望郷 / Pépé le Moko | 屋根裏のコンセント

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 こうしてアンチエは、
  昼はロードバイクで和歌山県の観光地やグルメスポットを訪れ、
   夜は酒を片手に映画を鑑賞して、
    夜中にひっそりとブログを更新する生活を送ることにした。

映画『望郷』を観た。

なんと1937年作の映画です。
もうすぐ80歳! うーん、スゴイ…!
主人公のペペを演じるジャン・ギャバンも知っているのは名前だけで、その顔を拝見するのも初めて。
それと驚いたのは、この時代、すでにサイレント映画じゃなかったんだという事。

内容としては、マァそれほど面白いものではありません。
そもそもこの時代の映画で、いま観て“面白い!”と思える映画は少ないと思います。
その後の映画製作に影響を与えた表現を顧みて、部分的に“望郷”的喜びを感じるのが関の山では。

見所は、イネス(リーヌ・ノロ)の女心かな。

最後、彼女はスリマン刑事(リュカ・グリドゥ)に「ペペは船へ乗ろうとしている」と密告します。
愛するペペが他の女を追いかけるのを止められないので、逮捕されてでも傍に留めたいという思いからでしょうが、一方では「彼を行かせてあげて」と矛盾する事を言っています。

彼を引き留めたい思いと、愛した男に幸せになってほしい(たとえ他の女とでも)という思いが交錯しているのです。

結果、ペペは愛するギャビー(ミレーユ・バラン)と出会う直前で御用となります。
去り往く客船の彼女に向かって「ギャビー!」と叫ぶペペ…。
もしあの叫び声が汽笛にかき消されずに彼女の耳に届いていたら…。
彼は自害しなかったと思います。

ギャビーの向こうに見えるフランスに恋し、自分を愛し、受け入れようとしてくれたイネス、つまりカスバを拒絶したペペは、結局はその望郷心によって自らの命を縮めたのです。

“郷に入っては郷に従え”

“自業自得”

そんな言葉が思い出された映画でした。


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