニードは、患者が自立して生活するために必要な基本的欲求であり、看護師はこれらを満たすための援助を行うことが求められます。
現場での気づきと反省
私自身、看護師として働く中で、患者のニードを十分に把握せず、必要以上に手助けをしてしまうことがあります。特に、忙しさに追われる日々の中で、患者一人ひとりの能力やニードを見落としてしまいがちです。
ヘンダーソンの理論を振り返ることで、看護の本質を再認識し、患者の自立を支援することの重要性を改めて感じました。看護師は、患者のニードを的確に把握し、適切な援助を行うことで、患者の自立を促進する役割を担っているのです。
おわりに
ヘンダーソンの看護理論は、看護の独自性と専門性を明確にし、患者の自立を支援することの重要性を示しています。現代の看護においても、彼女の理論は色褪せることなく、私たち看護師にとって大切な指針となっています。
次回は、また別の視点から「看護の定義」に迫っていきたいと思います。どうぞお楽しみに!




