オークションで見つけた霊柩車・取得奮戦記
葬儀内容については相当自信もついてきましたが、NPOあんしんサポート設立当初
からの第一目標である5万円火葬支援パックの実現は可能なのか? それとも不可能な
のか? 不可能であるなら、どうすれば可能になるのか? まだ具体的な原価さえ分ら
ずいたのに、店頭看板に89.900円の表示をした直後、火葬葬儀の依頼が入った時、
病院からの搬送・搬送用防水シート・そして火葬場までの霊柩車で45.000円の支
払いが発生したのですが、それでも何とか赤字だけは免れました。
89.900円 - 45.000円 = 449.00円なのですから449.00円+
5.100円 = 50.000となる訳で、ようするに5.100円以内で【病院~
自宅搬送】【搬送用防水シート】【自宅~火葬場】までの費用が捻出できれば5万円の
火葬も夢でなく、最大の課題は遺体搬送用の車両を自社所有しない限り絶対に無理だと、
前に書きましたが、いよいよ霊柩車自社所有を本格的に考える時が来たのです。
ところが、霊柩車をネット検索しても車両価格が全く分りません。
ヒットしたホームページには【価格応談】【価格お問い合わせ】の文字ばかりです。
以前、提携葬儀社の人に「霊柩車はどのくらいするの? 」って聞いた時、安めの家一
軒分くらいかな・・・って言っていたのを思い出すと新車で一千万円くらい? という
感じはしますが、到底無理ですから中古車を探してはいるのですが、何の進展も無いま
ま、検索だけが続く数ヶ月が過ぎた時、高く無さそうな感じの良い中古車情報を見つけ
たのでFAXで確認してみました。
数日後、届いたFAXには【お買い得限定車250万円税別】と書かれてあり、我々に
は検討の余地すらありません。
それから暫くしてヤフオクを見ていると官庁オークションなるものがあって、その中
に一台霊柩車が出品されていたのです。 「おー、あるじゃん」と叫んだ直後すでに閉
め切り後であり入札できないのです。 仕方なく次回のオークションまで待ちますが今
回霊柩車はありません。 「はぁ、、ないか」ため息だけが出ます。 出品が無ければ
どうにも成らないからです。
ところが次のオークションに兵庫県淡路市から霊柩車が出品されているではありませ
んか、それも2台です。 狙いは【黒のボンゴバン霊柩車】病院へのお迎えなら全く問
題ありませんが、斎場の火葬場まで運ぶ時はイマイチな気はします。 しかしそれでも
ボンゴに拘ったのは搬送用ストレッチャーも付帯していたからです。 ストレッチャー
とは救急車が病人を運ぶ時に乗せる台車のことです。 皆さんもテレビなどで見たこと
はあるでしょう。 鉄パイプで出来た台車って感じなので安っぽく見えるのですが、足
が折れ曲がったり、高さが六段階にも調整できたりとUSA・F社の物なら、新品だと
70万円もするようなものが、付帯しているのが魅力でした。 しかしよく見るとオー
クションでなく入札方式と書いてあり、出品者が提示した最低価格以上の価格で、1人
1度だけ金額を提示し最高額を入札した人が購入権利を得られるようです。
最低価格は15万円からのスタートという事ですが、あとは読みの問題だと過去の落札
価格を調べて35万円で入札しました。 数日後、入札閉め切り時間が終了した直後に
メールを受信すると「あなたより高額入札をした方がいます」といった内容のメールで
ようは落選でした。 残念な気もしますが霊柩車としては使い難いのが分っていたので、
さして惜しいとは思いませんでした。 それよりも我々にも購入可能な霊柩車のある事
が分かったのが大収穫でした。
それから数日後、官庁オークションの開催まで日数があるので試しにヤフオクの検索
欄に【霊柩車】の文字を入れて検索すると、ん、あ、あーっ! 待望の霊柩車が出品さ
れていたのです。 真っ黒でシンプルなクランウンですが車体後部のハッチバックは霊
柩車と分る作りに改造されています。
オークション開始価格は5万円で現在価格は15万円になっていました。 ただし走行
距離が17万キロを超えているのが気になったので、知り合いの整備士さんに確認しま
す。「平成9年のクラウンで17万キロ走ってたら、あと何キロくらい走るものなの?
」すると「その年式のクラウンはエンジンも良いのでちゃんと整備していれば30万
キロくらいは走るんじゃないかな」それなら、あと12万キロ以上も走るって事ですか
ら全然問題ありません。 写真を見る限り車体も綺麗だし、屋根付きの駐車場で管理さ
れていたようだし、新車からこの距離を走ったのは、搬送専門の会社なのだろうと思え
る走行距離なので当然整備もしているはずです。(よっしゃーこれに決めた! )金は
無いし、初めてのオークションなのに、買う気まんまんです。
ついでにストレッチャーを検索すると、お、これも出ています。
現在の価格は10万円ですが、即決20万円と書いてあります。 よく読むと、これに
搬送料が8.000円ほど必要なようです。
狙いは定まりましたがオークション初心者なので、終了日時までの数日は動向を見守
る事にして静観の構えですが、ちっとも価格は動きません。 午前8時14分に終了す
る前日の夜ですが、まだ15万円台、20万円なら楽勝で買えそうです。
明日のオークション落札作戦を立てました。
・終了1分前までは静観する
・残り30秒で、現入札価格プラス2万円を提示すれば、ま、買えるでしょう。
という作戦でした。
閉め切りの朝7時30分には事務所に来て待機しながら、パソコンの画面に霊柩車の
ページと、残り時間のページを表示して時々更新ボタンを押しますが、それほどの動き
はありません。 あとは【1分前まで待機→更新→価格確認→2万円上乗せ→落札!】
成功の図式を頭で描きながら残り1分の表示を確認して【更新ボタンクリック】すると、
残り時間が9分に増えています。あれ??? どうなってるんだ? 残り時間に余裕が
あるので、オークションの説明を読むと、残り5分を切ってから入札すると、自動的に
5分延長と書いてある。 ということは最低でも5分間は誰も入札をしない時間をクリ
アしないと落札できないって事です。 ようは残り6分が勝負の時間帯って事です。
昨日立てた霊柩車購入作戦なんて全く通用しないと分った瞬間でした。
すぐに現時点で価格確認に入ると、すでに20万円は超えていますが、残り7分なので
問題はありません。残り6分を切った時、初めて入札ボタンを押しますが(もっと高額
な人がいて入札できません)的な表示が出たので、少し慌てながら何度もクリックを続
けると、ようやく出ました。 【あなたが最高入札者です】の文字、お、おーっ!と、
ちと感動をした入札価格金額は286.000円となっていましたがすぐに価格は上が
り、時間も延びて30万円を突破、残り時間9 分です。
何度も同じことを繰り返しているうちに残り時間のページが2画面に表示されているの
に気づいた時は35万円の攻防をしている時だったので、無視していると2つ開いてい
る残り時間ページの片方が更新されないまま経過していたようで、隣に座って画面の成
り行きを見ていた千明は更新されない残り時間ペーシで時間確認をしていたようです。
38万円台の攻防をする中、少し迷いが出始めます(40万円も出して良いのか?
そんな価値はあるのか? 金はどうするのか? でも、他で40万円の霊柩車なんて買
えるか? )などと考えていたら画面はいつの間にか残り1分を切ろうとしていたので
す。 慌ててクリックをすると更新されたので6分に増えたのは確実でしたが、千明の
見ている残り時間ページは更新がされないままだったようで突然声をあげます。 「あ、
もう時間が無い! あ、終了だ! 買え無かったんですか!」とやたらと喧しい千明に
「何を一人で騒いでいるんだよ」という僕、「だって終了しちゃったじゃないですか」
と千明(なに言ってるんだこいつ・・・?)と思って画面を改めて見ると、2つ開いて
ある残り時間のページのひとつは【終了】の文字が出ていたのです。「あ、ほんとだ、
その画面は終了って出ているけど、本当はまだ終わってないから安心して良いよ。ほら」
ともうひとつの画面の更新ボタンをクリックすると、残り時間9分の表示にホッとした
ような表情です。「ところで、今の状況だと40万円は超えると思うけど どうする?
それでも買うか? 」と聞く僕に千明は言います。 「予想額より高いけど、他で買
ったらもっと高いですよね。 なら、この車を買ったほうが良いような気がするんです
けど・・・」千明も僕と同じ事を考えていたようです。 「分った。んじゃ買うぞ!」
そこから最後の攻防でしたが40万円を超えた瞬間一気に対戦者は居なくなり403.
000円で価格はストップ、最高入札者は僕です。
5分、4分、3分、2分、残り1分、ドキドキしながらその最後の1分を待つ、30秒、
10秒そして、ついにその時が来たのです。 【終了】の文字に、買えたのか? すぐ
にメール受信ボタンをクリックすると「おめでとうございます。あなたが落札しました」
の文字にガッツポーズです。
車体価格40.3000円+リサイクル料10.010円 + 陸送費20.000円の
合計金額は433.010円で待望の霊柩車がとうとう手に入ったのです。
すぐに先日確認した搬送用ストレッチャーのページに移動するとまだ落札されていま
せん。 出品者にメールを出します「運賃まで含めての即決20万円では駄目ですか?」
すぐに返信されたメールには「お隣の県ですから送料込の20万円で良いですよ」との
回答に、即決ボタンをクリックして落札したのです。
霊柩車だけあっても、棺は運べますが病院からのご遺体搬送は出来ないし、ストレッ
チャーだっていつも出品されている訳ではないので、今買える時に買っておくべきと判
断したのです。 霊柩車・ストレッチャー両者に入金先を確認すると、本日中に振込み
完了予定とのメールをしてなけなしの預金から、まずは44万円下ろすと一旦郵貯銀行
口座に入金して、そこから相手の郵貯口座に振り替えると手数料が掛りません。
次にストレッチャー購入額20万円引き出そうとすると、引き出せません。あれ??
どうした? 壊れたか? 思い出しました。 ATMでの引き出し上限は1日50万円
なので、すぐに事務所に戻り相手先にその旨を説明して、明日午前中に振り替えは完了
すると伝えて、落札品の入金を済ませたのです。
こうして、中古ですが何とか手に入れた霊柩車が届き、ストレッチャーが届けばすぐ
にでも稼動できると思っていたのが大間違いだと気付くのは、霊柩車を自ら搬送してく
れた出品者の方と事務所でお茶を飲みながらじっくり話しを聞いてからでした。
車が好きで詳しい人には理解できないでしょうが、ガソリンを入れてあれば車は走る
・・・この程度の感覚しかないのが著者なので、人が聞けば(はぁ? )と言われそう
な事を書くかもしれませんが、そんな奴だと思って読んでください。
サラリーマン時代に、こんな事がありました。
当時クラウンに乗っていたのですが、ある時、部下達を乗せて都内の会議に行く事に
なったのです。 会社に集合した部下達はカバンを車の後ろに置いて言います。
「武井さんトランク開けて貰って良いですか? 」それを聞いた僕は「あいよー」と言
って車から降りて後ろにまわってトランクを鍵で開け、みんながバックを積み込むと出
発です。 少し走った時、一人の部下が言います「武井さん、何でわざわざ鍵で開けた
んですか?」「ん? トランクの事? 」「はい」と言う部下に「鍵で開けなきゃ何で
開けるんだ?」途端に車内は爆笑です。 部下達に言われ探すと、ボタンがあり、それ
を押すとトランクが開いたのです。 車の知識に関してはこの程度なのです。ついでに
書くと、携帯電話は10万円もした時代から持っているのに、メールもできなければ、
写真も撮ったことはなく、携帯からのインターネットは一度も繋いだことさえない。
お陰で迷惑メールなど見たこともない。 関心のある事と無い事がハッキリしているの
かもしれないが、いずれにしても車には関心の無い人間ですから霊柩車を買いさえすれ
ば、すぐにでも霊柩車として走れる!と思い込んでいたのです。
笑い事では済まされないが笑えます。 つづく
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