実はこの映画,
観るつもりはなかったんですが、
間違えてチケット買っちゃたんで、
ついでに観てみたら、結構良かった!。
怪我の功名!。
ある寂れた町に暮らす、
18歳の少年ヨンギュは、
貧しい生活苦に喘ぎながら、
継父の執拗な虐待に苦しんでいた。
ヨンギュは、社会格差の中、
金も無く、街を出る事も出来ず、
犯罪組織に身を委ねるしか、
居場所は無かった。
窃盗に手を染めるヨンギュは、
若さゆえに、組織の中で頭角を現し、
憧れのアニキ、チゴンに認められていく。
一方、裏社会に生きるチゴンは、
ヨンギュの瞳に漂う、人生の絶望に、
過去の自分を重ね、親身に支える。
ところが、悪になりきれないヨンギュに、
裏社会の非常な掟が、無情にも立ちふさがり、
罠にはめられ、憧れの兄貴、チゴンとの情も、
思いもよらぬ結末へと転落する・・。
『このロクでも無い世界』というと、
某、缶コーヒーのCMを思い浮かべます。
先日観た、『密輸1970』と違って、
重い、暗い、救いがない・・。
しょっぱなから、いじめや貧困、
社会格差など、ラストまで貫く、
救いのない絶望感。
その中で、お互い安らぎと絆を繋ぐ、
裏社会のリーダーと新入り。
最近、クァク・キョンテク監督の、
『友へ チング』や、『パラサイト』など、
社会格差や貧困問題といった、
韓国の抱える闇の部分を垣間見る、
”韓国ノワール”の作品て、最近多いです。
ヨンギョが「この街の生まれだ」
と言った瞬間、チゴンが反応し、
「俺もこの街の生まれだ」
というシーン。
”このろくでもない世界”で踠くヨンギョに、
自分の境遇を重ね、自身の悲しすぎる過去、
昔、起きたある事故について、淡々と、
独り言のように語り始めるチゴン。
悲しすぎる!。
ストーリーは、アラがあり過ぎて、
目を背けるイタイ暴力に溢れるものの、
救いのない人生に、
覚悟を決めたヨンギョは、
ますます深みに嵌っていき、
後戻りのできない決断を下す、
あの狂気の演技と表情には、
鬼気迫るものがありました。
広島カープの”荒井監督”に似た、
チゴン役の俳優さんも、
演技が凄く上手い!。
物静かな人物で、ふと目に浮かぶ、
ナイフのような、狂気の表情。
段々、若い頃の”渡哲也”に見えました。
弱い者が、さらに弱いものをいじめ、
権力者が、理不尽な事を平気で行う。
重くて、胸糞悪くて、救いのない、
”このろくでもない世界”でしたが、
最後に、若者達による、希望の光を、
見せてくれたような、気がしました。