皆さんが今最も気になっている保険商品かもしれません「明日のミカタ」。
明治安田生命が、タレントを使って大々的にTVーCMを展開しています。
その「明日のミカタ」の提案書を入手いたしましたので、早速、その分析してみました。
さてその前に。
生命保険に、「安いうえに手厚い保障」といった商品はありません(ありえません)。
ただし、「一見安く見えて、一見手厚く見える」という商品なら、掃いて捨てるほどあります。
その内容をシンプルにいえば、加入して10年間は、そう見えるだけなのです。
10年経過すると、その後は10年ごとに、その時点の年齢に合わせて、保険料が上昇していくため、どんどん安くは見えなくなっていきます(あるいは、保険料の上昇を抑えるため、どんどん保障内容が手薄くなっていきます)。
つまり、死亡・入院・がんともに、そのリスクが急上昇する老後には対応していないからこそ「安いうえに手厚い保障」に見えるだけなのです。
もし、あなたが老後の保障が心配で生命保険に加入したいとお考えなら、「安いうえに手厚い保障」に見えるプランに加入してはいけないことになる訳です。
さらにもう一つ、その前に。
季節は10月。
そう来月は、「生保月」(大手生保のキャンペーン期間)です。
明治安田生命に加入されている人にとっては、生保のおばちゃんの攻勢で、お困りの方も多いと思います。
すでに「明日のミカタ」への見直し(実際は「転換」ですが)を勧められている方もいらっしゃるかもしれません。
メリットだけまくし立てられ、提案書を見てもよく分からず、お勧め通りに、もう転換(既契約を解約して、新たに申し込むこと)してしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
訪問してくるおばちゃんも、場合によっては2人だったりします。
本当に、お勧めの商品を熟知していれば、2人で来て、やいのやいのいう必要はないはずですが、その迫力は相当なものです(メリットのみ会社の研修会で刷り込まれているだけですから。本当にお客様にきちんと選択してもらいたいのなら、メリットとデメリットを説明する必要があるのですが)。
さらに、お誕生日が5月・6月・7月の方は、「1歳年齢がアップすると、保険料もアップするから、早い方が良い」と猛プッシュされているでしょう。
が、焦らされる必要は全くありません。
そもそも契約年齢には、保険年齢と満年齢の2つがあり、生命保険会社は、それぞれどちらかを採用しています。
明治安田生命のように保険年齢を採用している場合は、原則として、お誕生日の6カ月前に契約年齢がアップしてしまうことになりますが、満年齢を採用している生命保険会社ならあと6カ月間、契約年齢はアップしません。
別に、明治安田生命に拘らないのなら、焦る必要はありません。
実際、焦らせることが、一つのセールステクニックですから、ご注意下さい。
と前置きはここまでで。
おまちどおさまでした、いよいよ「明日のミカタ」の話に入ります(以下の内容については、提案書の記載内容に基づいておりますが、検討の際は、実際の提案書で具体的なプラン内容をご確認下さい)。
といいながら、まずは、なぜ「明日のミカタ」が開発されたのか、考えてみましょう。
タイミングとしては、これまでの主力商品(おばちゃんは、これを販売しないと成績にならない商品)「L.A.」の発売からちょうど10年目。
そうです、とんねるずのTV-CMを見て「L.A.」に加入した方のプランが、そろそろ保険料アップを迎える時期なのです。
保険料のアップは、加入者にとっては困りものですが、おばちゃんにとっては「転換」を勧める絶好のチャンスです。
「更新で保険料がアップする前に、新しいプランへ見直せば、保障が手厚くなって、保険料のアップ幅も抑えられる」とアドバイスにやって来ます(TV-CMで戸別訪問を、まるで生命保険会社のサービスのようにアピールしていますが、実態は、転換をお勧めするための訪問です)。
そんなうまい話はあり得ないのですが。
その絶好のタイミングのために、転換を勧めるために開発された戦略商品こそ「明日のミカタ」といえるでしょう。
■入院治療保障特約
その最大の目玉が「入院治療保障特約」です。
TV-CMで、江角マキコが「病院のレシートの『この部分』が受け取れる」とアピールしていた保障です。
正確に言えば、「公的医療保険制度における保険給付の対象となる入院をしたとき、入院中の療養に係る診療報酬点数」に応じて入院治療給付金を受け取れる特約となります。
タイプが1~3型まで3つあり、1型なら「診療報酬点数×1円」、3型なら「診療報酬点数×3円」というように、入院治療給付金額が決まります。
1回の入院については、3型の場合、90万円を限度に、支払の通算は600万円が上限となっています。
対象となる入院中の治療費とは、具体的には、初診料、入院料、検査、投薬、注射、処置、手術、麻酔費用など、公的医療保険制度における保険給付の対象となる費用となります。
ただし、対象とならない費用もあります。
まずは、入院中の治療費以外の費用として、食事代、差額ベッド代、入退院・転院時の交通費、付添に要する費用などが上げられています。
もっとも、差額ベッド代については、そもそもこの「明日のミカタ」の主契約は終身の医療保険のようですので、この医療保険からの給付金を充てる前提となっており、差額ベッド代で困るということがないように設計されているようです(ただし、この手厚い医療保障は、結局、保険料に反映することを考えると、私は入院保障が過剰だと思います)。
また、自由診療による入院、労災、自賠責、公的介護保険が適用された入院等、公的医療保険制度の対象とならない入院は支払対象外です。
当然、公的医療保険制度に未加入の場合も、支払い対象外となります。
肝心の保険料(入院治療保障特約3型)ですが、私が分析したプラン(53歳加入:10年更新型)では、次のように推移(保険料のアップ)が明記されていました。
●~63歳 2,754円
●~65歳 3,761円(1.37倍)
●~75歳 5,296円(1.92倍)
●~85歳 11,102円(4.03倍)
●~90歳 17,768円(6.45倍)
驚くことに、90歳まで長生きしてしまうと、入院治療保障特約の保険料は加入時の6.45倍と、入院のリスクの上昇に比例して、急上昇してしまいます。
90歳まで入院治療保障特約の保険料を払い続けるだけで、3,454,584円という高額な負担となってしまう訳です。
支払通算の600万円まで使い切れれば、もちろんメリットはありますが、1回の上限は90万円ですから、上限の入院治療を3.8回しないと元が取れないことが分かります。
80歳まで長きした場合でも、入院治療保障特約の保険料は、1,722,384円となり、この保険料の元を取るためには、上限の入院治療を1.9回しないと元が取れないことになります。
では、この1回の上限90万円という水準は、どのような入院治療を受けたときのイメージかということで、各疾病別の標準的な医療費(「こんなにかかる医療費 2009年版」監修:谷康平、新日本保険新聞社)を調べてみました(差額ベッド代や食事代は除いてあります)。
これを見ても分かるとおり、相当に重い状態にならないと、1回90万円までの入院治療給付を受けることは難しいといえそうです。
●肺がん 52.9万円(入院27日)
●胃がん 44.7万円(入院32日)
●大腸がん 35.4万円(入院25日)
●子宮がん 29.6万円(入院25日)
●乳がん 27.7万円(入院19日)
●肝がん 35.2万円(入院29日)
●心疾患 59.0万円(入院24日)
●脳卒中 69.9万円(入院34日)
ところで、これまで「入院治療保障特約」のような保障はなかったのでしょうか。
同一の商品(特約)はなかったといえますが、入院給付金以外でまとまって給付金が受け取れる保障(特約)としては、「手術給付金」がありました。
一般には、入院特約や医療保険に、頼みもしなくても付帯しているため気付きにくい保障ですが、対象となる手術を受けた場合、手術給付金(一般的には、入院給付金の10倍・20倍・40倍)が受け取れるます。
そう考えて「明日のミカタ」の提案書を見ると、手術給付の記載がありません。
もともと合併前の明治生命は他生保と違って、入院特約に手術給付金が付帯されておらず、わざわざ手術給付特約を付加しないと、手術給付金が受け取れなかったのですが、「明日のミカタ」もその流儀にしたがっているようです。
つまり、「明日のミカタ」には「入院治療保障特約」がある代わりに、他生保の入院保障(特約)には勝手に付いている「手術給付金」がない、ということになるのではないでしょうか。
●入院治療保障特約(明日のミカタ)→診療報酬点数に応じて給付
●手術給付金 →入院日額の10倍・20倍・40倍
とすると、「明日のミカタ」は、
●誤り:「明日のミカタ」=これまでの生命保険プラン+入院治療保障特約
●正解:「明日のミカタ」=これまでの生命保険プラン+入院治療保障特約ー手術給付特約
と理解した方がいいようです。
■がん保障特約、がん・上皮内新生物保障特約
次に、がんの心配には、どう対応しているでしょうか。
いわゆるがん(ガン)保険でいうところの、「診断給付金」に相当するものが、この「がん保障特約」、「がん・上皮内新生物保障特約」の2つです。
がん保障特約は、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)以外のがんに対応しています。
支払回数には限度がありません(ただし、2年経過した後にがんと診断確定された場合)。
がん保障特約では対応できない、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)に対応するためには、別途、
がん・上皮内新生物保障特約も付加しなければいけません。
ただし、この特約の給付は1回のみとなり、再発や転移などのいわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)には対応できません。
診断精度の向上により、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)でがんが発見されるケースが増加していることを考えると、非常に心許ないといえるのではないでしょうか。
ちなみに、分析したプランの場合、診断給付金は次のように設定されており、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)に対する保障が手薄い印象を否めません。
●がん保障特約 :100万円
●がん・上皮内新生物保障特約: 20万円
保険料(53歳加入:10年更新型)は、次のとおりです。
[がん保障特約]
●~63歳 1,598円
●~65歳 1,832円(1.15倍)
●~75歳 3,437円(2.15倍)
●~85歳 5,068円(3.17倍)
●~90歳 6,020円(3.77倍)
[がん・上皮内新生物保障特約]
●~63歳 267円
●~65歳 382円(1.43倍)
●~75歳 537円(2.01倍)
●~85歳 759円(2.84倍)
●~90歳 955円(3.58倍)
■6大疾病保障特約
ついでに、6大疾病保障特約にも触れてみましょう。
対象となる6大疾病は、次のとおりです。
・急性心筋梗塞
・脳卒中
・重度の糖尿病
・重度の高血圧性疾患(高血圧性網膜症)
・慢性腎不全
・肝硬変
ポイントは、3大疾病保障などと一緒で、その病気になっただけでは、一時金を受け取ることができないという点です。
具体的には、提案書には「6大疾病で所定の状態のとき」と、目立たないように記載されています。
「所定の」とか「一定の」とか記載がある場合は、その病気になっても、それだけでは給付されないことを表しています。
このような保障は、「死んだら」「入院したら」という一つの条件で給付される保障とは、給付のされ方が根本的に違うことを十分に理解しておくことが必要です。
保険金額200万円の場合の保険料(53歳加入:10年更新型)は、次のとおりです。
●~63歳 1,828円
●~65歳 2,980円(1.63倍)
●~75歳 4,174円(2.28倍)
●~85歳 7,314円(4.00倍)
●~90歳 14,344円(7.85倍)
さて、ここまで見てきて皆さんも、もうお気付きだと思います。
わざわざ転換までして「明日のミカタ」に加入する必要があるでしょうか。
例えば、上記で検討した特約(上記の保険金額)をすべて付加した場合、76歳時に毎月支払う保険料は「24,243円」となります。
10年間では「2,909,160円」にも上ります。
しかも、その保険料が負担できなくなったら、その時点でこれらの特約の保障は終わってしまうのです。
それまで、どんなに保険料を負担していても、です。
したがって、よほど今後10年間だけが心配な人で若い人なら「あると思います」が、むしろ老後こそ心配な人は、「明日のミカタ」は不向きだ(あり得ない)と思います(他の特約なども含めても、老後の安心を確保することはできないプランだと考えられます)。
老後の保障が心配なら、
●働いているうちに保険料の払込が完了して
●保障は終身で(または平均寿命まで)残る(確保する)
●保障額は、「困らない」レベルで十分
●保障内容は、1つの条件で必ず給付されるものだけを選択する
この四つの条件を満たしたものを選択すべきでしょう。
ぜひ、この機会に、あなたの生命保険プランの内容を確認してみて下さい。
老後の心配に対応できているでしょうか。
さらに、転換を勧められてお困りの方は、下記コンサルティングでも相談に乗っております。
■あんしん配達通信
■最新 生保格付の分布状況(格付一覧)
■格付け記号の体系(格付けの定義)
■無料「生命保険コンサルティング」のご案内
(開催場所:神田小川町・町田/東京)
明治安田生命が、タレントを使って大々的にTVーCMを展開しています。
その「明日のミカタ」の提案書を入手いたしましたので、早速、その分析してみました。
さてその前に。
生命保険に、「安いうえに手厚い保障」といった商品はありません(ありえません)。
ただし、「一見安く見えて、一見手厚く見える」という商品なら、掃いて捨てるほどあります。
その内容をシンプルにいえば、加入して10年間は、そう見えるだけなのです。
10年経過すると、その後は10年ごとに、その時点の年齢に合わせて、保険料が上昇していくため、どんどん安くは見えなくなっていきます(あるいは、保険料の上昇を抑えるため、どんどん保障内容が手薄くなっていきます)。
つまり、死亡・入院・がんともに、そのリスクが急上昇する老後には対応していないからこそ「安いうえに手厚い保障」に見えるだけなのです。
もし、あなたが老後の保障が心配で生命保険に加入したいとお考えなら、「安いうえに手厚い保障」に見えるプランに加入してはいけないことになる訳です。
さらにもう一つ、その前に。
季節は10月。
そう来月は、「生保月」(大手生保のキャンペーン期間)です。
明治安田生命に加入されている人にとっては、生保のおばちゃんの攻勢で、お困りの方も多いと思います。
すでに「明日のミカタ」への見直し(実際は「転換」ですが)を勧められている方もいらっしゃるかもしれません。
メリットだけまくし立てられ、提案書を見てもよく分からず、お勧め通りに、もう転換(既契約を解約して、新たに申し込むこと)してしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
訪問してくるおばちゃんも、場合によっては2人だったりします。
本当に、お勧めの商品を熟知していれば、2人で来て、やいのやいのいう必要はないはずですが、その迫力は相当なものです(メリットのみ会社の研修会で刷り込まれているだけですから。本当にお客様にきちんと選択してもらいたいのなら、メリットとデメリットを説明する必要があるのですが)。
さらに、お誕生日が5月・6月・7月の方は、「1歳年齢がアップすると、保険料もアップするから、早い方が良い」と猛プッシュされているでしょう。
が、焦らされる必要は全くありません。
そもそも契約年齢には、保険年齢と満年齢の2つがあり、生命保険会社は、それぞれどちらかを採用しています。
明治安田生命のように保険年齢を採用している場合は、原則として、お誕生日の6カ月前に契約年齢がアップしてしまうことになりますが、満年齢を採用している生命保険会社ならあと6カ月間、契約年齢はアップしません。
別に、明治安田生命に拘らないのなら、焦る必要はありません。
実際、焦らせることが、一つのセールステクニックですから、ご注意下さい。
と前置きはここまでで。
おまちどおさまでした、いよいよ「明日のミカタ」の話に入ります(以下の内容については、提案書の記載内容に基づいておりますが、検討の際は、実際の提案書で具体的なプラン内容をご確認下さい)。
といいながら、まずは、なぜ「明日のミカタ」が開発されたのか、考えてみましょう。
タイミングとしては、これまでの主力商品(おばちゃんは、これを販売しないと成績にならない商品)「L.A.」の発売からちょうど10年目。
そうです、とんねるずのTV-CMを見て「L.A.」に加入した方のプランが、そろそろ保険料アップを迎える時期なのです。
保険料のアップは、加入者にとっては困りものですが、おばちゃんにとっては「転換」を勧める絶好のチャンスです。
「更新で保険料がアップする前に、新しいプランへ見直せば、保障が手厚くなって、保険料のアップ幅も抑えられる」とアドバイスにやって来ます(TV-CMで戸別訪問を、まるで生命保険会社のサービスのようにアピールしていますが、実態は、転換をお勧めするための訪問です)。
そんなうまい話はあり得ないのですが。
その絶好のタイミングのために、転換を勧めるために開発された戦略商品こそ「明日のミカタ」といえるでしょう。
■入院治療保障特約
その最大の目玉が「入院治療保障特約」です。
TV-CMで、江角マキコが「病院のレシートの『この部分』が受け取れる」とアピールしていた保障です。
正確に言えば、「公的医療保険制度における保険給付の対象となる入院をしたとき、入院中の療養に係る診療報酬点数」に応じて入院治療給付金を受け取れる特約となります。
タイプが1~3型まで3つあり、1型なら「診療報酬点数×1円」、3型なら「診療報酬点数×3円」というように、入院治療給付金額が決まります。
1回の入院については、3型の場合、90万円を限度に、支払の通算は600万円が上限となっています。
対象となる入院中の治療費とは、具体的には、初診料、入院料、検査、投薬、注射、処置、手術、麻酔費用など、公的医療保険制度における保険給付の対象となる費用となります。
ただし、対象とならない費用もあります。
まずは、入院中の治療費以外の費用として、食事代、差額ベッド代、入退院・転院時の交通費、付添に要する費用などが上げられています。
もっとも、差額ベッド代については、そもそもこの「明日のミカタ」の主契約は終身の医療保険のようですので、この医療保険からの給付金を充てる前提となっており、差額ベッド代で困るということがないように設計されているようです(ただし、この手厚い医療保障は、結局、保険料に反映することを考えると、私は入院保障が過剰だと思います)。
また、自由診療による入院、労災、自賠責、公的介護保険が適用された入院等、公的医療保険制度の対象とならない入院は支払対象外です。
当然、公的医療保険制度に未加入の場合も、支払い対象外となります。
肝心の保険料(入院治療保障特約3型)ですが、私が分析したプラン(53歳加入:10年更新型)では、次のように推移(保険料のアップ)が明記されていました。
●~63歳 2,754円
●~65歳 3,761円(1.37倍)
●~75歳 5,296円(1.92倍)
●~85歳 11,102円(4.03倍)
●~90歳 17,768円(6.45倍)
驚くことに、90歳まで長生きしてしまうと、入院治療保障特約の保険料は加入時の6.45倍と、入院のリスクの上昇に比例して、急上昇してしまいます。
90歳まで入院治療保障特約の保険料を払い続けるだけで、3,454,584円という高額な負担となってしまう訳です。
支払通算の600万円まで使い切れれば、もちろんメリットはありますが、1回の上限は90万円ですから、上限の入院治療を3.8回しないと元が取れないことが分かります。
80歳まで長きした場合でも、入院治療保障特約の保険料は、1,722,384円となり、この保険料の元を取るためには、上限の入院治療を1.9回しないと元が取れないことになります。
では、この1回の上限90万円という水準は、どのような入院治療を受けたときのイメージかということで、各疾病別の標準的な医療費(「こんなにかかる医療費 2009年版」監修:谷康平、新日本保険新聞社)を調べてみました(差額ベッド代や食事代は除いてあります)。
これを見ても分かるとおり、相当に重い状態にならないと、1回90万円までの入院治療給付を受けることは難しいといえそうです。
●肺がん 52.9万円(入院27日)
●胃がん 44.7万円(入院32日)
●大腸がん 35.4万円(入院25日)
●子宮がん 29.6万円(入院25日)
●乳がん 27.7万円(入院19日)
●肝がん 35.2万円(入院29日)
●心疾患 59.0万円(入院24日)
●脳卒中 69.9万円(入院34日)
ところで、これまで「入院治療保障特約」のような保障はなかったのでしょうか。
同一の商品(特約)はなかったといえますが、入院給付金以外でまとまって給付金が受け取れる保障(特約)としては、「手術給付金」がありました。
一般には、入院特約や医療保険に、頼みもしなくても付帯しているため気付きにくい保障ですが、対象となる手術を受けた場合、手術給付金(一般的には、入院給付金の10倍・20倍・40倍)が受け取れるます。
そう考えて「明日のミカタ」の提案書を見ると、手術給付の記載がありません。
もともと合併前の明治生命は他生保と違って、入院特約に手術給付金が付帯されておらず、わざわざ手術給付特約を付加しないと、手術給付金が受け取れなかったのですが、「明日のミカタ」もその流儀にしたがっているようです。
つまり、「明日のミカタ」には「入院治療保障特約」がある代わりに、他生保の入院保障(特約)には勝手に付いている「手術給付金」がない、ということになるのではないでしょうか。
●入院治療保障特約(明日のミカタ)→診療報酬点数に応じて給付
●手術給付金 →入院日額の10倍・20倍・40倍
とすると、「明日のミカタ」は、
●誤り:「明日のミカタ」=これまでの生命保険プラン+入院治療保障特約
●正解:「明日のミカタ」=これまでの生命保険プラン+入院治療保障特約ー手術給付特約
と理解した方がいいようです。
■がん保障特約、がん・上皮内新生物保障特約
次に、がんの心配には、どう対応しているでしょうか。
いわゆるがん(ガン)保険でいうところの、「診断給付金」に相当するものが、この「がん保障特約」、「がん・上皮内新生物保障特約」の2つです。
がん保障特約は、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)以外のがんに対応しています。
支払回数には限度がありません(ただし、2年経過した後にがんと診断確定された場合)。
がん保障特約では対応できない、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)に対応するためには、別途、
がん・上皮内新生物保障特約も付加しなければいけません。
ただし、この特約の給付は1回のみとなり、再発や転移などのいわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)には対応できません。
診断精度の向上により、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)でがんが発見されるケースが増加していることを考えると、非常に心許ないといえるのではないでしょうか。
ちなみに、分析したプランの場合、診断給付金は次のように設定されており、いわゆる初期の段階のがん(上皮内新生物)に対する保障が手薄い印象を否めません。
●がん保障特約 :100万円
●がん・上皮内新生物保障特約: 20万円
保険料(53歳加入:10年更新型)は、次のとおりです。
[がん保障特約]
●~63歳 1,598円
●~65歳 1,832円(1.15倍)
●~75歳 3,437円(2.15倍)
●~85歳 5,068円(3.17倍)
●~90歳 6,020円(3.77倍)
[がん・上皮内新生物保障特約]
●~63歳 267円
●~65歳 382円(1.43倍)
●~75歳 537円(2.01倍)
●~85歳 759円(2.84倍)
●~90歳 955円(3.58倍)
■6大疾病保障特約
ついでに、6大疾病保障特約にも触れてみましょう。
対象となる6大疾病は、次のとおりです。
・急性心筋梗塞
・脳卒中
・重度の糖尿病
・重度の高血圧性疾患(高血圧性網膜症)
・慢性腎不全
・肝硬変
ポイントは、3大疾病保障などと一緒で、その病気になっただけでは、一時金を受け取ることができないという点です。
具体的には、提案書には「6大疾病で所定の状態のとき」と、目立たないように記載されています。
「所定の」とか「一定の」とか記載がある場合は、その病気になっても、それだけでは給付されないことを表しています。
このような保障は、「死んだら」「入院したら」という一つの条件で給付される保障とは、給付のされ方が根本的に違うことを十分に理解しておくことが必要です。
保険金額200万円の場合の保険料(53歳加入:10年更新型)は、次のとおりです。
●~63歳 1,828円
●~65歳 2,980円(1.63倍)
●~75歳 4,174円(2.28倍)
●~85歳 7,314円(4.00倍)
●~90歳 14,344円(7.85倍)
さて、ここまで見てきて皆さんも、もうお気付きだと思います。
わざわざ転換までして「明日のミカタ」に加入する必要があるでしょうか。
例えば、上記で検討した特約(上記の保険金額)をすべて付加した場合、76歳時に毎月支払う保険料は「24,243円」となります。
10年間では「2,909,160円」にも上ります。
しかも、その保険料が負担できなくなったら、その時点でこれらの特約の保障は終わってしまうのです。
それまで、どんなに保険料を負担していても、です。
したがって、よほど今後10年間だけが心配な人で若い人なら「あると思います」が、むしろ老後こそ心配な人は、「明日のミカタ」は不向きだ(あり得ない)と思います(他の特約なども含めても、老後の安心を確保することはできないプランだと考えられます)。
老後の保障が心配なら、
●働いているうちに保険料の払込が完了して
●保障は終身で(または平均寿命まで)残る(確保する)
●保障額は、「困らない」レベルで十分
●保障内容は、1つの条件で必ず給付されるものだけを選択する
この四つの条件を満たしたものを選択すべきでしょう。
ぜひ、この機会に、あなたの生命保険プランの内容を確認してみて下さい。
老後の心配に対応できているでしょうか。
さらに、転換を勧められてお困りの方は、下記コンサルティングでも相談に乗っております。
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