「エリザベス1世のメダリオン」
「おまえの好きなスタイルのサイドテーブル。それも18世紀のものだぜ」
と、得意気に。
「それはそうだけど、ビクトリア時代のこのカービング(彫刻)はいただけないな。 タトゥーみたいで」と僕は答えました。
「でも、おまえも知っての通り、その分安くしてあるじゃあないか。 それに、日本人は深彫のカービング、特に人物像は好きじゃあないか」、彼はニヤリと笑いました。
たしかに、彼の言う通りです。 日本でも西の方は、オーク材の深い彫りものを好 む人が多いのも事実です。 そして、よくよく全体のプロポーションをながめると、17 10~1740年ころに出てきたローボーイ、もしくはサイドテーブルと同じ美しいスタイルです。
僕は彼に “OK” のサインを出しました。
この時代、この家具のようにオークでできたものの中に、ねじりやボビンのターニングの脚とは別に、カブリオーレの脚を持つものと、このようにわずかにテーパードして足元(フット)がパッド(肉はん)になったものがあります。 濃い目の着色で、とてもスタイリッシュです。
そして、この時代、もしくは17世紀の家具にビクトリア時代中ごろ以降に彫りものを加えたものがよく見られます。
これもその手だと思います。
そして天板のメダリオン。 恐らくエリザベス1世かと思います。 素朴な描き方は16世紀風をまねています。
ワックスを入れ、締め付けをして使っています。 花台として。 なかなかいい味がします。
このテーブルのいのちは脚の線にあると思いますが、いかがでしょう。
アンティークス坐韻 店主 www.antiques-sein.com