流産が確定し、今後について考える猶予をもらった。
不思議と仕事中や旦那がいる時間は普通に過ごせていた。
半ばやけくそだったのかもしれない。
弱みも見せられないし泣き言も言えない。
これ以上心ない対応されて傷つくのが嫌だった。
実際息子の世話や仕事は待ったなしなので、いつも通り動くしかなかった。
でも息子と二人で家にいる時間は、油断すると泣けてきて大変だった。
「ママが泣くと僕も心配で辛い。だから泣かんといてよ。ちゃんと歯磨きもするしご飯も残さへんから」
不安そうな顔で私を見る息子。
意外にも、私に一番寄り添ってくれていたのは当時年中さんの息子だった。
ASDの傾向があり、相手の気持ちや立場を考えるのが苦手なはずの息子。
それなのに、幼いなりに何かを察して私を心配してくれた。
申し訳ないと思う一方的で、この子にも相手を想う心があるんだと安心した。
いよいよ猶予期間も折り返しとなったその日の晩、不思議な夢を見た。
以前書いた不思議な電車と駅、山の頂上から見た絶景、そして可愛いお地蔵さんの夢だった。
普段占いとかスピリチュアルなことは信じていないけど、今もハッキリ覚えているくらい強烈な夢だった。
なぜかは分からないけど、この夢がきっかけで手術を受ける決意が出来た。
手術は怖いしお別れは悲しいことだけど、自分のところに来てくれたこの子をちゃんと見送ろう。今みたいな宙ぶらりんな状況は、いつまでも続けられない。仕事や息子のお世話などやらないといけないこともたくさんある。前に進もう。
寝起きでぼんやりしていたが、冷静に今後について考えられるようになっていた。
翌日、クリニックに電話し、手術してほしいと伝えた。
ただその週の平日は枠が全て埋まっており、土日は手術出来ないとのことだった。
最短で翌週月曜日になると言われたので、その日でお願いしますと伝えた。
これでいい、もう迷わない。
だが、私が手術を受けることは結局なかった。
その数日後の晩、自宅で私は小さな出産をした。
自然排出には違いないけれど、プロセスはまさにお産と同じだった。
大変だったし辛かったけど、何とも神秘的な体験だったと思う。