14日午後になり友引を挟んで3日間続いた葬儀が、ようやくひと段落して

事務所に戻ったのですが、この一週間は僕自身の体調も最悪でした。

ピークは支援地域外での斎場葬儀の日で、38度以上の熱がある中で初めて

利用する施設での葬儀は正直きつかったです。

今は受けない葬儀ですが、設立当初からの会員さんでその地域の公営斎場で

行う葬儀として受付てあったもので、既存会員の中で唯一特例として存在し

た葬儀でもありました。

体調が悪い中、何とか家族に悟られないよう進めた葬儀終了間近、別の会員

さんから葬儀依頼が入り、お迎えに行く病院がその式場からだと片道1時間

30分はゆうに掛かる支援地域内最北西部だったのです。

拾骨と自宅安置は千明に任せて、息子と二人で事務所に戻り、寝台車に乗り

替えて病院に向かいましたが、行き帰りは殆ど霊柩車の助手席で眠っていな

ければならないほどの体調から、できるだけ早く帰り水分を摂って眠る、、

これを繰り返した事で3日目の今日、やっと体調が戻り火葬が済むまで色々

話しをして事務所に戻ると、息子が3人の方と相談をして入会手続きをした

あとだったのです。

「こんにちは、どなたかお近い方がいらっしゃるのですか?」すると笑顔で

「はぃ、俺なんですよ」とご主人、隣の奥さんも笑ってるし、娘さんも笑顔

で「母はいつもこんななんですよ」と一見明るく見えましたが少し違和感が

あるので「俺って? 随分先の話ですね」 と言うと笑顔で「いやいや来年

4月頃だって言われてて、末期の癌で今は少しむくんでいるけど、先日まで

げっそりしてたんですよ。 もう治らないって言われてて・・・」さすがの

僕でもすぐに言葉が出ません。

「で、どう考えたのですか?」と聞くと息子が「自宅安置、家族葬パックで

宗教者も紹介を一応ご希望です」と説明、ご家族も頷いておられます。

見ると奥さんも足にギブスをしておられたので、よほどの財産でも無ければ

治療費、投薬代等で支出のほうが大きいだろうと思えました。

「ところでご主人おいくつですか?」「61才です、、参りましたよまさか

って本当にあるんですね。 最低でも年に一度は健康診断をしておいたほう

が良いですよ」とのこと。 少し雑談をし家族の雰囲気を掴んで言います。

「ご本人を前にして何ですが、自分で自分の葬儀予約をされる気丈さがある

のであえて言います。 今はこうして家族3人で出掛ける事も、笑いあう事

だって、旅行だってできるし、食べたいものも食べられる。 ならば葬儀の

費用なんて残さなくても良いから、正確に言うなら自宅安置なら5万円だけ

あれば良いから、家族3人で家族の思い出作りを目一杯してください。こう

してうちに来た今から、もう葬儀の心配は要らないし、喧しい親戚がいると

したらご主人が一筆書いて置けば済むことです。 今日からは、それが何年

先になったとしても思い出作りをしましょう」と伝える。

それを聞いたご主人「そんな風に言って貰えると嬉しくて涙が出そうだから

そろそろ帰ろうよ。 でも俺はついてますね。 最後にこんな出会いが出来

たのだから・・・」と目を潤ませたのを隠すかのように笑顔で帰りました。

自分の余命が半年ないと言われて、平常心で居られるほうが不自然です。

ご主人は奥さんや娘さんに、心配を掛けたくないからの精一杯の演技です。

凄いですね、、一家の主として最後の最後まで家族を守ろうとする姿勢には

2才上ですが、同年代の僕には痛いほどご主人の気持ちが分かります。

今日のブログでみなさんに伝えておきたいこと、是非知っておくべきことが

あるのです。 今でも癌は若年層の大きな死亡原因のひとつです。

この方のように癌は脳卒中や脳溢血、心筋梗塞と違う点がひとつあります。

長短はありますが、必ず猶予期間があるということです。

勿論、万全の体調ではありませんが、話も、食べる事も、意思の疎通だって

旅行や映画や遊園地だって行ける期間があるのです。 その間に今できる事

今なら家族で、夫婦でできる事、、その全てをしておくことです。

あとは担当の医師との二人三脚でしょう。 医師は少しでも長く生きられる

ように治療をするのは当然ですが治す治療と、延命治療と、苦痛を除く治療

などがあるのですから、治す治療の段階を超えてしまったら、家族の希望と

本人の希望を伝え、希望を叶える中で必要な治療をして貰えるようしっかり

相談、確認しておくことも後々に後悔を残さない方法のひとつだという事を

覚えておいて欲しいのです。

だからこそ家族に何かあった時、自分はどうして欲しいのか、家族それぞれ

希望を伝え、聞いておくことは大事なのです。

生きてる時に葬儀の話題なんてしたくない・・・気持ちは分かりますがその

受け身の姿勢が、全てにおいて後悔の根源だと知るべきでしょう。

但し、猶予期間とは対象者本人にとっては、死刑執行日を待っている期間の

ようなものです。 対象者が見せる表面の顔だけでなく、その裏にある真の

姿や本音の部分を汲み取って対応してあげる真心は絶対に必要です。

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