被爆地・長崎で原爆のことを学び、核廃絶を訴える高校生や大学生がいる。平和活動に参加する一方で気になるのが、同年代から向けられる「意識高いね」という視線。被爆地でも特別視されがちな活動のハードルを下げ、仲間の輪を広げる道筋を探りながら、活動を続けている。

【写真】署名を呼びかける二階堂さん。「大学の推薦狙い?」と言った友達も意識が変わり署名してくれたという

■行動すると特別視…でもめげずに

 「(大学進学の)推薦を狙っているの?」「意識高いね」。核兵器廃絶を求める「高校生1万人署名活動」に取り組む長崎東高2年の二階堂杏(あんず)さん(16)は1年ほど前、同級生の言葉に驚いた。

 6年前の春、長崎市の小学校に転校してきて、初めて平和学習の授業を受けた。被爆者の「人が黒こげになった」という言葉がショックだった。原爆のことを知らなかったことを恥じ、自分で被爆遺構を巡り、本を読んで勉強した。

 高校生が署名を集め、国連機関に届ける1万人署名の活動に共鳴し、昨秋から加わった。「意識高いね」と言われたのはそのころ。被爆地だからこそ、多くの人が核兵器について問題意識を持っていると思っていた。でも、高校生が行動すると特別視され、進路目的とみられたり、敬遠されたりしてしまう――。胸にもやもやが残った。

 それでも、自分の働きかけで興味を持つ人が出てくれれば、とめげずに活動を続けた。ある日、長崎駅前で署名活動中、「推薦狙い?」と言った友達が足を止めて署名し、「頑張ってね」と励ましてくれた。

 実際の活動の様子を見て、知ってもらうことで、友達の意識が変わった。「名前を書くだけでも立派な平和活動。特別じゃないと感じてくれたのかも」。同年代に活動を紹介するなどして、平和活動のハードルの高さを払拭(ふっしょく)したいと思っている。