初めて相談に来られたのは、本格的寒さを迎える1月の終わりでした。
僕と同年代のご夫婦で、都内に住んでおられた奥さんの母親が対象者
ですが、今は市内の高級老人ホームで生活されているとの事です。
このご夫婦、ご主人は社会的地位もあり、費用面では全く問題はなく
普通より遥かに余裕の生活をされている事は僕でも分かります。
だからといって盛大な葬儀をしたいという訳でなく、自分が母を送る事で
後悔しない葬儀をしたいという希望です。 正直、最も難しい相談者の
部類でもあります。 費用面が第一とか、とにかく豪華な葬儀とかならば
低料金葬儀可能なあんしんサポートでは難しい事はありません。
しかし費用ではなく、気持ちの満足最優先となると、本人しか分らない
訳ですから真意を的確に察知するまでが大変です。
最初の相談では、正直なところ真意まで掴めず、ボヤーッと霞が掛かった
ような感覚でした。 結局、計3回の事前相談をして相談者の真意が
ある程度分かったという感覚です。
なぜ何回も会わないと分からない? その理由はこんなところでしょう。
①対象者がキリスト教であり、相談者が教会式の経験がない
②葬儀経験がなく何が必要で何が不要か一般的に多い仏式と教会式
双方の慣習がごちゃまぜになり、ひとつひとつ全てを決める必要がある
③公営斎場での教会式は少なく、相談者の中に設営イメージが無い。
よって、安置する方法から、式場設営、式次第、牧師さんとの打合せ
などなど全てを1から作り上げねばならないからです。
ひとつの例をあげると、対象者が終幕を迎え自宅に安置した場合でも
故人はキリスト教徒ですから当然のように線香はありません。 がしかし
会いに来てくれる人達の殆どは、故人に線香をあげるのが当たり前だと
考える人達だということです。 そこで枕飾りと呼ばれる線香具一式は
枕元に置くが、仏式の祭壇や供物は置かない。 手は組まず、化粧や
整髪はするが白装束は着せない。 などなど仏式葬儀の多い日本では
当たり前のようになっている慣習も、ひとつひとつ全てを決めるのです。
その意味では、ど素人だった僕でも何百もの葬儀をすれば慣れが出て
当たり前のように行っていた事がいくらでもあるでしょう。 それを初心に
返って、家族のしたい事をひとつひとつ作り上げる葬儀に出会えたのは
ラッキーでした。 これから家族の葬儀を出す皆さんも、業者さんの言う
『普通・・・』『常識・・・』『多くの方が・・・』などの言葉に惑わされずに
自分達の家族の思いだけはしっかり伝える事と、その思いを実現して
くれそうな葬儀社であり、担当者を探しておくと良いでしょう。・・・つづく
次回『お婆ちゃんの搬送は台風直撃の瞬間でした』です
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