図書館で借りた「赤毛のアン」を読み終えた。内容は覚えてるし、元々中高生向け読み物なのであまり難しい語彙を使っていないし、するする読めた。

でも斜め読みしたわけではなく、新たな発見もあったよ。

まず冒頭で、アンが初めてアヴォンリーというプリンスエドワード島の(架空の)町に来たのは6月のことで、その時島では桜やリンゴの花が満開だった。その結果アンは一目でアヴォンリーが大好きになった件。

おお、カナダの大西洋岸の島では、6月にならないと春は来ないんだな、イギリスより2、3週間は遅いな。イギリス南部のうちの辺りは、桜やリンゴ、梨の花は5月中旬には満開になるのに。

そう気の毒に思いつつ、プリンスエドワード島の位置を調べてみた。

プリンスエドワード島は赤い円内のエリアである。島だけど、それでひとつの州になっている。今の気温が-8度。寒いね。イギリスの朝はそっちの夜中だからかな?

州都のシャーロットタウンの緯度は北緯46度ちょっと。経度は西経63度ぐらいだ。

え、北緯46度?これをみてちょっと愕然とした。というのもわたしの住んでるプールは、

なんと北緯50度を超えているのである。経度は西経2度ぐらい。ロンドンのグリニッジ天文台より西にあるから、西経、つまり西半球にある。

今の気温は12度とプリンスエドワード島より20度!も高いのに、緯度上はプールの方が北極に近い。

緯度の割にあったかいのは、メキシコ湾流のおかげ。地理で習った通りである。そのせいで木々の開花が2、3週間も早いとは、メキシコ湾流はなんとパワフルなことだ。

念のためメキシコ湾流のルートを調べると、


おお、メキシコ湾流は途中から大西洋を横断し、アイスランドやイギリスの方に向かっている。プリンスエドワード島というかカナダからはそれているんだね。


それから、これはうすうす前から気づいていたことだけど、カナダの学校制度はちょっとうさんくさい件。

アンは地元の学校(小中学校っぽい)を出た後、クィーン学院という学校を首席で卒業し、大学へ行く奨学金をゲットするのだが、育ての親のマシューが急死し、妹のマリラも失明の危機にさらされているということで、進学を断念。地元の自分が卒業した学校の先生となる。

しかーし、アンは16歳でその地元の学校を卒業し、クィーン学院では成績優秀ということで2年の過程を1年で終えている。ということは、17歳になるかならないかで、教員になっているんである。17歳といえば高校生だよね。

しかもその地元の学校は、いろんな理由で休学したり、途中入学したり、生徒の年齢がかなりばらばらである。5、6歳の子供から、例えばアンのライバル、ギルバートは家庭の事情で2年ほど学校に行ってなかったから、アンより2つ上、つまり卒業時は18歳だった。

ほかにもギルバートみたいな人がいれば、17歳の先生が18歳以上の生徒を教えることになる。それってやりにくくないのか?

それにクィーン学院でちゃんと教員免許を取得したとはいえ、1年そこらで何が学べるのか。そもそも高校生が中学生にわかるように教えられるのか?

19世紀末のカナダの中学校でどんな教科が教えられてたのか知らないけど、なんかめちゃくちゃいい加減っぽい。

まあ当時はイギリスや日本だっていい加減だったのかもしれないけどね。日本は明治時代だね。


いい加減といえば、物語の前提の男の子の孤児を引き取るはずが手違いで女の子のアンが来た、というのも、養子縁組の申込書とか承諾書とか書面を交わしとけば起こりえなかったはず。しかも戸籍とかそういうのもなさそう。役場関係も全く出てこない。現在の制度に照らすとかなり疑問だけど、きっと昔のカナダの田舎は手続きとかごくごく緩かったんだな、と流すしかないね。