高田郁さんの「あきない世傳 金と銀」シリーズの

特別巻の下を読み終わりました。

 

 

菊栄と惣次のなんともいえない距離感、改心した忠兵衛に続き結も心を入れ替えたり、

6代目智ぼんの忘れ形見を登場させる、など最後まで楽しませてくれます。

お竹も治兵衛も歳をとっても存在感ありで良かった。

 

最後まで読むと、これでホントに終了することがわかります。

「のちの世に伝えるもの・・・世傳」

  代々に亘って伝えていく 商い世傳  となり

    川の流れのように商いを続けていく

 というこのシリーズのタイトルの意味につながって終わります。

 

このシリーズを読んで、いろいろな言葉が出てきて勉強になりました。

撞木や簪(かんざし)は知ってましたが、

女衆(おなごし)、お仕着せ(よく使いますが)、型彫師、小紋染め、笄(こうがい)、

などたくさんありました。もう忘れてしまったのもあり(笑)。

 

丁稚や女衆には”どん”をつけて、丁稚から手代、番頭と出世していく商人の時代。

江戸時代の徒弟制度や商売とはどんなものか教えてくれる小説でもあります。

 

話はとびますが、すいぶん前(60年以上前)に、テレビで

「番頭はんと丁稚どん」というのをやっていたのを思い出しました。

大阪が舞台で、大村崑さんが丁稚で芝居するドタバタの話でした。

内容は忘れましたが、まさにタイトル通り番頭と丁稚の世界だったような。

 

そして、自分が少し前まで仕事をしていた秋葉原は、

丁稚とまではいかないまでも徒弟制度が残る町でもありました。

新人は店の前の掃除から始まり、徐々に昇進していく制度、

正月は神田明神への参拝と近所の商店街への挨拶周り(ふるまい酒)、

江戸弁を話す近所の人たちなど、江戸の町の名残りを感じるところでした。

 

「あきない世傳 金と銀」は、2016年に読み始めて8年近く楽しませてもらいました。