日記をつけている。ほとんど愚痴みたいなものだけれど、書くと1ページ進む。ノートを使い終える達成感が欲しくて薄いノートにちまちまと。「ことば花摘み」という名前をつけたのは、職業学校でターミナルケア(死に際の介助)について話す講師が言った言葉が胸に残ったからだ。

「メメントモリ、って聞いたことありますか。」
 死を忘れるな、だな。なんだかよく聞く。厨二臭い言葉だなぁなんて思っていた。
「メメントモリ、は修道院であいさつの言葉でした。【死を覚えて】という意味です。この言葉には続きがあります。カルペ・ディエム、【その一日の花を摘め】というものです。」
 警告のように感じていたメメントモリという言葉が急に温かみを帯びるのを感じた。人は死ぬから、一日に一つくらい良かったことを摘んで集めて(死ぬまでの)花道を飾りたいものだ。
 まぁでもそうもいかないこともある。個人的には文字を書くことは用を足す事に似ているように感じる。どういう訳かこちらも「花を摘む」と表せる。そんなこんなで日記をつけている。