3年ほど前、自分達の為に会員登録した前橋から車で2時間
以上は掛る地域に住む夫婦が、前橋の病院に入院している娘
さんのところに来るから、相談しておきたいと連絡が入る。

11時の法要から始まり、問合せの電話が相次いでおり、前橋
市ガイドブックが配布されたようです。

12時に入会相談、1時に突然の来館、1時30分相談と続き
そして最後に娘さんの事で両親が来館されました。

聞くと42才娘さんは出戻りのようで、七夕の時は何の問題も
無かったそうですが、その後に体調を崩し総合病院で検査を
すると卵巣癌末期だったそうです。
台風の時に来館予定でしたが、風雨が強く日延べして来週の
頭には相談の予定と聞かされていました。

しかし24日午前3時頃、病院から連絡が入るほどに悪化し
今はより強い鎮痛剤を投与したそうですが、痙攣を繰り返し
見ているだけでも辛いと言います。

考えなければ成らない終幕後の相談を切り出すと、娘は痩せ
細って親戚も含めて、家族以外は誰にも言って欲しくないと
言われたと聞かされる。

この感覚分る気がします。
20年ほど前、僕の姉は胃癌で46年間の人生を終えました。
最後の時が近くなると、さすがに、もう駄目かもしれないと
僕に言い、死後の姿は誰にも見せて欲しくないと言いました。
鏡に写る自分の痩せこけた顔、、普段とは別人の顔ではなく、
化粧した普段の自分を覚えてて欲しいという事だったのです。
きっと娘さんも同じように考えているのでしょう。

家族3人だけで送るなら直葬で良いのでは? と確認すると、
自分達もそう考えていたとの事、墓には入りたくないと言って
いたので散骨と一部焼骨は両親が手元に置きたいと言う。

なら僕に出来るのは通常60才以上の会員限定『ぱっく60』
があるから、それを対応するけど・・・と伝える。
年金だけの生活をする夫婦は有難うございますと言い、葬儀の
内容はあっさり決まりました。

両親には続けてこう伝えました。
「住まいから病院まで2時間以上掛るでしょ?」 「はい」
「多分、運転得意じゃないでしょ?」 「はいその通りです」
「それに途中の山道は街路灯も無く真っ暗じゃない?」
「そうなんですよ」
「なら、病院の担当看護師か担当医に、その時は前橋のあん
しんサポートが迎えに来るので、死亡診断書と遺体を引き渡し
てくださいって伝えておいてください。 それなら、我々が
あんしん館まで連れてきて安置しておくから、夜中だとしても
慌てず、事故らないようゆっくり来れば良い、安置が済んだら
連絡するからさ、それなら安心だし慌てなくて済むでしょ?」

それを聞いたお父さんは、目を真っ赤にして、ありがたいと
何度も言っていました。

翌日、早々に総合病院の看護師さんから電話で、お迎えまでの
安置予定の場所と連絡方法の確認がありました。

自分達より先に子供が逝く・・・
日に日に弱る娘の姿を見る両親の心境を思うと、どれだけ辛い
のか想像を絶する心境だと思います。

我々が出来るのは、ほんの小さな心遣いでしかありません。
でも、その小さな優しさが、年老いた両親の辛い真っ暗な心に
小さな灯となってくれたら、小さな温もりでも感じて貰えたら
そして・・・娘さんの希望も叶え、温かく送れたと感じて貰え
たなら・・・この仕事をしていて、あんしんサポート葬儀支援
センターをしていて良かったと思えるでしょう。

逝去、葬儀だけはやり直しが出来ません。
だからこそ冷静で客観視できる我々が、その家族にとっては
最善と思われる内容を事前に予測して提案するのが、葬儀の
仕事をする上では、とても大事な事に思えます。


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