“シンプルで分かりやすい”と、自称(?)保険のプロには大好評な「CURE(キュア)」ですが、本当にシンプルな商品なのでしょうか。
何回かに分けて、分析してみたいと思います。
まず、皆さんが勘違いしやすい点として、「生活習慣病には、とくに手厚く!」というパンフレットのフレーズが上げられます。
これを目にした場合、普通は、一般(病気・入院)の入院が土台でその上に生活習慣病の特約が乗っている絵をイメージすると思います。
ところが、このCURE(キュア)の正式名称は、「無配当七大生活習慣病入院保険 入院医療特約付」。
つまり、商品の土台は生活習慣病の入院保険の方なのです。
とすると、「生活習慣病には、とくに手厚く!」というよりは、むしろ「生活習慣病保険に一般の入院保障も付加」と言う方が、皆さんに正確アピールすることになると思うのですが、敢えて「ウソはついていないけれど、本当のことは言わないように」言い回しを変えている訳です。
そこで、大きく問題になるのが、「所定の七大生活習慣病で入院された場合には、1入院の保障日数が120日に拡大」というCURE(キュア)のアピールポイントです。
皆さんはこれを読めば、「一般の入院の1入院の保障日数が60日で、七大生活習慣病の1入院の保障日数が120日だから、両方合わせて180日の入院が可能になる」と考えるのではないでしょうか(CUREの一般の入院の1入院の保障日数は60日)。
ところが、吃驚。
パンフレットの「
特に重要な事項のお知らせ(注意喚起情報)」(PDF)の「8.入院給付金について特に注意していただきたい点」に目を通してみて下さい。
■■以下、抜粋■■■
8.入院給付金について特に注意していただきたい点
●疾病入院給付金・災害入院給付金が支払われる期間中に高血圧性疾患以外の七大生活習慣病の治療を開始した場合、入院を開始された日から七大生活習慣病を原因として入院されていたものとしてお支払いします。
<例①>
肺炎で入院中に、脳梗塞を併発し、継続して入院した場合
<解説>
七大生活習慣病入院給付金の1入院の支払限度日数が120日ですので、七大生活習慣病入院給付金を120日分お支払いします。
●七大生活習慣病入院給付金が支払われる期間が終了した日の翌日(以下「その日」といいます。)に、被保険者が継続入院している場合について
・災害入院給付金のお支払いに該当する場合
「その日」から災害入院給付金をお支払いします。
・疾病入院給付金のお支払いに該当する場合
疾病入院給付金のお支払いはありません。
・疾病入院給付金と災害入院給付金のどちらのお支払いにも該当する場合
災害入院給付金のみをお支払いします。
<例②>
脳梗塞で入院中に、階段からの転落による骨折のため、継続して入院した場合
<例③>
脳梗塞で入院中に、肺炎を併発し、継続して入院した場合
●2回以上の入院をされた場合でも、「それぞれの入院の原因が同一」もしくは「それぞれの入院の原因に医学上重要な関係がある」場合は1回の入院とみなします(併発している原因を含めます)。
→約款第3条、第42条参照
※ただし、入院給付金の支払われた最終の入院の退院日の翌日(災害入院の場合は事故の日)から180日経過後に開始した入院については、新たな入院とみなします。
<例④>
<解説>2回目の入院の原因が、初回の入院の原因となった脳梗塞の再発であるため、2回の入院を1回の入院とみなします。
七大生活習慣病入院給付金の1入院の支払限度日数は120日です。
すでに90日分をお支払いしているため、2回目の入院の七大生活習慣病入院給付金は30日分をお支払いします。
<例⑤>
<解説>動脈硬化症と脳梗塞は、医学上重要な関係があるため、2回の入院を1 回の入院とみなします。
七大生活習慣病入院給付金の1入院の支払限度日数は120日です。
すでに40日分をお支払いしているため、2回目の入院の七大生活習慣病入院給付金は80日分をお支払いします。図については表示できなかったので、実際に上記の「
特に重要な事項のお知らせ(注意喚起情報)」(PDF)を参照下さい。
いずれにしましても、一般の入院と七大生活習慣病の入院をうまく組み合わせれば、1回の入院で180日分の給付金が受け取れるというイメージが、捕らぬ狸の皮算用であることが、ご理解いただけたと思います。
これこそ、実際に入院してみないと分からない落とし穴で、その落とし穴に気が付いたときには、健康を害している訳ですから、他の医療保険に乗換ができなくなってから気が付くということになりかねません。
だからこそ、一般的な入院(七大生活習慣病以外の入院)で1回の入院の保障日数が120日(120日型)の医療保険の方が割高に見えてしまうのですが、その保険料の違いは、単に役に立つか立たないか(カバーできる日数)の違いでしかないという訳です。
つまり、CURE(キュア)の実質は、保険料負担が軽い「1入院の保障日数が120型の医療保険」なのではなく、保険料に見合った内容の「1入院の保障日数が60型の医療保険」(に七大生活習慣病の保障がおまけで付いている内容)でしかないという訳です。
なお、再入院の際、180日以上の間隔をあけて入院すればOKなのでは、いうことに気付くかもしれません。
が、その期間をあけずに再入院するリスクが高いからこそ、その期間を除外することで保険料が割安に見えている訳で、自分だけCURE(キュア)をうまく使えるとは思わない方が良いでしょう。
ようは、CURE(キュア)という商品自体がそもそも「無配当七大生活習慣病入院保険 入院医療特約付」であることから、上記のような入院給付金の支払となる訳ですが、この商品は本当に“シンプルで分かりやすい”と思いますか?
私は、とても“シンプルで分かりやすい”と言えるとは思いません。
“シンプルで分かりやすい”と自称することは、保険業法には触れないのかもしれませんが、優良誤認を生じかねない表記であることは間違いありません。
また、“シンプルで分かりやすい”という理由で、“七大生活習慣病の保障が手厚い”という理由で、“保険料がお手頃”という理由で、CURE(キュア)を推薦している自称(?)保険のプロの皆さんですが、本当にきちんと商品の内容を確認しているのでしょうか。
単に、パンフレットの内容にざっと目を通し、他の同じような(実際は、同じではないのですが)医療保険よりも保険料がお手頃だ、というレベルでお勧めしているようにしか見えません。
本当のプロなら、「同じ内容の保険プランの保険料が、飛び抜けて安くなると言うことはない」という前提で、商品についてあら探しをするはずなのです。
ところが、「新商品なら、保障は良くなって、保険料は安くなっているはず」という素人レベルの思いこみで、場合によっては一生を左右しかねない保険商品をお勧めするとは(ちなみに、生命保険は進化しませんので、その思いこみは単なる思いこみでしかありません。併せて、通販だから外資系だから安いというのも、大きな勘違いです)。
自称(?)保険のプロでは、致し方ないとも言えますが(週刊ダイヤモンド「保険のムダ総点検」2008年2月2日号では、CURE(キュア)に加入しているプロもおりますが、プロが加入しているからといって“シンプルで分かりやすい”訳ではないと言うことを自ら実証しているのでしょうか)。
ところで、「長期化しがちな生活習慣病による入院もしっかりカバーします」というのも、調べてみると、それがそうとも言えないのですが、それはまた次回。
どうぞ、お楽しみに。
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