読んですぐに、
あの人に貸さなきゃ!と、
1人の大切な人の顔が浮かびました。
わたしにカフェのあれこれを教えてくださった、「カフェHIYORI」のママさん。
内容も告げずに、無理やりお貸ししてしまった本を、
すぐに読んでくださって、
案の定、共感の嵐!
これこれ、これだよね!って、
主人公の行動と想いに、とっても共感し、ふたりして熱くなった、
そんな1冊をご紹介します♪
「雪と珊瑚と」
梨木香歩 著
角川書店
1人の若きシングルマザーがカフェを開店する、という物語。
小説ですから、
現実にはありえないような奇跡が面白いくらい次々と起こって、最終的には全部うまくいって…という展開も、もちろんかまわないんですが、
このお話を読んでいると、
ああ、こういうことってきっとあるんだろうな、って、
運命的な何かに導かれるように、偶然が重なってたどり着くような、
そういうことって実際にあるものなのかもしれないな、っていうことを、
信じたくなるような気がしてくるんですね。
それは、
この本が、小説でありながらも、女性が1人でカフェを開店するまでの道筋を、恐らく綿密な取材に基づいて書かれた、非常にリアルな構成であること、
そして、主人公がカフェを開く、という動機が、とても真摯であることが、
大きな要因だと思うのです。
主人公はけっして、流行りだからとか、みんなにもてはやされたいとか思って、カフェをやるわけではない。
ひとつは、生活のため。
生まれたばかりの子どもを1人で育てるためであり、
もうひとつは、
彼女の人生に対する思想に深く絡んでくるテーマだから。
どちらも、生きるために、というシンプルで力強い動機です。
カフェをオープンさせることができた後も、
彼女は、食べること、生きていくこと、人生について、考察をめぐらせます。
この主人公の真摯さが、彼女に協力してあげたいと、周囲の人たちに思わせるのでしょう。
いろんな登場人物を巻き込んで、物語は展開していきます。
そして、この主人公に力を貸してあげることになる、1番のキーマン、くららさんという女性が、とても素敵で、
この人の作る料理が、本当に身体も心も温まる美味しそうなものばかりで、
物語に凛とした彩りを添えてくれています。
作者の梨木香歩さんは、デビュー作「西の魔女が死んだ」で、
不登校の少女に、魔女の教えを説く素敵なおばあさんとの交流を描き、
ラストはがつんと感動を与えてくださいましたが、
自然の中での暮らしや、手作りのもの、生きること、というテーマを、ずっと描かれているんだなぁと思いました。
カフェ好きな方、美味しそうなお料理の出てくる物語が好きな方には特にですが、
生きること、人生について考えたい方にもおすすめの本です。
ぜひ読んでくださいね
![ニコニコ](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/139.gif)
それでは
![音譜](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/038.gif)