短歌会 かりんの、
支部の大先輩の歌人 田中翠友さん
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第1歌集 『 ふるさとの駅に立てば 』
を上梓され
わが家に ご恵送いただきました
ほんとうに ありがとうございます
いま 読み進めさせていただいて
おります

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『 ふるさとの駅に立てば 』
慈しみと 悲しみが
あふれている歌集です。

3首 紹介させてください。
44頁
大切なものは誰にも冒されず
色なきままの透けたる魚
45頁
生と死が地層をなせるミルフィーユ
薄く剥がして食べてしまえり
第2章の『 戻らぬ時間 』より2首。
1首目。「 透けたる魚 」は
作者のこころに
ずっと 泳いでいるのだろうか。
悲しみを「 魚 」と表現しているのか
亡くした方を「 魚 」と表現しているのか
それは 作者にしか わからない。
巧みな比喩が光る挽歌。
2首目。「 生と死 」の「 地層 」とは
唯一無二の表現なのではないだろうか。
そして その「 地層 」が
「 ミルフィーユ 」だという。
「 剥がして食べ 」ると
いったい どんな味がするミルフィーユ
なのだろうか。
上句と下句のバランスと、
「 さ 」行の韻律が みごとな印象。
第4章 『 六月のスペイン 』より
169頁
六月に恵みの雨降るバルセロナ
旅人われの傘の小ささ
作者がスペインを旅した時の旅行詠。
「 傘の小ささ 」とは
バルセロナと作者を自身が比べ
「 小ささ 」と過小表現したのか。
にしても、
作者自身が 傘をさしているところを
俯瞰で 見ているような映像が
くっきりと 立ち上がった
明るい印象の1首だということは
間違いないと思う。
これからも、日々 読みすすめて
勉強させていただきたいと
思っております。
装幀が グリーン、
歌集タイトルの文字が銀色。
透明度の高い川の水が
光をつれて流れてゆくように
こころに響く歌集です。
