東日本大震災の直後、僕は人生で一番辛い別れを経験した。
彼らは亡くなったわけではない。
いろいろあって彼らを遠くの親戚に預かってもらった。
僕は、そのとき、辛いはずなのに涙が出なかった。
いろいろな出来事が重なり過ぎて、精神状態も普通ではなかった。
僕は彼らが産まれたときからずっと一緒にいたのだ。
涙が出ないことで、僕は余計に悲しくなった。
そのときのことをある人に話すと、その人はこう言った。
「きっと涙もどこかに隠れてるんだよ。」
先日、タンスの中から数年前に使っていた携帯電話が出てきた。
その中には、彼らの写真がたくさん入っていた。
子供が産まれる前だから、彼らの写真しかなかった。
ふいに涙があふれ、止まらなくなった。
君たちは俺の子供なんだ。
今も毎日思い出す。
手に触れた感触と表情。
地震が来るまで毎日一緒に寝てたんだ。
涙は消えてなかった。