昨日の朝一も直葬の火葬がありました。

一昨日午後総合病院から搬送した95才のお爺ちゃんは、両腕全体

水泡で看護師さんからちょっと触っても破れてしまうと思う・・・

と言われましたが家族の希望で個室ベッドにそーっと布団を掛けて

ご安置が済むと、直葬の流れ葬儀後の手続き、そして後に残る一人

暮らしのお婆ちゃん92才は、穏やかな顔付き、温厚な話し方をして

目を輝かせて話しを聞く可愛いお婆ちゃんでした。

杖をつきながら、やっと歩いているお婆ちゃんに「明日の斎場では

車椅子に乗って移動すると楽だよ」と伝えると「うん」と笑顔で

答えてくれ、あんしん館外までは僕が手を繋ぎ、その先は娘さんに

手を支えられて帰っていったのです。

翌日午前9時前、娘婿さんが来館され準備をしていた我々に封筒に

入った謝礼を「お母さんからです」と渡されました。

2度ほどお断りしましたが「お母さんからですから・・」と言われ

一旦お預かりし、中身を確認して貰うと3万円入っていると言う。

金額を聞いて益々貰えなくなりましたが、お婆ちゃんの気持ちを傷

付けずに返す方法を考えることにして、火葬の準備を進めます。

午前9時20分予定通り霊柩車を走らせ、斎場で専用カートに棺を

乗せると12号の炉がある一番奥の部屋に運びます。

霊柩車を駐車場に停め、火葬炉に向かい、お別れをしていた家族に

確認し、担当者に火葬の進行をお願いします。

予定では数人だったはずが15名いるのを確認すると、千明に指示を

出します「すぐ待合室を借りて、貰った中から支払いも済ませて」

釜に火が入るのを待ち、約70分の火葬時間と伝え待合室まで案内、

昨日は杖を付いて歩いていたお婆ちゃんが、杖もなく足取りも軽く

歩いているので声を掛けます「お婆ちゃん車椅子は良いの?」

「うん 昨日皆と一緒に話しをして元気になったから歩いていける」

昨日と同じ笑顔、92才とは思えない輝きのある眼差し、僕のほうが

笑顔になってしまうお婆ちゃんは昨日より元気でした。

部屋に案内しながら千明に「お茶15本買ってきてと指示を出します」

部屋は借りましたが、何も準備はしていませんのでペットボトルの

お茶を出すと娘婿さんにお婆ちゃんも呼び出して貰い、待合室前の

無料待合所に座って話しを始めます。

「お婆ちゃん、独断だったけど人数が多かったから待合室を借りて

お茶出して、部屋掃除1名分の人件費もいれると9.150円、これを

お婆ちゃんから頂いた中から出させて貰って、850円はうちで頂く

ことにして、あとの2万円は今回の葬儀が一段落したら娘に温泉に

でも連れっていって貰えるように僕から2万円渡すね。お婆ちゃん

の気持ちは充分頂いたけど、このままだと僕の中に後悔が残るから

さ僕の我がままだと思って温泉にでも行ってね」と返金。

お婆ちゃんは相変わらず笑顔で「私の気持ちが伝わったのは分った

から温泉に連れていって貰います」と受け取ってくれました。

今回のエピソードは92才のお婆ちゃんから謝礼は貰えない・・・

という何処にもある話しですが、この決断にはもう少し深い意味が

あり、以前のブログでも書いたように、人って貰うことになれると

それが当然と思うように成り易いのを、かつてホテルの婚礼美粧を

行う会社を経営していた時に知りました。

僕も人間ですから、毎回のように何がしかのお金を貰う事に慣れ、

何もくれない人と、くれた人を心の中だけでも区別し始めたら最後

きっと誰の中にもある『強欲の扉』を開けてしまうかもしれません。

うちのように利用者は余り余裕の無い人達のほうが多い環境だから

こそ、利用者に提示してある以外の費用は掛からない、当然チップ

など不要が当然になって欲しいのです。

葬儀社でチップや寸志が欲しいなら、初めから名目を付け利用者が

明確に分るように提示すれば良いのです。

だって正確には臨時収入ですから、確定申告すべき収入だと思う。

ようは貰うなら堂々と貰える方法をとり、貰わないなら「不要」と

ハッキリ伝えることが信用を守ることに繋がると思っています。

目先の小さな利益が、大きな信頼を失う引き金、なんてのはあまり

にも馬鹿げてますからね。 今回の内容は僕の存在が無くなった後

にも伝え続けて欲しい事のひとつです。

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