最初、題名の意味が全く分かりませんでした。
チャイナ・シンドローム? 中国症候群?
中国好きな人の物語?
と思ったら、内容は原発問題を取り扱っていて、何のことやらと思いました。
調べてみると、“チャイナ・シンドローム”というのは、アメリカの原子力発電所でメルトダウンが起きたら、地球の裏側の中国まで熔けていってしまうというジョークだそうな。
しかし現実に原発事故が起こると、そんなジョークは空寒く聞こえるという事を私たちはつい最近思い知ったばかり。
原発の危うさというのは、東北の事故のもっと以前から叫ばれていたことです。
この映画の公開12日後にあの「スリーマイル島原発事故」が起こっており、ロシアでもチェルノブイリ原発事故の惨事がありました。
危険性と利便性(さらには利権性?)は紙一重というのが原発の宿命なんでしょうね。
この映画は、原発そのものというより、それに利権が絡んだことによる危うさを扱ったものです。
いま観ておくことは意味があると思いました。
映画の内容は、人為的なミスやずさんな検査によるメルトダウンの危機が眼前にあるにもかかわらず、利権に固執して運転を止めようとしない上層部に反発した従業員ジャック・ゴデル(ジャック・レモン)が、メディアを通してその危険性を訴えるも射殺されてしまうというもの。
おそらく主役は、記者のキンバリー・ウェルズ(ジェーン・フォンダ)なのですが、ジャック・レモンの演技力がやはり強烈に印象に残ります。
キンバリーたちが初めて原発を訪れた時の事故でみせた彼の不信、焦り、安堵の心境の変化、愛する原発の稼働を止めるに至る心の移ろい、上層部の仕掛けた罠にかかった時の真に迫った憤りと絶望感、死ぬ間際の呟き…。
そのいずれもが目に焼き付いています。
ラスト、感情を抑えながら見事に現場リポートをし、最後は耐え切れずに泣いたキンバリーに対し、「彼女最高だよ」と興奮するテレビ制作者たち。流れる電子レンジのCM。
ジャック・ゴデルの命を賭した訴えは何だったのか。キンバリーらの奮闘は徒労に終わったのか。
哀しいラストでしたが、他には考えられないラストでもありました。
面白かった、というか、観る価値があった映画でした。