葬儀の中で時々聞く、話題にでる話・・・

特に女性から出る話題で、死顔が穏やかで眠っているようだとか、ゆす

ったら起きそうとか、終いには生きている時よりシワが無くて綺麗だと

いう話まで出たりしますが、女性は亡くなってからも顔が気になる?

ということなのでしょう。 

死んだあとなんて・・・という意見もよくありますが、おっさんだけど

僕はそうは思わないというか、死の直前まで最後まで女である事を意識

して終幕を迎えるなんて良いじゃないですか。

80才で亡くなった僕の母親もそんな一人でした。

終幕間近の入院中、同室の患者さん、患者さんの家族や見舞客、そして

自分への見舞客や病院関係者と顔を合わせるからでしょうか、朝から

化粧をしているので、回診の医師が来ると言ったそうです。

「武井さん、化粧されたら顔色が分らないよ・・・」 それでも化粧を

続けた母親でした。 患者としては褒められませんが、最後まで女であ

り続けたのは少し見習うべき部分のように思えます。

僕の知る限り人は結婚か、30才くらいを境にして二つの道に分かれる

気がしてなりません・・・思い込みでしょうか?

① オバタリアン(おっさん)街道まっしぐら組

② いい女(いい男)街道へひたすら邁進組

どちらが良い訳ではありませんが、女や男の部分を忘れずに生きられた

ほうが・・・と思うのは、僕の母親もそうでしたが、僕のお婆ちゃんも

そんな人だったからでしょうか。 

逝去すれば肌も含め全ての緊張が解けて、重力で下に下がるのは理解が

できるでしょう・・・それがシワを無くすことになる訳です。

当然、血液も下方に集まるので下になった背中側はうっ血しています。

が、顔などは血の気が無くなり色白~青白い顔になっていきます。

亡くなった翌日などの顔は、シワが取れ、色白になった状態で穏やかな

顔であれば、俗にいう「いい死に顔」ってことにもなるのでしょう。

しかし死顔は亡くなった時の状態で様々です。

眠るように亡くなった方は、眠っているように穏やかな方が多く、息が

大変だった方はくちを開いており、少し目が開いている方も結構いるし

中には目を見開いた状態で亡くなり、簡単には閉じない場合もあります。

長期に食事が摂れなかった方は頬がこけて人相が変っている方も多い。

家族が安堵できる表情で無い場合、我々の化粧、美粧技術の差がでる事

になってくるはずです。

多分、葬儀屋さんは元々化粧などしなかったのでは? と思います。

そこで納棺師など死化粧のできる人達に費用を払って依頼するのです。

うちの場合は僕自身は美容師ではありませんが、美容室を経営し化粧は

美容師に教えてきた経緯もあるので、最前と思われる時間帯に死化粧や

処置などを行えるのは大きなメリットです。

逝去直後だと、体温もあり、死後硬直もしておらず、合掌を組むならば

最適な時ですが、化粧に関しては血の気がある段階の為、翌日は違った

印象の顔になる可能性もあります。

また先ほど書いたようにシワも伸びておらず、化粧ムラもできやすい。

ある程度硬直した段階で、死顔の素顔が分かってから、体内から水分や

血液など出て来ない状況になってから始めます。 この段階までくれば

目の開き、くちの開き、うっ血状態なども全て確認できるからです。

技術的な部分は書いても仕方ないので、化粧や含み綿などの処置をする

基準だけ書いておきます。

僕の場合「眠っているように穏やかな顔」が全ての基準です。

起きている時のような濃い化粧はしません。 作り過ぎもしません。

故人を見た家族の心が穏やかになってくれる顔・・・が基準です。

うちの場合に限っては、自殺で顔の半分が吹き飛んでしまった方以外で

事故死なども含め穏やかな顔になってくれなかった方はいません。 

通常の逝去で難しいのは黄疸で顔が緑色になった方ですが、化粧は若干

濃くなりますが、弔問客が普通に会って違和感の無い顔にはなります。

人は亡くなるとシワが伸びるから若く見えるよ・・・だから女性は安心

して良いですよって事だけを書くつもりでしたが、ご遺体の状態により

技術力の差がでて、家族の印象、心象は大きく違っているはずです。

花や供物を沢山飾ることより、故人を安らかな顔にすることで、家族の

心も穏やかになれる・・・そのほうが大事に思えます。

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