霧晴れて われの心の霧晴れて
山を登らむ 業を背負ひて

ずいぶん 山を登ってきた気がする
何十年も かけて
いったい どのくらい
登ってきたのだろう
この険しい山には
八風という風が吹き
私を苦しめている
妬み謗り傲り中傷慢心
ありとあらゆる落石が
どこからともなく
転がり落ちてくる
しかし
登ることを
休んだら 敗けだ
自分に敗けだ
自分に恥ずかしくなきように
今日も 山を登る
文筆という業を背負ひて
ひたすらに
後ずさりせぬように
自分自身に期待して
今日も 私は山を登る
この長き長き登山も
振り返ると
ダイヤモンドダストの如く
きらきらと煌めき
輝くものであれよ
たとえ 一瞬であっても。

人生はダイヤモンドダストの如くなり
業をいさ 枕にせぬか 冬銀河
