おいしいごはんが食べられますように

高瀬隼子


読了感想(ネタバレ)




めちゃ面白かったー!!笑


いるいる、責められない嫌いなやつ。


ふと、高校時代に自分の精神病ませた友達の事思い出したな。


自己主張少なくてノリが合わない子でみんなうっすら嫌いなのに、向こうは悪くはないから結局ハブる私らが悪になっちゃう、みたいな。。


倫理観ガチガチだったけど楽しい友達とだけ居たいのも確かだったから、ハブってしまいたいのとハブしたらいじめになってしまうじゃん、という狭間で精神ぶっ壊れたな。はは。


装丁すっごい可愛いのとタイトルからして癒し系小説と思ったけど、超毒吐き小説だった笑


序盤で藤さんが芦川さんのお茶を勝手に飲んで(間接キス)、それを芦川さんが許容しているところ「え?キモい!?どっちもキモい!?どうなんのこの話?」って思ったけど、か弱くて許容する優しさを持つ芦川さんは強過ぎる。か弱さを武器にした最強人間。これが天然か計算かは明かされないけど、どっちでも怖い!てか計算であって欲しい。そしたら芦川さんを悪者扱いしても罪悪感がないから。


二谷は全体をうっすら見下すキモ怖いやつ、と思ってたけど損得勘定優先な部分は分からなくもないなと感じた。でも食への無欲さは異常。変な人。二谷の人生背景になんかありそう。祖母の「ひ孫みたい」くらいしか分からなかったな。家族間の仲も良さそうだったし。上手く取り繕えるからな二谷。


押尾さんはずっと大好き。応援したいし、「好きだからやりたいんじゃなくて、やるならちゃんとやりたい」って二谷にわかって貰えたとき嬉しかったな私が。押尾さんが一番人間だった。貰ったお菓子を机に戻し置く行為は、あまり良くなかったかもしれないけれど、芦川さんに効いてほしいカウンターとして選ばれた手段だなと思うと責めきれない。直接言えよはホントそうだけど。まぁでも「いじわるしませんか?」の意地悪が丁度良いというか、まぁでも押尾さんの気持ち知ってだからだろうけど。

かと言って直接「あなたの善意菓子にはうんざり。だったら仕事して」とか言っても芦川さんのか弱さには勝てないし、仕事が出来る様になるわけじゃないし、しくしくと泣かれたら藤さんも原田さんも芦川さんの方を持ち押尾さんがどの道責められるんだろう。押尾さんパワハラになっちゃう。




「人の善意を嘘でもにこやかに受け取らなければなならない」




この暗黙のルール、私も結構嫌いで。

とくに私は「優しさ」と「気遣い」というのは少し違うなと思っている。

優しさは、私が困っている事を見兼ねて、手を貸してくれる事と思ってる。私の気持ちを汲み取ってくれた事が嬉しいし助かるし心から感謝したい。でも気遣い、つまり困ってもいない私でもできる事に先回りしてやってくれる事にモヤってしてしまう。

言いはしないけど「感謝の搾取だよそれ」って感じするの。(体育会系の上下関係の部下は必要なスキルかもだけど。今の時代は部下が先回り思考古いよね。でもやれる人がやるはまた違う。芦川さんの思うつぼ笑。)


今の職場であるのは、忙しいときは見向きもしないのに、業務の息抜きとして「降ろそうか?」って荷降ろしを手伝ったりする事とか。

普段1人でやってるし、届かない・重たすぎるときは自分からお願いしに行くので、向こうから手伝いにやってくる気遣いが本当に苦手。というか腹が立つ笑。感謝の搾取と思っている。

お昼のお弁当を取るのに前の人が取るのを後ろで待ってたら前の人から渡される、も「自分で取れるよ。自分の分は自分で取るよ?」とも思う。でも断ったり「いやいや、いやいや」と押問答繰り返す方がダルいから「ありがとうニコリ」と受け取りはする。


そう!気遣いについても本当に本当に、

「不毛の譲り合い」も大っ嫌い!!!笑

「どうぞどうぞ、いやいや…いやいやあなたから…いやいや…本当に私大丈夫ですんで」まじなんっっ?

(といいつつ自分のわがままに付き合わせたという罪悪感が無理なので譲っちゃいがちなんだけど)


話が逸れた。


そして話を遡る。

装丁の可愛さ、タイトルの豊かな願い、あーこれ芦川さんなんだって読み終わって分かる。

読む前、「装丁かわいい」と思った私。まんまと二谷のラストじゃん笑。


やられました。


本当に面白い本でした。


作中に出てくる、芦川さんがケーキのナッペ上手になりたくてナッペ教室行った話が1番面白かった。ナッペ教室って何?笑。ピンポイントすぎん?笑