納棺師と言えば7年前かな? 映画『おくりびと』で有名になった

仕事のひとつであり、当時は納棺師を希望する人が急増したと言う。

あんしんサポートを設立した時期であり、役者の素晴らしさもある

でしょうが、映画を見て感動したのを思い出します。

当時の僕は全くの素人でしたから、葬儀の実務は提携した葬儀社が

行っていました。いくつかの葬儀社と提携した事もあって、葬儀社

毎に違う納棺師を見て学んでいましたが、いくつかの疑問から僕は

自分なりの納棺師を目指すことになったのです。

① 映画おくりびとの納棺師は見せる納棺です

ご遺体に死化粧、死装束を行う様子を家族親族達が見守る形式

映像として最高ですが、ショー!?と思えて違和感がありました。

② マニュアル化されたロボット納棺師

多分、圧倒的多数の納棺師像だと思います。 決められた話しをし

決められた手順で進行、淡々とこなす姿は①と同じですが、①より

話しはしますが、血の通わないロボットにしか見えませんでした。

考えようによっては一番無難な納棺師ですが・・・それだけです。

③ そして語る納棺師、多分一番少ない納棺師像でしょう。っていう

  より僕は自分以外知りません。 もしおられるとしたら、誰かに

  教わった納棺師でないはずです。 

今回は省略しますが、①②ともに僕には納得できない納棺師だった

わけで、何を伝えるべきか考えた結果として生まれたものです。

僕が目指す理想の納棺師とは

『やたら葬儀に詳しい親戚の叔父さんが行う納棺師』

誰かに気兼ねせず、和気あいあいとし、その家族の持つ温かみある

空気の中で、自分達の手で送ったと思えるお葬式のお手伝いをする

のが、僕の目指す納棺師像です。

20日あんしん館で行った葬儀は『家族で送るお葬式』でした。

一か月ほどまえ、事前相談者が次々と来館していた日、予約も無く

突然来られた女性は、父親の余命わずかと知り、その時どうすれば

良いか分らないので以前から気になっていた、あんしんサポートに

来たと言います。 お金は無いけど、とにかくうるさい叔母さんが

いてお寺の近所に住んで、住職とも親しいから一般的な葬儀をしろ

って絶対に言う・・・だけどお金はないというものでした。

そこでお父さん自身の事を聞くと「焼くだけで良い」と言っていた

というのですぐに回答します。

「お父さんが会員になって直葬の予約をしてある。 父親の意思を

尊重してあげたい。 お父さんは川にでも流してくれりゃ良いって

言ってたけど、そうはいかないから納骨の時は叔母さん、お寺さん

のほうを宜しくお願いしたい」と叔母さんの顔を立てる形で言うよ

う伝えて帰しました。 その後は、すっかり忘れていたのですが、

一般葬前日、午後11時逝去の一報、安置が済んで以前話した通りに

直葬で良いかと聞くと家族葬をしたい言う。

「ん? なんで? 叔母さんが駄目だって?」

「いいえ 叔母さんは父親が自分で希望したなら、納骨の時だけは

お寺に依頼すれば良いって言ってくれたけど、299.000円の宗教者

付家族葬をしようと思ってます」と言うのです。

「なら、湯かん納棺を葬儀とした宗教者のない葬儀もできるから、

そのほうが後々もめることもないし」と勧めました。

20日午後12時15分、家族親族全員揃ったので15分早く開式・・・

と言っても湯かん納棺ですが、僕が納棺師で始めます。

13名の親族による湯かん納棺の儀は、泣いたり笑ったり、いつもの

あんしんサポート湯かん納棺でした。

90分間後、花を入れ、好きだった食べ物、先に逝ってるお母さんの

好きだった餡子菓子を土産に持たせ「まっすぐお母さんの所へ逝く

んだよ」と娘が伝え全員でフタを閉じて出棺しました。

火葬時間は火葬場で合流した人を含め15名でお清め、70分後拾骨

21日昼頃支払いにきてくれました。

□ 家族で送るお葬式169.000円(搬送~個室安置~骨壺まで)

 搬送、ドライアイス2回迄、個室安置3日迄、施主花一対、白木膳

 一式、湯かん納棺一式、棺一式、式場一式、線香具一式、門標、

 受付一式、霊柩車、骨壺一式、全日程人件費

□ 四切遺影写真    13.000円追加

□ 一般返礼品12個、料理15人前、清掃員

以上全ての総支払額は269.460円+斎場待合室4.110=273.570円

の支払いが済むと深々とお礼を言い、温かく送れて本当にありがと

うございました。一番うるさい叔母ちゃんが、一番感動してたし、

他の叔母ちゃんは入会に来るって言ってました。・・だそうです。

湯かん納棺後、良く言われるのが「いいお話しで勉強になりました

聞けば聞くほど、そうだ、そうだ、その通りだ、ごもっとですと、

思う話ばかりだもんね」と言われますが、それって難しい事なんて

何一つなく、実に簡単なことです。 ・・・って待てよ・・・

葬儀屋、宗教者、業者が何をどんな風に言うか聞いていれば、その

人の本音、本質が分るんじゃないかな・・・

そうだ、そうだ、その通りだと納得するのはなぜか? 

簡単に説明できる部分と、簡単じゃない部分があると思います。

文字で理解して貰える部分ならいくらでも書きますが、個性と

言うか、話し方や、雰囲気や、声の大小や声質や、表情とか、

更には説得力に至るまで、文字での表現が不可能なほど難しい

部分のほうが、内容よりも大きいのは間違いありません。

けど次回、もしくは近々書いてみるつもりです。

↓↓↓↓
  
にほんブログ村


ひとつひとつの葬儀を確認・反省・向上する為に書く実践日誌でもあり、

これから葬儀を
経験される方々が後悔しない為に役に立てたらとの


思いを込めて書いています。 宜しければクリックをお願いします