オープンウオータースイムをはじめる方々に

レースのスタートに当たって、貴方が最初に遭遇するものは真っ青に染まった綺麗な海ではなく目の前に迫る他のスイマーの手や足です。うっかりしていると自然との触れあいが一瞬にしてパニックに陥ることになる(特に人混みの中を抜けていこうと思うときに)実際オープンウオータースイミングにおいてパニックに陥る2大要因のひとつは泳ぐスペースを見つける難しさから来る不安である。レースのスタート時において多くのスイマーの間を泳ぐとき考慮しなければならないいくつかの点を以下記述します。
1.スタート前にじっくりと待つこと。もしほかのスイマーの手や足によって驚いたり、脅かされたりする場合にはほかのスイマーの後ろか、横から泳いでゆけるポジションをとること。そしてもし、マーカーブイなどがある場合にはブイから離れてコース取りをすること。とんどのスイマーは最短距離をいかに速く泳ごうかと考えているので、スタート時に小さいスペースを取り合うことになるのです。
2.他のスイマーも意図があって邪魔をしているのではありません。あなたと同様に思わずそうなってしまうのです。ですから決して怒ったり攻撃したりしないように。
3.水はクッションの役目を果たしてくれます。たとえ足で蹴られても一瞬は集中力を失 うが、泳げなくなることはないし、痛みもそんなには感じない。
4.ゴーグルをしっかりと、あるいはややゆるめに装着して泳ぐと思いますが、もしそのゴーグルをはずされてしまったら決してあわてずにそのままにしておくか、片手でのどのところまで下げてそのまま泳ぎオープンスペ-スを見つけた地点で仰向けになり、キックをしながらゴーグルを調節してください。
5.もし泳力があり、耐えられるなら混雑の先頭を目指して進んで結構。但し、経験のある、このテクニックを使っても疲労しないくらいしっかりと練習を積んでいるスイマに限ります。
6.混雑は通常、急激に緩和されるものです。あなたは限られたスペースに関して問題が生じたとしてもほんの短い時間にすぎません。
もうひとつのパニックの要因は低水温の場合です。たぶんプールで泳いでいる時の水温を比較して思わず“身体が冷たい”“水温が低い”と感じるところからも始まります。
最初の何回かはたとえ身体的にはそれほどの冷たさではなくても水の中で貴方自身をコントロールする自信がないという理由からオープンウオーターで泳いていると「このまま沈んでしまうのではないか?」という不安感にとらわれる経験をするかもしれない。それは貴方にとって新しい経験です。この不安感は「出来る限りゆっくりと呼吸をおこない、リラックスしたストロークを行う」ことによって克服出来るものなのです。
その不安感がなくなるまでは頭を上げて泳ぎたいと思うかもしれないが泳ぎをやめる必要など全くないのです。結局はパニックになるなということ。またレース前に何度かオープンウオーターの冷たい水温を経験すればするほどレース中に気持ちを奮い起こすことによってそれらの不安に打ち勝つことが出来るということを理解してほしいのです。加えていうならばレース前に何分間か水に入り、少なくとも顔や腕をつけて自分の身体で感じとっていただきたい。いったんレースがスタートし、水に入ってしばらくして混雑から抜け出すと、貴方は「みんなはもう自分のずっと前方を泳いでいるのかなあ」「みーんなひとりぽっちなんだ」「海の底が見えないよ」等々の不安感や孤独感を味あうことになります。かつ途中、水中での浮遊物を見たり、冷たい水温のところ、暖かい水温の箇所などを肌で感じます。そうこうしているうちにパニックになり、事態はより悪い方向に行きます。ですからそんなことを考える代わりにとにかく普段プールで泳いでいる時と同じように;正しいストローク、完全な息継ぎ(呼吸)などに集中してみてください。そうして「自分はただ違った環境の中で泳いでいるだけなんだ」と思い直してください。
参考:THE FIT SWIMMER BY MARIANNE BREMS
ADVANCED SWIMMING BY DAVID TOHMAS
USMS LONG DISTANCE SWIMMING MANUAL