今日は3月30日、土曜日である。わたしのようにキリスト教の習慣に無頓着な人間にとっては普通の土曜日だが、世間は復活祭の休暇中。昨日金曜はgood friday、日曜はイースターサンデー、翌月曜はイースターマンデーと4連休になっている人が多いのだ。でも土曜日は特に名前がついていなくて、だから普段土曜日働いている人は今日も働いている。そして図書館も金曜、日曜、月曜は休みなんだが、今日は開館日。ちょうど返却期限だったので本を返すべく、図書館まで散歩に行くことにした。


その本は2週間前の土曜日にドーチェスターの図書館で借りた本だ。その図書館でラテン語の手ほどき的講座が開かれたので、受講してきたのだった。講座は受講者が総勢11人となかなか盛況だった。


なんでラテン語講座を受講しようと思ったか、講師が何人かに尋ねたが、1人は「ガーデンセンターで働いてるんだけど、扱う植物の正式名がラテン語で、意味がわかったらいいなと思い…」という理由だった。そうだね、その人はラテン語がわかれば、もっと仕事に興味が湧くかもしれないね。


そのほか、中高で勉強したので懐かしいと思って、という人もいた。


わたしは、唯一英語が母国語でない受講者だったので、「英語の語彙の多くがラテン語由来だから、ラテン語がわかると英語の理解が高まるのではないかと…」という嘘じゃないけど、すこぶる優等生的な回答をした。本当、英単語の語源を調べると、たまにゲルマン民族由来の単語もあるけど、大抵ラテン語が起源なんだもの。ラテン語を知ってて損はないと思う。


またイタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、いわゆるロマンス語はラテン語が方々に広がって方言化していったものだから、英語以上にラテン語との関係性が強い。ロマンス語を学ぶ際、ラテン語の知識は絶対に役に立つ。とりあえず予定はないけれど。


この手ほどき講座が面白かったので、引き続きラテン語を勉強することにした。無料の語学学習アプリduolingoにもラテン語はある。ドーチェスターの講座は今のところ1回こっきりなんで独学するしかないんである。


で、ドーチェスター図書館で借りた本だが、返却はドーチェスターまで行かなくても、地元プールにある図書館からできる。またオンラインでドーチェスターのみならず、隣の州の図書館からプールの図書館に本を取り寄せてもらうこともできる。しかもうちのすぐそば、徒歩5分ぐらいのところに図書館があるのだ。


日本でそれぐらいの距離に図書館があれば、1度に借りれるだけ借りて読みまくるけど、英語の本は斜め読みでは頭に入ってこず、集中しないといけないし、単語を調べたりして時間もかかるから、1冊で十分。読み終わったらまた別の本を1冊借りようと思う。母国語との差は、もはや絶対埋まらない。それに埋めようとも思わない。若い頃は英語の速読を頑張ったけど、なんかもうそこまでしなくてもいいかな。目も疲れるしさ。


図書館までは徒歩5分の道のりだが、2つ気がついたことがある。


ひとつは、とあるおうちに駐車している車のライトがつけっぱなしだった。知らない人のおうちだけど、このままだとバッテリーが上がってしまうな。それは、自分にも経験があるからわかるけど、すごく気の毒だ…と思ったので、ドアのチャイムを鳴らして教えてあげた。知らない東洋人がドアの前に立ってたら怪訝に思われるかも、という気もちょっとしたが、わたしだったら、誰からでも教えてもらったら嬉しいから。


もうひとつは、



歩道の脇の草むらにつくしがいっぱい生えていること。春の珍味だけど、摘もうとは思わなかった。見ての通りゴミもいっぱい捨てられているし、犬がいろいろひっかけてそうだし、それにそもそもどんな味だったっけ?母はいっぱい煮込んで灰汁を出し、お醤油を絡めてたのかな?つくし、見られただけで十分、気分が上がった。童心と郷愁とああ、春だな、という季節感。


そう、もう春だ。今日の夜、寝ている間に夏時間になる。未明の1時間が無理やり切り取られる。日本との時差は8時間になる。