「ドイツ人は嫌いだ」とドイツに住む多くの外人は云う。 私も「ドイツは好きですか?」と良く聞かれる。 日本人でも外人に向って「日本は如何ですか?」と聞いている人を良く見かける。 海外旅行をしている時に「この国は如何ですか?」と聞かれると、興味が有って来た国だから躊躇なしに「好きです」と答えると思う。 私も当初はドイツの事を聞かれたら、「良い国ですね」と答えた。 最近は違う、「私の故郷は日本にあり、故郷は変えられない」と答えてしまう。 ドイツと云う国は、ドイツに行った事がない日本人でも、ドイツと云う国をどう思うかと質問されたら、勤勉・実直で優れた国と答えると思う。 私もそうだった。 その原因の一つが、日本の日常生活の中で優れた医学や物理学者の名前は聞かされて知っている事が多いし、学校では音楽教室にはベートーベンを初め多くの音楽家の写真が飾られている。 授業時間の関係で、現代史は習わらないので、20世紀のドイツの非人間的にユダヤ人を集団虐殺したホロコーストの事は授業には出て来ない。
更にドイツ人を間違って理解する理由に、駐在等で短期にドイツにいた人は、帰国後、人前でドイツの話をする時に、自分に羨望を聞き手に持たせたいのか、自分がドイツに住んだ経験を美化して話す。 それは、他人が行った事がない処に旅行をした事を自慢げに話す行為に似ている。
1990年少し前だったか、民放が日本の評論家をデユッセルドルフに連れて来て、講演会を開いた事があった。 ドイツを褒め称え、日本は見習うべきとまくしたてた。 遊興施設をどんどん建てて、ドイツ人の様に休暇を楽しめと云うのだった。 私は異議を唱えた。 確かに日本人はドイツ人より、時間を見れば、働き過ぎの様に見える。 反面ドイツは社会福祉の行き過ぎが、人間のモラルを損なって来ているのも事実だ。 ドイツの負の点を私が日本人で話しても、聞いて呉れる人は数に限りがある。 テレビを通して国民に話す機会が多い評論家は、良い事は確かに伝えても良いが、同時に悪い面が生じている事を併せて話ないと、国民を間違った方向に仕向ける恐れがあると。 バブルがはじけた後は、メディヤは「遊べや遊べ」という紙面がすっかりなくなった。 日本の各地の地方自治体が奨励金をもらって創った施設が地方の財政を圧迫している。 ドイツを初め、欧米を美化した情報が多く流れた所為と思う。
評価は、其の人間が育った環境で違いがあるのは当然だ。 ドイツの常識が日本では非常識な点はある。 しかし、人間としての基本的常識は大体同じであるはず。 事実、私も良い経験もした。 「はじめに」に書いた様に、此処では、良い面は他の人に云ってもらう事とし、私は、どちらかと云えば、ネガチブな面を書いて、日本人の、対ドイツ人に対する考え方のバランスを取りたい。
