くたびれて 玄関へ荷をおくと
駆けよってくる足音が きこえる
扉を開けると ちいさな君がいて
まあるい瞳で ぼくを見つめる
そして ぼくの顔をくすぐったくなめるんだ
とほうもなく長い独りぼっちの時間を
待っていてくれる
茶色の瞳のありす
理不尽なことばを投げつけられて
傷だらけで 帰り着いた夜
君はいつもどおりに
ぼくに頬擦りしてくれた
あったかい体温が
冷えきった心臓をあっためてくれた
やさしい瞳のぼくのありす
いつのことだったろう
川のほとりで
むらさきの悲しい夕日を
君と２人でいつまでも見ていたっけ
いつか 君のたましいが君のからだから
さよならするとき
そのとき きっと
ぼくの世界から 色がなくなってしまうだろう
春の桜 夏の青空 秋にふみしめたポプラの黄色
泣いてるような冬空のグレイ
いくども いくども
涙がでるほど美しい季節を
一緒に越えてきたね
ありがとう ありす
今年の桜も 笑顔で迎えよう
かけがえのない ぼくのありす
愛しているよ 心から
君のどうしようもない同居人より
愛をこめて
