ムーディーズは5月15日付けで、 AIGグループ保険会社数社の保険財務格付を、引き下げ方向で見直すことを発表しました。

●AIGエジソン生命 [現在]Aa2
●アリコ       [現在]Aa2

※Aa:支払能力が優れている保険会社に対する格付け。
    Aaa格とAa格を合わせて、一般に優良保険会社と呼ばれる。
    Aaa格の保険会社と比較して長期的なリスクがやや高いとみられるため、格付けを低くしている

最新 生保格付の分布状況(格付一覧)


生命保険コンサルティングのご案内
http://www4.plala.or.jp/anshin/8_muryou_day.html


↓情報がお役に立ったらクリックをお願いします!
人気ブログランキングへ


“シンプルで分かりやすい”と、自称(?)保険のプロには大好評な「CURE(キュア)」ですが、本当にシンプルな商品なのでしょうか。
何回かに分けて、分析してみたいと思います。

まず、皆さんが勘違いしやすい点として、「生活習慣病には、とくに手厚く!」というパンフレットのフレーズが上げられます。
これを目にした場合、普通は、一般(病気・入院)の入院が土台でその上に生活習慣病の特約が乗っている絵をイメージすると思います。
ところが、このCURE(キュア)の正式名称は、「無配当七大生活習慣病入院保険 入院医療特約付」。
つまり、商品の土台は生活習慣病の入院保険の方なのです。
とすると、「生活習慣病には、とくに手厚く!」というよりは、むしろ「生活習慣病保険に一般の入院保障も付加」と言う方が、皆さんに正確アピールすることになると思うのですが、敢えて「ウソはついていないけれど、本当のことは言わないように」言い回しを変えている訳です。

そこで、大きく問題になるのが、「所定の七大生活習慣病で入院された場合には、1入院の保障日数が120日に拡大」というCURE(キュア)のアピールポイントです。
皆さんはこれを読めば、「一般の入院の1入院の保障日数が60日で、七大生活習慣病の1入院の保障日数が120日だから、両方合わせて180日の入院が可能になる」と考えるのではないでしょうか(CUREの一般の入院の1入院の保障日数は60日)。
ところが、吃驚。
パンフレットの「特に重要な事項のお知らせ(注意喚起情報)」(PDF)の「8.入院給付金について特に注意していただきたい点」に目を通してみて下さい。

■■以下、抜粋■■■

8.入院給付金について特に注意していただきたい点
●疾病入院給付金・災害入院給付金が支払われる期間中に高血圧性疾患以外の七大生活習慣病の治療を開始した場合、入院を開始された日から七大生活習慣病を原因として入院されていたものとしてお支払いします。

<例①>
肺炎で入院中に、脳梗塞を併発し、継続して入院した場合
<解説>
七大生活習慣病入院給付金の1入院の支払限度日数が120日ですので、七大生活習慣病入院給付金を120日分お支払いします。
●七大生活習慣病入院給付金が支払われる期間が終了した日の翌日(以下「その日」といいます。)に、被保険者が継続入院している場合について
・災害入院給付金のお支払いに該当する場合
 「その日」から災害入院給付金をお支払いします。
・疾病入院給付金のお支払いに該当する場合
 疾病入院給付金のお支払いはありません。
・疾病入院給付金と災害入院給付金のどちらのお支払いにも該当する場合
 災害入院給付金のみをお支払いします。

<例②>
脳梗塞で入院中に、階段からの転落による骨折のため、継続して入院した場合
<例③>
脳梗塞で入院中に、肺炎を併発し、継続して入院した場合
●2回以上の入院をされた場合でも、「それぞれの入院の原因が同一」もしくは「それぞれの入院の原因に医学上重要な関係がある」場合は1回の入院とみなします(併発している原因を含めます)。
→約款第3条、第42条参照
※ただし、入院給付金の支払われた最終の入院の退院日の翌日(災害入院の場合は事故の日)から180日経過後に開始した入院については、新たな入院とみなします。

<例④>
<解説>2回目の入院の原因が、初回の入院の原因となった脳梗塞の再発であるため、2回の入院を1回の入院とみなします。
七大生活習慣病入院給付金の1入院の支払限度日数は120日です。
すでに90日分をお支払いしているため、2回目の入院の七大生活習慣病入院給付金は30日分をお支払いします。

<例⑤>
<解説>動脈硬化症と脳梗塞は、医学上重要な関係があるため、2回の入院を1 回の入院とみなします。
七大生活習慣病入院給付金の1入院の支払限度日数は120日です。
すでに40日分をお支払いしているため、2回目の入院の七大生活習慣病入院給付金は80日分をお支払いします。


図については表示できなかったので、実際に上記の「特に重要な事項のお知らせ(注意喚起情報)」(PDF)を参照下さい。

いずれにしましても、一般の入院と七大生活習慣病の入院をうまく組み合わせれば、1回の入院で180日分の給付金が受け取れるというイメージが、捕らぬ狸の皮算用であることが、ご理解いただけたと思います。
これこそ、実際に入院してみないと分からない落とし穴で、その落とし穴に気が付いたときには、健康を害している訳ですから、他の医療保険に乗換ができなくなってから気が付くということになりかねません。
だからこそ、一般的な入院(七大生活習慣病以外の入院)で1回の入院の保障日数が120日(120日型)の医療保険の方が割高に見えてしまうのですが、その保険料の違いは、単に役に立つか立たないか(カバーできる日数)の違いでしかないという訳です。
つまり、CURE(キュア)の実質は、保険料負担が軽い「1入院の保障日数が120型の医療保険」なのではなく、保険料に見合った内容の「1入院の保障日数が60型の医療保険」(に七大生活習慣病の保障がおまけで付いている内容)でしかないという訳です。

なお、再入院の際、180日以上の間隔をあけて入院すればOKなのでは、いうことに気付くかもしれません。
が、その期間をあけずに再入院するリスクが高いからこそ、その期間を除外することで保険料が割安に見えている訳で、自分だけCURE(キュア)をうまく使えるとは思わない方が良いでしょう。

ようは、CURE(キュア)という商品自体がそもそも「無配当七大生活習慣病入院保険 入院医療特約付」であることから、上記のような入院給付金の支払となる訳ですが、この商品は本当に“シンプルで分かりやすい”と思いますか?
私は、とても“シンプルで分かりやすい”と言えるとは思いません。
“シンプルで分かりやすい”と自称することは、保険業法には触れないのかもしれませんが、優良誤認を生じかねない表記であることは間違いありません。

また、“シンプルで分かりやすい”という理由で、“七大生活習慣病の保障が手厚い”という理由で、“保険料がお手頃”という理由で、CURE(キュア)を推薦している自称(?)保険のプロの皆さんですが、本当にきちんと商品の内容を確認しているのでしょうか。
単に、パンフレットの内容にざっと目を通し、他の同じような(実際は、同じではないのですが)医療保険よりも保険料がお手頃だ、というレベルでお勧めしているようにしか見えません。
本当のプロなら、「同じ内容の保険プランの保険料が、飛び抜けて安くなると言うことはない」という前提で、商品についてあら探しをするはずなのです。
ところが、「新商品なら、保障は良くなって、保険料は安くなっているはず」という素人レベルの思いこみで、場合によっては一生を左右しかねない保険商品をお勧めするとは(ちなみに、生命保険は進化しませんので、その思いこみは単なる思いこみでしかありません。併せて、通販だから外資系だから安いというのも、大きな勘違いです)。
自称(?)保険のプロでは、致し方ないとも言えますが(週刊ダイヤモンド「保険のムダ総点検」2008年2月2日号では、CURE(キュア)に加入しているプロもおりますが、プロが加入しているからといって“シンプルで分かりやすい”訳ではないと言うことを自ら実証しているのでしょうか)。

ところで、「長期化しがちな生活習慣病による入院もしっかりカバーします」というのも、調べてみると、それがそうとも言えないのですが、それはまた次回。
どうぞ、お楽しみに。


生命保険コンサルティングのご案内
http://www4.plala.or.jp/anshin/8_muryou_day.html


↓情報がお役に立ったらクリックをお願いします!
人気ブログランキングへ

各格付会社では、AIG保険子会社の格付を、格下げ方向で「クレジット・ウォッチ(レーティング・モニター)」に指定しました。
詳細は、各格付会社のHPを参照下さい。

S&P(2008.05.09付)
 アリコジャパン(AA+)
 AIU保険(AA+)
 アメリカンホーム保険(AA+)
 AIGエジソン生命保険(AA+)

R&I(2008.05.09付)
 AIGスター生命(AA)

JCR(2008.05.09付)
 AIGエジソン生命保険(AA+)

ということで、アリコジャパンの「AAA(トリプル・エー)」連呼TV-CMは、遙か彼方になってしまいました。
でも、その後で「AAA(トリプル・エー)」ではなくなりました、なんてTV-CMを見た記憶はありますか?
「ウソはつかなくても、本当のことは言わない」こんなTV-CMを流しているからこそ、「アリコへ電話しない」のです。
そう、“アリコのことを知らない”から電話しないのではなく、“アリコのことを知っている”からこそ電話しないのです。
TV-CMが所詮そんなものというのなら、それまでですが(とはいえ、アフラックなどのTV-CMは、イメージCMに路線転換してしまいましたが)。

敢えて言わせてもらえば、まともな保険コンサルティングなら、「病気で生命保険を諦めている人」に生命保険は勧めません。
もし、加入できる商品があったとしても、お勧めしません。
それは、保険料が非常に割高で、貯金しておいた方が「マシ」だからです。
そういったアドバイスをせずに、入れる保険があることだけをアピールするその態度は、どう考えても、「ウソはつかなくても、本当のことは言わない」でしかありません。

生命保険は、一番うまく使えたときのことを妄想するだけでなく、一番使えなかったときのことも十分想定しておかなければいけません。
その意味では、一見「いいとこ取り」できそうな保険プランも、もし保険料が割安に見えるとしたら、それは保険料なりにしか役に立ちません(いろいろ細かい条件がついているか、保険期間が短いかのどちらか等、落とし穴が必ずあります)。
で、そういった商品は「シンプル」「簡単」とは言いません。
自ら「シンプル」「簡単」と謳っている商品でも、実際は「シンプル」「簡単」ではない商品がたくさんあることが、生命保険の難しさとも言えるのです。

と言う訳で、そろそろ「シンプル」「簡単」を謳っていながら、そうでない商品で、雑誌などのランキングにも上位にいつも取り上げられ、生保の評論家(?)の受けも非常に良い「CURE(キュア)」の落とし穴について取り上げてみたいと考えています。

「CURE(キュア)」に加入しようと思っているあなた。
もう少し待った方が良いかもしれません。
それでは、落とし穴のヒントを一つ。
「CURE(キュア)」の正式名称は「無配当七大生活習慣病入院保険 入院医療特約付」というのですが、何か気が付きませんか?
アフラックの特約MAXと同じ匂いを感じた人は、結構鋭い人かも。

それでは次回をご期待下さい。


生命保険コンサルティングのご案内
http://www4.plala.or.jp/anshin/8_muryou_day.html


↓情報がお役に立ったらクリックをお願いします!
人気ブログランキングへ

5月の「無料 生命保険コンサルティング」のスケジュールを掲載いたしました。
今月も、水曜・土曜・日曜11時・13時・15時に、神田小川町と町田で実施しております。
コンサルティングに興味のある方は、このリンクから詳細をご確認下さい。

他のコンサルティングで
・パソコンによる必要保障額のシミュレーション
・アンケート結果に基づく平均値
などを駆使して、不安を誘導され、本当のニーズが分からなくなってしまった方、一緒にニーズを確認してみませんか。
私どもなりのセカンド・オピニオンをご提示いたします。


生命保険コンサルティングのご案内
http://www4.plala.or.jp/anshin/8_muryou_day.html


↓情報がお役に立ったらクリックをお願いします!
人気ブログランキングへ

5月8日(木)の日経朝刊一面に[日生・第一「逆ざや」解消]という記事が掲載されておりました。
かいつまんで言えば、2008年3月に、日本生命と第一生命が「逆ざや」(運用実績が、予定利率を下回る)状態を解消したことから、今後、契約者への配当を増やしやすくなるだろう、と言う内容です。
これだけ読めば、大手生保2社が企業努力によって「逆ざや」を解消して、これからは契約者配当が増えるという、日生・第一のイメージアップ記事になっています。
が、実際は、逆ざやの解消は、企業努力の結果ではありません。
むしろ、本来支払わなければいけなかった契約者配当を払わず、逆ざや解消のために利差損の補填に充て、ようやく経営失敗の結果であった逆ざやを解消しただけのことなのです。

そもそも、契約者配当(3利源)には、
利差益(運用実績が予定利率を上回ったときに支払われる)
費差益(経費が予定の経費を下回ったときに支払われる)
死差益(実際の死亡率が予定の死亡率を下回ったときに支払われる)
の3つがあります。
そして、上記の配当付商品の保険料は、多めにお預かりして、配当で還元するというイメージで設定しています。

したがって、それぞれの差(益)が出た場合、他が差(損)であっても、個別に還元されて良いはずなのです。
とすれば、利差損が発生していたときも、費差益と死差益はプラスだった(死差について言えば、ずっと死亡リスクは低下し続けています。結果として昨年4月に10年ぶりに生命表が改定され、掛け捨ての死亡保障の保険料が引き下げられています)訳ですから、個別に配当されるべきでした。
ところが、大手生保は、この3つの差益の内訳を、一昨年度の決算まで一切公表せず、一生懸命に「どんぶり勘定」をおこなって、正当な契約者配当を行っていなかったのです。
つまり、費差(益)と死差(益)のプラスを利差(損)のマイナス解消のために充当していたと言う訳です([費差+死差]ー利差)。

これを敢えて公表しなかったことを企業努力というのであれば、企業努力ではありましょうが、企業倫理としてはいかがなものでしょうか。
で、ようやく一昨年度の決算から内訳を公表した訳ですが、どう考えても株価が上昇し、このどんぶり勘定をしなくても良くなったから、公表を始めただけのことでしかありません。

以上のことを踏まえたうえで、今回の日経の記事をお読み下さい。
このような重要な前提・経緯を盛り込まず、「逆ざや」の解消で契約者配当が増えると言う?な記事を掲載する日経は、
・記者が生命保険のことを知らない
・広告主のイメージを大事にして、敢えて読者の知る権利を犠牲にしている
のどちらなのでしょうか。
少なくとも言えることは、「日経の生命保険記事は鵜呑みにしない」ことでしょう。


生命保険コンサルティングのご案内
http://www4.plala.or.jp/anshin/8_muryou_day.html


↓情報がお役に立ったらクリックをお願いします!
人気ブログランキングへ