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ラビットスクーター A壱号”が動くようになってから、オリジナルの鍵をもし、無くしたらと心配するようになった。

そこで、デパートの中にある。靴の修理や鍵を作っている店に”ラビットスクーター A壱号”の鍵を持って行き、合鍵の作製を依頼した。

ところが、渡した鍵を見るなり、中年の店員は、「これ、何の鍵?」と不思議そうな顔をした。

「バイクの鍵ですけど」と答えた私に「古い鍵だからうちでは作れない。」とあっさり言われてしまった。

そこで、古い鍵なら、と古い金物屋に持って行った。暗い店内の奥からおばあちゃんが出てきて、鍵を見るなり、「ちょっと待ってて。」と言って店の奥に消えた。
さすが下町!と思って待っていたところ、おばあちゃんが、「ちょっと前まであったんだけどねぇ・・・在庫が無くなってしまったみたい。」と言って鍵を返した。いったいちょっと前って何年前なんだか・・・

それから、町で見かけた鍵屋に手当たり次第、お願いしたが、どこも断られたしまった。

いくら古いバイクの鍵だからと言っても、合鍵の作成なんて、どこでも出来ると思っていたので、正直ショックだった。

しばらくして、合鍵の作成をもう諦めていたある日、渋谷の”東急ハンズ”に探し物に出かけた。

探し物と言っても、私の場合、商品が決まっている訳では無く、こんな材質で、こんな形のこのくらいの大きさの物があれば良いなとあても無く探しに行くのです。

いつものように頭の中に描いた物を探していたところ、”東急ハンズ”の中に鍵屋を見つけた。

ちょうど”ラビットスクーター A壱号”で来ていたので、駄目もとで合鍵の作成をお願いした。

初老の親父さんに鍵を渡したところ、いつもどおりの「これは何の鍵ですか?」という質問が帰ってきた。「古いバイクの鍵なんです。」と諦めて鍵を受け取ろうとした時、「少しお時間を頂けますか?何とかなるかも知れません。」と言うではないですか。

え?っと思いましたが、どうせ駄目もとなので、親父さんを信じてお願いすることにしました。

その後、小一時間ほど、商品を見て回りましたが、親父さんの言葉と鍵のことが気になってほとんど目に入りませんでした。

しばらくして放送で、私の名前が呼ばれました。どうやら鍵が出来上がったようです。

一目散に階段を駆け上がり、親父さんのもとへ、

すると親父さんは、満足そうな顔で、不恰好な鍵を差し出して「一番溝が近い鍵を加工して作ったので、もし開かなかったら、持ってきてください。お金を返します。」と言って渡してくれました。後には、最初はいなかった若い店員も同じ顔をしていました。

その鍵は、不恰好でしたが、メッキの部分が剥がれているところは、全て加工がされていました。そして”東急ハンズ”の刻印が無言でこの鍵への自信を物語っていました。

金額も、私が待っていた時間を考えると、親父さんの時給分も行かないくらいの金額でした。想像ですが、若い店員と共同で、何度も試行錯誤をして作り上げたんだと思いました。

嬉しくなって、これまで、どこの店でも合鍵を作ってくれなかったことを話し、「ありがとう。」と精一杯のお礼を言って今度は階段を駆け下りました。

”東急ハンズ”前のハーレーのお店の前に待たせている”ラビットスクーター A壱号”もとに飛んで行き、早速作ったばかりの不恰好な鍵を差し込みました。

そしてゆっくり捻ると・・・なんとも自然にスムーズに回りました。もちろんエンジンもかかりました。

”東急ハンズ”には、鍵の職人がいたのです。

それから、この不恰好な鍵が、オリジナルの鍵同様に私の宝物になったのでした。