★★夢の世界に引き込まれる「楽園のカンヴァス」★★ | 西洋アンティークとの生活

★★夢の世界に引き込まれる「楽園のカンヴァス」★★


突然ですが私は、「活字中毒

と言っても過言ではないです(笑)。

常に何か手元に活字がないと落ち着きません。

日々の忙しい生活の中で、ゆっくりと読書をする時間がないのが辛いです。

細切れの読書タイムの毎日ですが、先日とても引き込まれた本に出会いました。

「楽園のカンヴァス  原田マハ著」でした。

最初の物語の舞台は、「大原美術館」から始まっていきます。

大原美術館の創立者の大原孫三郎は、紡績会社で財を築きあげました。

友人であった画家の児島虎次郎の渡欧を支援し、絵画の買付を任せたのです。

虎次郎の審美眼の良さと先見の明により、素晴らしい絵画が集められ、日本屈指の美術館の基礎を築いたのです。

大原美術館の素晴らしい作品の数々を見たことがあるだけに、物語に思わず引き込まれます。

主人公の「織絵」は、大原美術館で監視員として絵画と向き合っています。

ある日突然、彼女がルーソー展開催際の為の交渉窓口となるよう依頼を受けるのです。

世界屈指の美術館MoMA所蔵である、アンリ・ルソー作「夢」を、日本での展覧会で借り受ける為の、交渉窓口という大役です。 

キュレータでもない一介の監視員の彼女がなぜ?

美術館巡りが大好きな私は、もう先を知りたくて寝るのを忘れて読み続けてしまったのです。

1983年に時が遡り、もう一人の主人公の「ティム」の物語がニューヨークで始まります。

MoMAで、キュレーターの助手として働く彼はひょんなことからボスに内緒でボスの代わりにバーゼルに行くことになります。

大富豪でありコレクターのバイラー邸を訪ねると、そこには「織江」がいたのです。

「織江」と「ティム」の主人公が、ルソー作と思われる絵画の真贋を鑑定することになるのです。

果たしてルソーの絵は本物か偽物か?

織絵とティムの関係は?

現在と過去が複雑に交錯しながら、最後にすべてが解き明かされて未来へとつながります。

絵画鑑賞が大好きなので、すっかり物語の中に入り込み一気に全部読んでしまいました。

中でも、2つの文章に心激しく揺さぶられました。

「アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ。」

「画家の目が、この世の生きとし生けるもの、自然の神秘と人の営みの奇跡をみつめ続けたからこそ、あんなにもすなおで美しい生命や風景の数々が、画布の上に描かれ得たのだ。唯一無二の楽園として。」

私自身、ここ数年お仕事の合間を縫って、イタリア、ドイツ、イギリス、フランス、ベルギーの美術館を訪ね歩きました。

数々の名画を、好きなだけ眺めるという贅沢な時間は、私にとって心の糧であり至福の時、そして大切な心の財産です。

絵画を眺める時、一気に絵画の中に引き込まれ過去と現在を旅しているような気持になるのです。

あの素晴らしい瞬間をこの2つの文章が的確に表現されているように感じました。

作者の原田マハ氏は、MoMAで働いた経歴の持ち主です。

なるほど、だからこの文章を書けるのだなぁ。。と納得しました。

次回ロンドンに行ったら、久しぶりにナショナルギャラリーに行きたくなりました!

楽しい読書時間で大満足でしたが、次の日は眠くて辛かったぁ~(笑)



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