長期投資でリスクは縮小しない 補講 | インデックス投資家からの脱却(アンチインデックス)

インデックス投資家からの脱却(アンチインデックス)

インデックス投資について疑問に感じたこと、インデックス投資に代わる投資法を書いていきます。

コメントでやりあっているうちに読者であるアクさんの論点がずれまくっていき、まともな議論が出来ない状態となりました。
ですので、まずリスクの定義を行いたいと思います。

アクさんのコメントを追っていくと、リスクの定義が
・T年後のトータルリターンの標準偏差σ:(ファンドの海におけるシミュレーション結果
・T年後のトータルリターンのT乗根の標準偏差
・複数本のファンドのT年間のトータルリターンの標準偏差
・T年間のトータルリターンの標準偏差を1年あたりに換算したσ/√T
などと変遷しており、全く議論がかみ合いませんでした。

私は一貫してリスクとは母標準偏差σで定義されると主張していたのですが、その度に論点をずらされ、話になりませんでした。

リスクである母標準偏差σは、標本をいくつ取ろうが不変であり、運用年数と共に縮小するということはあり得ません。

また、読者のアクさんや他のブログ記事では、
T年間の標準偏差を1年間に換算し直したら年率の標準偏差は縮小していると主張しています。

では、リンク先のブログ記事で、T年間の標準偏差を1年間に換算し直すとはどういう計算をしているか見てみましょう。

「一方でリスクの方は 10年経過しても 10% x sqrt(10) = 31.6% にしかなりません。」
「標準偏差1を年率に直すには年数で割ってやれば良いと言う事になります。31.5% ÷ 10年 = 3.16% これは 年率リスク 10% ÷ √10 = 3.16%」

ここで数学のトリックが使われています。
イ:1年間の標準偏差を10年間の標準偏差に換算する場合は√10をかける。
ロ:10年間の標準偏差を1年間の標準偏差に換算する場合は1/10をかける。
ロの演算ははあきらかに間違いです。
10年間の標準偏差を1年間に換算する時はイの逆演算である、√10で割るという演算が正解であり、10で割るという操作は完全に間違いです。

ロの演算はσ/√Tを計算しているにすぎません。
σ/√Tとは私がコメントで何回も述べたように「標準誤差」という統計量であり、リスクを表す「標準偏差」とは全く異なる概念の統計量です。
標準誤差とは平均値の標準偏差のことであり、平均値の推定精度を表す統計量であり、これはリスクではありません。
マルキールが著書でリスクとして示しているのもこの標準誤差です。

ただ、リンクを貼ったブログ記事では
「但しこれは毎年のリスクが減ると言う意味でもありません。毎年のリスクは独立してやはり年率で10%あるのです。」
と述べているので、リスクの定義であるσが縮小するという認識はしておられません。

頭の悪いアクさんの述べる、「標準誤差と平均値の標準偏差は違う」という論理は以下のようになっています。
「標準誤差とは、平均値の標準偏差を計算したものだ」
「しかし、平均値の標準偏差を計算する行為は、全て標準誤差を計算するために行っているものではない」
この論理を分かり易いように平均値の算出に置き換えてみましょう。

「平均値とは、(データの総和/データの個数)で計算したものだ。
「しかし、(データの総和/データの個数)を計算する行為は全て平均値を計算するために行っているものではない」
この論理は破綻している事が分かります。
(データの総和/データの個数)の計算で算出される値はいかなる場合でも「平均値」です。
平均値がこのように計算すると定義されているからです。
同じく、標準誤差の計算も(σ/√T)で定義されており、(σ/√T)を計算するといかなる場合でも標準誤差が算出されます。

読者のアクさんは長期投資でリスクが縮小すると主張していましたが、
長期投資でリスクが縮小すると主張する人はやはり統計音痴か詐欺師か馬鹿だけのようです。


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