3週連続の日仏学院の授業に加えてプティ・セナクルの修学旅行プレクラスを終えたら流石にヘロヘロで、

先週1週間はプチバカンスを決め込んで、ずっと出来ていなかったことをしました。

ずっと行きたいと思っていた生徒さんの展示会に伺ったり、

懇意にさせていただいている編集者さんのギャラリーを訪れたり。

美しいものをたくさん拝見して目と心の保養をさせていただいただけでなく、

普段、あまり行ったことがない場所にも行けたので

とてもリフレッシュしました。

また、意欲的にお仕事に打ち込んでいらっしゃる姿を拝見して、「私も頑張らなくちゃ」と刺激を受けました。

 

凍えるような寒い昨日は、何年かご無沙汰していた表千家泉会のお茶会にも伺いました。

これまた踊る茶人で、一緒にサルサを習っていた女性が艶やかな着物姿でお迎えしてくれました。

黄葉散る茶道会館のこの日のためにしつらえたお茶室で、

素晴らしいお道具で点てた美味しいお茶をいただきました。

富山の和菓子「おわら玉天」。フワッフワで美味しくて、帰宅後、早々にオーダーしてしまいました。

次回の中川真貴先生の「美人の条件」講座では、こちらをみなさんに味わっていただく予定です。

 

そんななかで、気になっていた展覧会「ゴホと静物画〜伝統と革新へ」を鑑賞するために

新宿のSOMPO美術館に行ってきました。

 

やはりゴッホは人気で、会場は大混雑。

でも、ゴッホがこんな華やかな絵を描いていたのだという大発見がありました。

1886年2月にから移り住んだパリで描かれたという、ルドンを思わせる鮮やかな花々の絵が素敵でした。

彼は花の絵を描くことで色彩の研究をしていたそうです。

また、花の絵はいつの時代も人気で、

「自分の絵を買ってもらえるかも」という密かな下心もあったようです。(残念ながら販売には至りませんでした)

 

 

ゴッホの故郷はオランダです。

17世紀、プロテスタントの国オランダでは、それまでの大型の宗教画に変わって静物画が人気でした。

「メメントモリ」と呼ばれる、テーブルの端で落ちそうな懐中時計や食べ頃を過ぎ、熟れきった果物が「人間の繁栄」の後にある

人生の斜陽を象徴する作品。

ゴッホもそんな絵から影響を受け、自らの力量を試すように静物画を描き始めました。

 

また、ゴッホのひまわりに影響を受けた画家たちの作品も見応えがありました。

ゴッホが亡き後、義理の妹ヨハンナから「ひまわり」を借りて描いたという

イサーク・イスラエルスの「「ひまわり」の横で本を読む女性」は、

内面の苦悩を抱えながらも、真摯に絵と向き合ったゴッホの荒々しいタッチとは相反する

静かで穏やかな印象の作品です。

私の好きな北の国の静けさが感じられる一枚です。

 

そしてまた、ゴッホが蚤の市で中古を安く手に入れ、パリの街を歩いて履き潰したという「靴」は、悲哀に満ちた作品でした。

静物画の歴史を追いながら、

ゴッホと同時期の作家を知り、

南仏の太陽でさえ心を照らすことがなかった

彼の人生を深く想う、そんな素晴らしい展覧会だったと思います。

 

2024年1月12日金曜日14時〜16時にプティ・セナクルでは対面&ズームで

名画に詳しい伝統版画家の西岡先生と私の「恋と名画とアンティーク〜美女たちのアール・ド・ヴィーヴル」を開催します。

ロココ時代からジョセフィーヌまで、歴史的な美女も愛した「花」と「花」のモチーフのアンティーク、そして、画家にとっての「花」を先生と語り合いたいと思っています。

みなさんのご参加をお待ちしています。