本当は切りたくない
この身体でずっと生きていきたかった
病気になりたくなかったし
胸が片方になるのは悲しい

命の期限を脅かされたくなかったし
家族や友人にこんな悲しみを与えたくなかった

今日は母の誕生日
私を産み育ててくれた
大好きな母

気の優しい人で
嫌なことがあってもうまく言えずに
飲み込んでドロドロに積もらせてしまう

思春期くらいだったか母から
「あなたは私に似てる
我慢してしまうよね
でも私と違うのは
それを言えることだから
安心した
きっと大丈夫だよ」

母は乳がんになった
私が中学一年生になる春
入院して全摘手術をした
辛そうな顔をしたことはなく
いつも明るかった
わたしが友人関係で悩んだ日も
部活を頑張っていた日々も
高校生になって道を踏み外した日も
いつもそばで守ってくれて
寄り添ってくれて
正すことはあっても否定することはなく
愛し続けてくれた

再発してからはあっという間だった
骨、肝臓、どんどん侵されて
痛くて苦しそうだった
顔色も黄色になって腹水もたまって

わたしが19になった秋
49歳で亡くなった

結婚するか悩んだ20代のときも
今の夫と出会って結婚しようって思ったときも
可愛い子どもたちが生まれて来た時も
母がここにいてくれたらって思った

今も
もし母がいてくれたら…
すごく会いたい
お母さん

でもまだ会えないから
頑張る力を送ってね

しっかり生き抜いて
子どもたちを育て上げさせてね

お母さんならきっと今背中をなでてくれてる
わたしもお母さんみたいなお母さんになるね
産んでくれてありがとう