観て来ました、この『ミュンヘン』。
1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中に、
パレスチナゲリラ「ブラック・セプテンバー」
(黒い九月)により、イスラエル選手団が襲撃され、
人質となった選手11名は全員殺害された・・。
この襲撃事件に激怒した、世界最強と言われる、
イスラエル秘密情報機関「モサド」は、
「七人の侍」のような、スペシャリスト暗殺チームを編成し、
報復を実行に移す。
まるで、実際にその場で起こったドキュメンタリーを、
間近で見ているような、リアルな描写に、
劇場内は、水を打ったように静まりかえり、
片時も緊張感が途切れず、3時間近い時間、
スクリーンから目が離せませんでした・・。
何が正義で、何が悪なのか、漠然としていて、
手探り状態で、何を信じて、何を頼りにしてよいのか、
怖さと切なさを感じました。
壮絶な報復合戦の末、仲間を喪い、
任務と正義とは別に、感情すら麻痺する最中、
電話で、愛する子供の声を聞いた瞬間、
くしゃくしゃに泣き崩れる主人公のアヴナー。
殺されるパレスチナ人にも、また家族があり、
同随所に人間臭さや、生活感があってリアルでした。
昔、『日本沈没』と言う映画がありましたが、
もし地震で、日本という国が無くなってしまったら、
ユダヤ人と同じ道を歩くのかも知れません・・。
けっして、他人事ではない・・。
ユダヤ人であるスピルバーグ監督が、
イスラエル、パレスチナ寄りでもない、
公平な映画作りをしていることに好感が持てます。
監督: スティーヴン・スピルバーグ
出演: エリック・バナ
ダニエル・クレイグ
マチュー・カソヴィッツ
ジェフリー・ラッシュ
イヴァン・アタル
マチュー・アマルリック
メーレト・ベッカー