過去のわたしが
今のわたしを
ささえてくれている時間。
まぎれもなく
やさしく
あたたかな手で
うなだれた
わたしの せなかを
さすってくれてゐる。

ときおり
ページをめくり
過去のわたしが
創りし
作品たちにふれる。
そして
今日も
呼吸しようといふ
気持ちになれるのだ。
朝と生の匂ひが
わたしの網膜に
わたしの右脳に
やどる。

「 むらさきの 夕陽の中の
朧気な しあわせのひとつ
右脳に 飛びこむ 』
KADOKAWA 「短歌生活」より

しあわせは
だれが
決めるんだ?
わたしだ。

朝と生の匂ひを
わたしのものとして
いま、
呼吸する。

過去のわたしが
今のわたしの
しあわせを
つくりはじめる時間。

過去のわたしを
好きになれてゐる時間。

過去のわたしが
あたたかな手で
わたしの背を
さすってくれて
わたしは
あしたといふ
空へと 飛びたてる。
なぜなら
「過去のわたし」といふ
「あなた」が 好きになれたから。