アンソニーVSテリィ・番外編
「アルバートの未来は!?」の巻
2005年~2006年の年末年始にアップ



キャンディとのラブラブが全くない「学院対決」では申し訳ないので、特にアルバートファン様のためにアップするつもり・・・だったんですが、出来上がりはとんでもないものになってしまいました(T_T) 冗談抜きで頭にくるかも、です(滝汗)。
拙作は、あくまでギャグです。
アルバートさんは相当腹黒(?)、アンソニーとテリィはかなりオマヌケな「ぼけ・つっこみコンビ」として書かれています。
シャレの分かる方だけお読み下さいますよう、お願い申し上げます。



ずーっと下へスクロールしていただくと、「とんでもないギャグ編」というのがございます。まだそっちの方が許せるので、よろしければそこへ飛んでくださいねm(__)m

 


初出 2005年12月21日

 

旧サイトから転載したので文字色が見にくい部分がございます。

申し訳ありませんが、その場合は「反転」してお読みくださいm(__)m

 

 



ここはブルーリバー動物園にある、アルバートさんの控え室。
今日はお昼からキャンディが訪ねて来ていた。

「アルバートさん、どうしよう?アンソニーが好きなのかテリィが好きなのか、わかんないの。っていうか、どっちを選んだらいいかわかんない。助けて!」

「キャンディ、苦しまなくてもいいんだよ。そういう時は目を閉じて、懐かしい昔の風景を思い出すんだ」

「昔の風景?」

「そうだ。君はずーっと昔、ポニーの丘で素敵な人に会ったね?」

「丘の上の王子様のこと?」

アルバートは黙って頷いた。

「本物の王子様は、実はすごく近くにいるのかもしれないよ。そばにいて、君の事をずっと見守っていたのかもしれない。アンソニーが現れるより、テリィが現れるより、ずっとずっと前からね」

「ホント?」

「真実ってのはね、すぐそばにあるものなんだよ。近すぎて見落としてしまうことだってある。だから気をつけなくちゃ」

「私、もう一度探してみるわ。私だけの王子様を」

「それがいい。アンソニーもテリィも分かってくれるよ」

アルバートはそっとキャンディを引き寄せ、可愛いおでこに優しいキスをした。

(ふふふ、うまくいったぞ。これでキャンディは俺様だけのものだ。あいつら、若輩のくせして彼女に手を出そうなんて、100年早いんだよ。でもまあ許してやるか・・・。今のうちに奪い合って楽しむんだな、馬鹿めらが。「真打は最後に登場」と相場は決まってるのさ。ラストでキャンディをゲットするのは、他でもない、このアルバート様なんだ。悪いな、二人とも。ま、せいぜい頑張ってくれたまえ。ハッハッハッ!)

~誰にも漏らしたことのない本音~ by アルバート




その途端、けたたましいノックの音が響き渡り、いきなりドアが蹴破られた。

「何なんだ、君たちは!」

立っているのは、もの凄い形相のテリィとアンソニー。

「『何なんだ』、じゃないっすよ。あんたこそ何なんだ。善人ぶってキャンディを誘惑しないで欲しいな」

「そうだよ、叔父さん。彼女はまだ未成年なんだ。変なことすると捕まるよ!」

(ちっ!いいところで邪魔が入ったか。おまけにアンソニーめ、俺のことを「叔父さん」って呼ぶなってば。素性がばれちゃうじゃないか。それは「キャンディへの最後の切り札」として、今は隠しておくつもりなんだから)

「ウォホン、人聞きの悪いことを言わないで欲しいな。別に僕が誘惑したわけじゃない。彼女の方から相談に来たんだ。そうだね?キャンディ」

突然の乱入に驚いて目を白黒させているキャンディは、ゴクリとつばを飲み込んでから頷いた。

「とにかく僕らと一緒に帰ろう。ここにいると危ないよ」

「全くだ。その点、意見が一致する・・・っていうか、あんたと出会って以来、初めて合意に達したな」

「じゃ、ひとまず停戦だ」

何故か意気投合して握手を交わす二人を、不思議そうな目で見つめるキャンディ。

「アルバートさん、彼女は連れて帰ります。相談には僕たちが乗ってやりますから」

憮然とするアルバートを尻目に、テリィとアンソニーは強引にキャンディの手を引っ張って、学院に帰っていったのだった。

(ふん!覚えてろよ、二人とも。アードレー家総帥の力を思い知らせてやる)



そして5年後のクリスマス・・・

シカゴのアードレー家では、盛大な結婚式が行われていた。
若き当主、ウィリアム・アルバートの隣には、美しい新妻が寄り添っている。

「おい!なんでこうなるんだよ。彼女の夫になるのは、俺たちのどっちかじゃなかったのか?」
「知らないよ。分けがわかんないうちに叔父さんが割り込んできて、あっと言う間にさらっていっちゃったんだから」
「お前、アルバートさんの甥っ子のくせに、何とかできなかったのかよ」
「だから僕のせいにするなって!彼女を捕まえているだけの魅力が、君にはなかったんだろ?」
「それはお前も同じことだ」
「余計なお世話だよ」
「俺も同感だね」
「珍しく意見が一致したな」
「じゃ、握手するか・・・」

来賓席に隣同士で腰掛け、振られた者同士で慰め合っているのはテリィとアンソニー。

その間抜けな姿を見ながら、アルバートは悦に入っていた。
まさに勝者の風格。

(馬鹿な若造めらが。だから言ったろう?最後に笑うのは、この俺様だって。君らにはない、強力なカードが僕には二つもあったんだ。キャンディをなびかすくらい、赤子の手をひねるようなもんさ。まあ諦めるんだな。所詮は格が違うんだから。ワッハッハ!)

そして彼の隣には、輝くばかりの貴婦人に成長した19歳のキャンディが、純白のウェディングドレスに身を包んで、幸せそうに笑っていた。

(テリィもアンソニーもごめんなさい。だって私、セレブな暮らしがしてみたかったんだもん。三人の中で一番将来が約束されてるのは、何たってアルバートさんでしょ?それに「アードレー夫人」って呼ばれるのは、すっごくいい気分。ちまちま看護婦なんてやってらんないわ。やっぱり人生は「お金」よね~(^^ゞ)

クリスマスの鐘が、キャンディの幸せ(?)を祈るように鳴り響いていた・・・





アルバートファンの皆様へのプレゼントに・・・と思って書いたんですが、結局とんでもないことに!ご気分を害された方もいらっしゃるでしょう。どうぞどうぞお許し下さいまし。
そして「現金キャンディ」もここだけの設定。本物様は、こんなに腹黒いはずありません(爆)。
そして看護師は尊く立派な職業です。文中に失礼な表現があったことをお詫び申し上げますm(__)m (セリフはあくまでギャグですから~)

 




「とんでもないギャグ編」
2004年~2005年の年末年始にアップ


初出 2004年12月24日

 


もうすぐ地上へ白い天使たちが舞い降りてきそうな気配。
窓の外に広がる黒くて神秘的な世界。ポニーの家の暖かいクリスマス。

「今夜はイブなのにポニー先生とレイン先生と子供たちだけしかいないんだわ。何だかつまんない。アニーもパティも家族と一緒に過ごすから、ここへは来てくれないし・・・」
 


 
「なに贅沢言ってるんだよ。ここに一番いい男が控えてるんだぜ。君だけのために」
突然の声に驚いて振り返るとそこにはテリュース。髪を少しだけ切り、ロミオの衣装を身に着けて相変わらずキザな微笑を浮かべている。手には抱えきれないほどの真っ赤なバラ。
「テ、テリィ!なんであなたがここにいるの?」
「なんで、って、キャンディにこの花を届けたくてカーテンコールにも応えずやって来たんだ。はるばるポニーの家まで」
「はるばるって、ブロードウェーから?」
「当然!」
「でもスザナはどうしたの。確か婚約したんじゃ・・・」
「婚約だって?誰だい、そんなふざけた噂を流した奴は」
「だって新聞に」
「何を勘違いしてるか知らないけど、俺にはターザンそばかすしかありえないのさ。昔も今も、そしてこれからも。分かってるだろ?俺は選んだんだ。スザナではなく、キャンディ・・・君を」
「まあ嬉しい(*^_^*) テリィ、私ずっとずっと待ってたのよ。あなたがそう言ってくれるのを。本当はスザナにあなたを取られるなんて耐えられなかったけど、成り行き上仕方なかったでしょ、あの時は。だって私、悪者になるのはイヤだもん(^^ゞ」
すると背後でノックの音。






「やあキャンディ、お待たせ。これからパーティーに行く約束だよね。だから君をエスコートしに来たよ。ほら、ドレスにはこのコサージュを付けて!」
見るとそこには黒いタキシードで正装したアーチーの笑顔。小さなフリルに縁取られた襟元には、ベルベット地のボウタイ。
「今度はアーチー?いやだ~、アニーはどうしたのよ。私のことより彼女をエスコートしてあげて」
「断る。今度こそ君の言う通りにはならないよ」
「今度こそって?」
「君は僕の告白を最後まで聞いてくれなかったね。聖ポール学院の裏庭で」
「何のこと?」
「ほら、またそうやってとぼけるんだ。『アニーをよろしく』なんて言われたって、僕はもうイヤだからね」
「どうかしてるわ。今日のアーチー」
「どうもしてない。ただ僕は君が好きなだけなんだ」
困った・・・という表情のキャンディに窓の外から助け舟。


 


 
「じゃあ、こんなのはどう?キャンディはこれから僕と二人でアフリカへ行く。そして自然に包まれて思いっきり楽しい夢を見る」
目を丸くして窓辺に駆け寄ると、白いシャツとダークグリーンのスーツに身を包んだアルバートさんが、出窓から部屋の中へと入り込んできた。
「今、お仕事でロンドンじゃなかったの?」
「イブの夜に君を一人にしておけると思うかい?仕事なんかどうでもいいんだ。ジョルジュに押し付けてきちゃったよ」
「まあ、いけないアルバートさんね」
「じゃ、これが僕からのプレゼント。ねえキャンディ、一つのものを二人で分け合うって、とても素敵なことだと思わないか?」
そう言ってプラチナのリングを取り出すと、彼女の前に差し出す。
「ほら、中央でこうやって分かれるんだよ」
指輪は二つになった。一つをキャンディに。そしてもう一つを自分に。
「うわぁ、キレイ!小さなダイヤが散りばめてあるのね」
「気に入ってくれたかい?じゃあそれは君へのプロポーズとして贈らせてもらうよ」

 



「ちょっと待ったぁ!キャンディ、そんなのはめちゃダメだ」
鼻息荒く登場したのは、空軍の制服を着て敬礼するステア。
「え!?あなたって戦死したんでは?」
目をパチパチさせて驚くキャンディ。
「いやだなあ。僕は確かにドイツ兵に撃墜されたけど、『ステアは死なない。完全復活装置』で生き返ったんじゃないか。忘れてもらっちゃ困るよ」
「はあ・・・それは何よりで(^^ゞ」
「今日は君に僕の発明をプレゼントしようと思ってさ」
「何でもいいけど、私よりパティにあげた方がいいと思うわ」
「ダメだよ。キャンディにもらってもらわなきゃ意味がない。だって僕がホントに好きだったのは、初めから君一人だったんだから」
「そうかしら?私にはパティとすごく仲良くやってるように見えたわよ」
「それはそれ、これはこれ。そうかたいこと言うなよ」
「で・・・何をプレゼントしてくれるの?」
「『キャンディをその気にさせる機』。君はこのメロディーを聞くたびに、僕を好きになっていくんだ。いいかい?聞いてごらん」
ふたを開けようとするステアの手を慌てて止めると、キャンディは苦笑しながら言う。
「気持ちだけもらっておくわ。だからやっぱりパティにあげて(^^♪」


 



その瞬間、ドアのところで再びノックの音。キャンディはビクッとしながら恐る恐る振り返る。
テリィ、アーチー、アルバートさん、ステアときたら、残っているのはもう・・・。
「まさかね。今度という今度はいくら何でも無理でしょう?もし出てきちゃったら、結構怖いかも」
冷や汗タラタラで登場を待つ彼女の前に現れたのは、やはり「彼」だった。
「ハロー!キャンディ。待たせたね。もうそろそろ僕の出番だと思っただろう?」
ほんのちょっと怖くて目を閉じていたキャンディの耳に聞こえたのは、あの日のままの優しい声。「やっぱり!」と思って、たまらず目を開ける。
すると白いスーツに黒いシャツを着て、両手一杯のスイートキャンディを抱えるアンソニーの姿。彼女は思わず足を見た。
(あった!ちゃんと二本付いてる。お化けじゃないんだ^_^;)
思わず大声で叫びそうになったが、慌てて口を押さえ、ニッコリ微笑む。
「花は散ったらおしまいなんだよ。人も死んだら忘れられちゃうだけ。だから僕は帰ってきたんだ。君のところへ」
「どうやって?」
「だって僕はもともと死んでなかったから」
「じゃあ、今までどこにいたの?」
「大おば様の命令で外国にいたのさ。アメリカから遠く離れれば、キャンディのことを忘れるだろうって思ったんだろうな。でも逆効果だったよ。『会わねば募る恋心』って言うだろう?」
 


「何が『会わねば募る・・・』だ。『去るもの日々に疎し』とも言うんだぜ。お前なんかお呼びじゃないんだよ。とっとと失せろ!」
積年の恨みを晴らそうと、テリィは腕まくりをしてアンソニーの前に立ちふさがった。
「お前さえいなければ、俺は出会ったときからキャンディといい仲になれたんだ。五月祭のあの時まで俺たちの邪魔をしやがって。おかげであいつを口説くのにえらい手間がかかったぜ」

積年の恨みならアーチーも負けてはいない。
「それを言うなら僕だって言わせてもらう。テリィ、お前さえいなかったらアンソニーが消えた後、キャンディは僕の方を見てくれたはずなんだ」

「さあ、それはどうかな?」
不敵な笑いを浮かべて弟を遮るステア。
「キャンディはお前より僕の方を好きだったかもしれない。『ステア、あなたってハンサムね』って言ってくれたんだから」
「どうせ『メガネを取ると・・・』っていう条件付きだったんだろうよ」
弟にしっかり見抜かれて反撃の余地もない兄。

「ちょっと待ってくれよ。みんな僕が死んだと思って好き勝手なことを言ってさ。いいかい、僕はキャンディにとって初恋の王子様なんだ。君らとは格が違うんだよ、格が!」
鼻を鳴らしてそっくり返るアンソニーに、残りの輩が集中砲火。
「ふん!何を偉そうに。たまたま丘の上の王子様にそっくりだったから得しただけじゃないか」
「・・・・」

四人が互いの足を引っ張り合って醜く言い争っている最中、こっそりと狡猾にキャンディへ忍び寄るアルバートさん。
「これだから青二才のガキはダメなんだ。我こそが丘の上の王子様。キャンディに一番お似合いなのは、渋い魅力に満ちた大人の僕さ」
そう言いながら彼女の肩に手を伸ばそうとした瞬間、四人の罵声が空気を裂いた。
「抜け駆けはフェアじゃないですよ。そこのおぢさん!」
「ガビーン(-_-;)」

五人同時に迫られ、目移りし放題のキャンディは、たまらなくなって嬉しい悲鳴を上げる。
「あ~ん、もう・・・いっぺんに言い寄らないでよ。迷っちゃうんだから。えーと、こうなったら、うーん、この際だから・・・」
 


「順番に付き合っちゃおうかなぁ(*^_^*)」

自分の声が頭に響いた。妙に現実的な音がする。それに何だか周りが明るい。

「・・・ディ、キャンディったら!」
耳元で金切り声がした途端、目を三角に吊り上げるレイン先生の顔が見えた。
「全くあなったって人は、いくら起こしても反応なしなんだから。また遅刻ですよ」
「え?だって今日はクリスマス・イブ・・・」
「なに呑気なこと言ってるの。そんなものはとっくに終わったでしょ。それに『順番に付き合っちゃう』って一体何のことです?」

驚いて飛び起きると、真っ赤な顔をしながら支度するキャンディ。
順番に付き合うどころか、もう誰もいなくなっていた(T_T)

来年のイブこそは、誰かつかまえてやる~!!
 


管理人かばくん、平身低頭。
すべてのキャンディファンの皆様に懺悔いたします。
こんなもの書いて、本当に申し訳ありませんでした
m(__)m