気になる言葉「奇妙な正義感」 | 坐韻通信

気になる言葉「奇妙な正義感」

若い頃読んだ加藤周一の「羊の歌」を読み直していて、ハッと胸を突かれた。 加藤さんのようなお坊ちゃんではない貧乏人の息子だったが、その一点を除けば、幼い自分そのままがそこにいた。

 私は育った、病弱で、しつけよく、人の愛情に敏感で、奇妙な正義感にあふれ、他人とのつき合い方を全く知らず、自尊心が強くて、おそらく可愛気のない子供として私は出発しようとしていた。

                               「羊の歌」加藤周一



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