初めての夜

 

初出 2006年8月2日、9日

 

(初出時、前編・後編に分けてupしたものをまとめてあります)


遠乗りに出かけたアンソニーとキャンディ。だが突然の嵐が襲い、足止めを食らう。
二人だけで泊ったホテルで・・・
タイトルでお分かりかと思いますが、内容的に少し「お色気系」です。そういうものがお気に召さないお客様はご注意くださいませ。
とは言っても、アンソニーとキャンディの初々しいイメージは壊さないように配慮しております。
(R18のような描写を期待されているお客様には、全く物足りないと思います(^^ゞ)

 




きつね狩りが無事に済んだ。
これでキャンディが養女になったことが、正式にお披露目された。
レイクウッドでは平穏な日々が過ぎていく。
午前中は家庭教師の特訓を受け、午後は三銃士たちと楽しいひととき。

そんな穏やかな時間がゆっくり流れ、また今年もバラの門に花が咲き乱れる季節がやってきた。

気がつけば、二人が出会ってから丁度一年。
キャンデはこの五月で14歳になった。
アンソニーは16歳。もう大人だ。



ある日突然、エルロイ大おば様から三銃士にお声がかかった。

「ステアは18。アンソニーとアーチーも秋が来れば17になるのです。もう立派な紳士。いつまでもキャンディと戯れている場合ではありませんよ」

一体何を言い出すのだろう。嫌な予感がして、三人は顔を見合わせた。

「ニューイングランドへお行きなさい。大学進学を目指してしっかり勉強するのです」
「で、でも・・・大おば様!」
驚いて咄嗟に声を出したアンソニーの横で、「そうら来た!」と顔をしかめるアーチー。
「じゃ、キャンディも一緒ですか?」
ステアが落ち着いて質問する。

「あの娘は行かせません。女子に高等教育は必要ないですからね。そうでなくともキャンディは勉強嫌いで有名なのです。大学になんか行けるわけがないでしょう?」

反論したかったが、本当のことなので三人とも黙ってしまった・・・



それから必死の抵抗が始まった。
何とかニューイングランド行きを阻止できるよう、あの手この手を試したが、大おば様の前ではどれも功を奏さなかった。
仕方なく折れた三人。


「キャンディ、ごめん。僕らの力じゃ大おば様を説き伏せることなんて出来ないんだ」
力なく言うアンソニー。
「とりあえず向こうに行って、何とか脱出のチャンスをうかがうよ。待っててくれ」とアーチー。
「こういう時こそ、ステア式『雲隠れ・レイクウッド帰省マシーン』が物を言うな」
「なんだ、それ?」
「決まってるじゃないか。僕の最新兵器だよ。徹夜で作ったんだ。あれさえあれば、ニューイングランドなんかすぐに脱出できるさ」
「それが一番危ない!!」
アンソニーとアーチーは声をそろえた。

三人の顔を交互に見ながら、キャンディは寂しそうにぽつりと言う。
「みんなのためになるなら、私我慢するわ。だから無理しないで」




もうすぐお別れの日がくる。
そんなある日、キャンディとアンソニーは二人だけでデートすることにした。
アンソニーの愛馬に仲良く乗って、遠い街まで出かけていった。
そういえば一年前、きつね狩りの前にもこうやって二人で遠出したっけ。
遊園地に行ってメリーゴーランドに乗り、ホットドックを食べて占いの館に寄った。
あの時は不吉なカードが出たが、今日は大丈夫。

二人してニコニコしながら、教会の塔に上った。いつかみたいに。
街の風景が眼下に広がる。
風が吹いてきて、心地よく頬を撫でた。

「アンソニー、今日は本当に楽しかったわ」
「僕もだよ。またいつか一緒に来ようね」
「ホント?」
「勿論さ」
「じゃ、約束よ!」

その時、鐘がゴーンと鳴った。
キャンディはきゃっと言って、アンソニーの胸にしがみついた。
去年もそう。同じことをした。
本当は狙ってやったのだ。
しがみつかなければいけないほど怖くはなかったが、アンソニーの香りを感じたくて、わざと怖い振りをした。

「臆病だな、キャンディは。大丈夫!僕がついてるから」

アンソニーは細い肩に手を置いて、彼女を優しく抱きしめた。
状況はあの時とそっくり同じだったが、キャンディの体は去年よりずっと女らしくなっていた。
柔らかい感触を腕に感じ、アンソニーの心臓はどくんどくんと大きな音を立てる。
速く、そして激しく。

(キャンディ、苦しいよ。このまま君に何もしないまま、ニューイングランドへ行くなんて・・・)




まさにこれから帰途に着こうという時、運悪く猛烈なにわか雨に遭った。
勿論馬になど乗れない。
近くのレストランに飛び込んで、雨がやむのを待つ。

「面倒なことになったね。早く雨脚が弱まってくれるといいんだけど」
アイスコーヒーを飲みながらアンソニーが言う。
「いくら大おば様に許可を取って出てきたって言っても、帰りが遅くなったら雷が落ちるわよね、きっと」
「怖いのかい?」
アンソニーはストローを指でつまんだまま、上目遣いにキャンディを見た。
「ううん。だってあなたと一緒だもの」
キャンディは赤くなって下を向いた。


隣のテーブルに50年配の男女が座った。恐らく夫婦だろう。
早口でしゃべる声が聞こえてくる。
「いや~、参ったね。この土砂崩れじゃ馬車も立ち往生だ。家には帰れんぞ」
「今夜はホテルに泊るしかありませんかしらねぇ」

その会話に仰天するアンソニーとキャンディ。
思わず身を乗り出して彼は尋ねた。
「土砂崩れって・・・。あの、そんなにひどいんですか?」
「ひどいもなにも、急に通行止めになったんだよ。馬車や車は勿論、徒歩も無理だ。気の毒だが君たち、今夜はこの町に足止めだよ。早目に宿を取った方がいい」

二人は目を見合わせて黙り込んだ。顔が熱くなる。

(ホテル?泊るだって?)

(私たち、一緒にホテルへ行くの?)

考えていることは二人とも一緒だ。
しばしの沈黙を破り、やっとアンソニーが口を開く。

「仕方ない。満室にならないうちに部屋を取ろう。でも安心して。勿論別々にするから」
「え、ええ・・・・」

安心したような、ちょっと残念なような複雑な気持ち。
キャンディは気の抜けた返事をした。



ホテル探しは思いもよらず難航した。行く所行く所、全て満室。
それもそのはず。
さっきまで降っていた雨のせいで、道はぬかるんで相変わらず馬車も車も通れないからだ。
崩れた土砂を撤去する作業は明日の朝までかかるだろう。

やっと空き部屋に辿り着いたのは10件目のホテルだろうか。
時計はもう夜の10時を回っていた。

「シングルで二部屋お願いします」
アンソニーが申し出ると、恐縮した声が返ってきた。
「あいにく二部屋は無理でございます。とりあえずシングル一室だけならご用意できるんですが。それでもよろしければ」

一室と聞いて、アンソニーとキャンディは顔を見合わせた。
明らかに困惑したその様子を見て、フロント係は気の毒そうに言う。

「何しろ急な嵐でしたからね。誰も彼も今夜はこの町に足止めですよ。ホテルというホテルは宿泊客で一杯でしょう。一つでも空き部屋がある幸運を喜ばれた方がいい」
「僕は構わないんですが、彼女が・・・」
困ったような顔をするアンソニーの隣で、キャンディが思い切って言った。
「その部屋、お願いします」
「そうですか。じゃあ鍵をお渡ししましょう」

アンソニーは驚いて、「ホントにいいのかい?」と囁き声で言う。
キャンディは黙って頷いた。

「こちらにお名前とご住所を・・・」
フロント係が用紙を差し出す。
アンソニーはペンを取り、必要事項を書き込んでいく。
そして返却すると、「ほう~、アードレー家の方で」という反応が返ってきた。
好奇の目で見られているようで、二人はばつの悪い思いをした。

「エレベーターで三階へお上がり下さい。降りて左へ曲がったら、突き当たりのお部屋です」
フロント係はそう言った。

鍵をもらうと、もう部屋へ向かう以外にやることはない。
嬉しいような、恥ずかしいような、何ともいえない気持ちで足を踏み出した。
心臓が張り裂けそうになる。
二人とも、夢の中を歩いているように現実感がなかった。

ただ顔だけが、今にも溶けてしまいそうに熱かった。




部屋に入ると、いきなり視界に飛び込んできたのはベッド。
奇麗にしつらえてある清潔な白いシーツを見ているうち、「さあどうぞ。いつでもいいですよ、お二人で・・・」──そんなふうに言っている気がしてきた。
心臓がドキンドキンと大きな音を立て始める。

「キャンディ、このベッドは君のだよ。僕はソファーで寝るから心配しないで」
「でもそれじゃあ・・・」

アンソニーはウィンクすると、ソファーの方へ歩いていき、ジャケットを脱いで放り投げた。

「ちょっと外へ出てくるね。その間に着替えてベッドに入ってるといいよ」
「アンソニー・・・」
「大丈夫!こう見えても紳士なんだぜ」
再び片目を閉じて微笑むと、彼はドアを開けて出て行ってしまった。


あなたが紳士なのはよく分かってるわ。
だからこんな時は安心よね。何も心配しないでぐっすり眠れると思うの。
でもそれだけじゃ──
だって、私たち出会って一年にもなるのに、まだキスも・・・。
ほっぺにチュッは何回もあるけど、唇と唇は──
アンソニー、あなたの唇、触れたらどんな気持ちになるの?


自分があまりにも大胆なことを考えていることが恥ずかしくなる。
でも好奇心はどんどん深まり、歯止めをかけられなくなっていた。


男の人と二人きりでいると何が起きるのかしら?
ちょっと知りたい気もするわ。
それにアンソニーなら許せる。
何をされてもアンソニーなら怖くないわ。ええ、きっと!


だが手は震えていた。
いや、手だけではなく、足も肩も、全身が小刻みに震えていた。


嫌ね、私ったら!怖いの?
そんなの情けないわ。もう14になったのに。
アンソニーのこと、こんなにも好きなんだから、何があっても泣いたりしない。
そうでしょ?



30分くらい経ったろうか。
きい~っと静かにドアが開いてアンソニーが帰って来た。
キャンディはもうベッドの中。
足音を立てずに近づいてみると、可愛い寝息が聞こえた。

キャンディ、もう眠ったんだ。

ホッとしたような、ちょっと残念なような、複雑な気持ち。


僕が同じ部屋にいても、君は安心して眠れるんだね。
それは僕を信じてくれてるから?
それとも男として何も感じないから?
だとしたら寂しいな。

僕は一体何を考えてるんだろう。
さあ、邪念にとらわれずに早く寝よう!


ソファーに寝転んでジャケットを体にかけると、アンソニーは目を閉じた。
だが次から次へといろいろな想いが浮かんできて、なかなか眠くならない。
それどころか頭は完全にさえ渡っている。
だって五六歩歩いていったら、すぐ触れられるんだもの。キャンディの体に。
その事実が頭を支配して、心を落ち着かせてくれなかった。

アンソニーはまだ女の子を知らない。
今夜は大好きなキャンディと二人きり。
周りには誰もいない。ステアもアーチーも大おば様も誰も。
考えてみたら絶好のチャンスだ。
お互い大人になるための絶好のチャンスだ!

そんな悪魔の囁きが耳元をくすぐって、頭は益々さえてきた。


女の子ってどんなだろう。
キスして抱きしめて体を寄せ合って・・・そしたらどんな顔をするんだろうか。
泣くのかな。
それは嫌だ。キャンディを泣かせたくなんかない。
でも・・・

もう一人の自分の声が聞こえる。

お前はこれからニューイングランドへ行くんだ。
しばらくは彼女に会えないんだぞ。その間に好きな男でも出来て先を越されたらどうするんだ!

それは嫌だ。キャンディには僕が・・・僕が初めてであってほしい。

じゃあ、今夜実行するんだな。時は今をおいて他にない。
しっかりやれよ、坊ちゃん。腰抜けになるなよ。


アンソニーはむっくり起き上がってベッドへ歩を進めた。
体が熱くなって硬直している。
もう抑制は効かない。

「キャンディ・・・」

かすれた切ない声が彼女の耳元に響く。
途端にキャンディは大きく目を見開いた。眠ってはいなかったのだ。
窓から差し込む月の光が瞳をはっきりと映し出す。
緑の目は怯えたように光っていた。

キャンディ・・・君はやっぱり・・・怖いんだね?

その色を見た瞬間、アンソニーの欲望は急激にしぼんでしまった。


まだ早い。キャンディは14歳だ。
体は成長していても、心はそれに追いついてない。
今彼女を抱いたら、きっと傷つけてしまう。
だから待とう。
時間がかかってもいいんだ。心の準備が出来るまで──彼女が僕を自然に受け入れられるまで──待とう。


頭の整理がついたら、急に清々しくなった。
「キャンディ・・・眠れないの?」
「ええ」
「それはきっと僕がここにいるからだね」
「ううん、違うわ」
「無理しなくていいんだよ。僕は外へ行くから」
「!?」
「だって奇麗な星空だから。大丈夫!幸い季節がいいから一晩くらい夜風に当たったって平気さ。心配しなくていいよ」
「・・・・・・」

アンソニーはベッドサイドに腰掛けた。
キャンディがゆっくりと半身を起こす。その目に恐怖の色は、もうない。
安心しきった、いつもの緑の瞳がいとしそうに自分を見つめている。

「これくらいなら許してくれるかな」
「え?」
アンソニーの言う意味が分からず、キャンディは静かな声を出した。

「キスを・・・君にキスしたいんだ。いい?」
彼女の瞳がまた大きく見開いた。
でもちっとも怖がってはいない。
しばらく間があいた後、キャンディは静かに「ええ」と答えた。

アンソニーの両腕が優しくキャンディを抱き寄せる。
顔と顔が近づき、自然と彼女は目を閉じた。

心臓の音が高まっていく。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン・・・

昔、アーチーが冗談交じりに言っていたセリフが脳裏をかすめる。

いいか?女の子ってのは、顔が近づくと自然に目を閉じるんだ。
そしたら肩に両手を置いて、優しく引き寄せる。
そして鼻と鼻がぶつからないように、ちょっとだけ顔を傾ける。
あとは・・・勢いに任せて!


女の子の唇は初めてだ。っていうか、キスなんかしたことはない。
今までに一度だって。
チャンスは何回かあったのに。
だからこれが初めてのキス。
こんなに緊張するなら試しておけばよかった。
いや、違う。キャンディ以外の女の子じゃダメだ。
やっぱり今日まで取っておいて良かったんだ。


そんなことを思いながら、アンソニーは顔を傾けた。
もう少しで鼻が当たりそうになったけれど、何とかかわした。
キャンディの頬が目の前に迫って、恥ずかしくなる。
だから自分も目を閉じた。
そして更に近づく。

その時だ。柔らかいものが唇に触れた。
きっとこれがキャンディの唇。
ああホントだ。何て柔らかいんだろう。
まるでマシュマロ。そして甘い。女の子の匂いがする。

たまらなくなって、アンソニーは抱きしめる腕に力を込めた。
途端、キャンディがびくっとして身を硬くする。


ごめん、キャンディ。怖がらせて。
でもダメだよ、どうにも止められなくなっちゃった。
君がこんなに可愛いなんて。
こんなに柔らかくて温かいなんて。
もっと君を知りたい。近づきたい。触れて感じたい。
二人の間に秘密なんてなくしてしまいたい!

だからダメ?もっと君に近づいちゃダメかい?
僕のこと好きなら、許してくれる?


アンソニーの体は炎のように熱くなっていた。
どうにもならないほど男になっていた。
自分の中にこんな神秘があったなんて、信じられない。

唇が狂おしく彼女を求めた。
優しく触れるだけの可愛いキスでは、もう止められなくなっている。
肩に置いてあった右手が思わず動き、彼女の腰に移動して強く抱き寄せた。

次の瞬間、アンソニーの全体重がのしかかり、キャンディはベッドの上に倒れこんだ。

「あ・・・」

その時初めて聞こえた哀しい声。
それはキャンディの叫びだった。

驚いて目を開けると、目の前にキャンディの泣き顔。
涙でグショグショになったキャンディの泣き顔。

僕は何やってるんだ!

突然理性に目覚めたアンソニーは慌てて起き上がり、キャンディの体も起こしてやった。

「どうかしてたんだ。本当にごめん。許してもらえないよね、こんなことして」

懺悔の気持ちで一杯になるアンソニーの顔に、キャンディの手が優しく触れる。

「ううん、私がいけないんだもの。あなたはちっとも悪くないわ」
「・・・!?」
「アンソニーのこと、大好きなのよ。あなたに愛されるなら何も怖くない。そう思ってたの。でも・・・でも・・・」

涙が頬を伝ってこぼれた。
そんな彼女がいじらしくなり、アンソニーは思わず抱きしめる。
今度は優しく。慈しむように。

「分かってるよ。『好き』って言ってくれるだけで僕は嬉しいんだ。だから待つ。君がもっと大人になって、今夜の続きが怖くなくなるまで」
「今夜の続き?」
「そう。僕らに秘密がなくなる大人の儀式だよ」

キャンディは顔を赤らめて下を向いた。

「いつか自然にそうなるまで大事にとっておこう」
キャンディは顔を上げ、嬉しそうに頷いた。
「その時には君に大切な言葉を捧げるつもりだ」
「何かしら?」
「今はまだ秘密だよ。楽しみにしてて」
「アンソニーったら意地悪ね。教えてくれたっていいじゃない」
やっとキャンディに笑顔が戻った。
「それだよ、それ!最高だ。やっぱり君には笑顔が似合う。だからいつも微笑んでいて欲しい。僕だけのために」
「ええ」

アンソニーの唇がキャンディの額に優しく降りてきた。
淡くて清い、少年と少女の恋物語。
それが大人の恋に変わる日はそう遠くない。

今度は彼女の頬にキスすると、アンソニーはベッドから立ち上がった。

「じゃあ僕は外に行く。鍵をしっかりかけておくんだよ」
「はい、アンソニー♪」

大きな背中を見送ると、ドアが閉まって彼の姿が見えなくなった。
その途端、キャンディは大きなため息をつく。

ああ、ばかばか!キャンディの大バカ!
折角のチャンスだったのに。何で怖がったりしたのよ。

するともう一人の自分の声が。

だってアンソニー、別人みたいだったんだもの。
いつも優しくて紳士なのに、急に襲ってくるから怖くなっちゃった。

バカね。それが男ってもんよ。
もっと修行を積むことね。今度泣いたりしたら呆れられるわよ。

アーチーやステアもさっきみたいになるのかしら?

当たり前じゃない!野暮なこと聞かないで。


今まで何も考えずに三銃士と行動を共にしていた自分に驚いた。
あまりにも無防備な自分。
無邪気で無知な自分。
男三人に囲まれて、何があってもちっともおかしくなかったのに。
みんな紳士だった。
とっても大事にしてくれた。
きっと、すご~く我慢してたのよね。いろいろと。
これを機会に、男と女の違いについて考えよう。

それにしてもアンソニーがあんなに男だったなんて。
ちょっとショックだったけど、悪い気はしない。
彼の気持ち(というか欲望?)に早く応えてあげたい自分がいる。
少しは大人になったのかな。

でも思うんだけど、彼がさっき言ってた「秘密がなくなる大人の儀式」って、一体何!?
それってきっと「あのこと」よね?
考えるとなんだか怖い。
ちゃんと彼の相手ができるかしら???

それとアンソニーに一つだけ お・ね・が・い
ニューイングランドへ行っても、浮気なんかしないでね。
どんなに奇麗な人がいても、どんなに色っぽい人が誘惑しても、
絶対、絶対、絶対 私だけよ。
他の女になんか目を向けたら、許さないから~!!!



同じ頃、星空を見上げてアンソニーは思う。

キャンディ、遠く離れても恋人は僕だけだよね?
キザでかっこよくて、少しばかり影がある奴がちょっかい出してきても、君の心は僕だけのものだよね?(あ・・・ついでに体も(^^ゞ)
絶対浮気なんかしないって、信じてるから。

無事に卒業してレイクウッドへ戻ったら、真っ先に言うつもりだよ。
「結婚してくれるね?」って。
勿論答えは「yes」だろ?

そしたらその晩こそ、僕たちにとって「初めての夜」にしたいんだ。
僕を受け入れて欲しい。
君の温もりを夢見て、君だけを想って、ニューイングランドで頑張ってくるから・・・


愛しくてたまらない、僕だけのキャンディへ
 
~The End~




思わせぶりなタイトルのわりに、全然大した話じゃありませんでしたね(-_-;)。
期待したお客様(何を~(^^ゞ?)、ホントにごめんなさい!!!

ご気分を害された全ての方に、心よりお詫び申し上げますm(__)m