幼少期から中学生まで私は米農家の祖父母の家で暮らしていたので
時代と地域が違うとはいえ、この本に出てくる農家間の空気が
少し理解できる
私の祖母は近所の農家の奥さんが訪ねてきても
余計なことは言わずおとなしくおとなしく話の聞き役に徹していた
よその家のささいな一言に尾ひれがついて近所中の噂になるのが
小さな私にも伝わってくることが度々あった
話はそれるけど私がまだ3~4才の頃だからもう50年以上前か?
(ひえー、自分の年齢が怖い)
その頃の子供たちは(私も含め)その家に子供がいようがいまいが
勝手に訪ねて歩いて番犬と遊んだり人がいたら話しかけたり
かなり自由だった
訪ねる家のひとつに北海道には珍しい家に縁側がある大きな農家があって
白髪で着物を着たいわゆる大婆様という呼び名がぴったりの
ご婦人がいらした
当時であの風貌だったのでたぶん明治の初めころの生まれだったと思われる
天気のいい日は縁側に座り私たちに色々話しかけてくれた
会話の記憶はもうないけど
私に向かって「ぼう、ぼう」と呼びかけたのだけは覚えている
「ぼうじゃないよ」と何度言っても「ぼう、ぼう」…
あのご婦人も壮絶な開拓期の困難を乗り越えてきたんだろうなあ
その当時のお話を今となっては聞けないのがもったいない…
話が大きくそれたけど
この本は辛いです…
かなり精神持ってかれる感じ
それでも
「年のせいで目が見えない、記憶力がない、読解力がない」と
思い込んでいた私が半日で読み終えました
救いは息子の雄介
めでたしめでたしではないけど
悲劇ではない
「肉弾」以来2冊目の河﨑秋子作品
次の作品はどれにしよう