我が家は40半ばの夫と、40半ばに片足を踏み込んだ妻(私)の二人暮らしですが、
年齢の割には古いものに囲まれた生活しているように思います。

新しいものは、時代に合った使いやすさだったり、その時代を反映させたデザインがあって魅力的なのですが、
古いものは温もりや質の良さがまた格別です。

食器に限って言えば、私は必要なものや欲しいものがある時はまず両方の実家に話す(聞く)ようにしています。
そしてそれが両親が日常的に使っていない(手放してもいいもの)だったら譲り受けて使わせて貰います。

例えば小降りのグラスが欲しかった時に実家の母に聞いてみると、今は亡き母方の祖母が結婚した頃に買ったというスミレのグラスを見せてくれました。
「あなたが使ってあげたら、ばあばも喜ぶわね」と譲り受け、今となっては夫の大のお気に入りグラスになっています。

またある時は
「調理にも盛り付けにも使えるボウルのような深い器が欲しいのだけど」と聞くと

「お母さんには重くてもう何年も使っていないのよ」とオールドパイレックスのボウルセットが出てきました。
ウッドランド・シリーズなので、50年ほど前のものでしょうか。
確かに重いのですが、使いやすくて可愛くて気に入っています。

「グラタンやラザニアに使えそうな耐熱の食器ある?」と聞いた時には
グラスベイクのラウンドキャセロールを譲り受けて我が家に仲間入り。(これはグリーンデイジー・シリーズです)
昔々、父のアメリカ駐在でロスで暮らしていたので、実家にはアメリカの古いものが多いように思います。

姫路の義母には
「両手で包み込むような大振りのお湯呑み茶碗が欲しい」という話をしたら
「古い萩焼きは嫌い?」と、こちらを見せてくれました。
実はこの萩焼きのお湯呑み茶碗は、義父母の結婚当時に義母のお父様(つまり夫の祖父)が、義父のお父様(こちらも夫の祖父)に贈ったものだそうです。
両方のお爺様は夫が子供の頃に亡くなっているので今となっては義実家にとってとても大切なものだと思うのですが
「(義実家の)蔵で誰にも使われずに仕舞われているのも可哀想だから是非使ってあげて」
と譲って下さいました。
今は私の宝物です。

と、これはごく一部ですが、こんな風に我が家には愛すべき「古いもの」が沢山あります。

誰に押し付けるつもりもありませんが、新しい品物を揃える幸せと並んで
昔からあるものを今度は自分の手で大切にさせてもらう幸せもあることを
今の若い人にちょっとだけ知って欲しいななんて思います。