小さな天使が産まれて、

ママがとても怖かった入院生活が始まった。

私が入院してしまったら、

外泊したりするんじゃないかな?

遅くまで会っていたりするんじゃないかな?

そんな想像ばかりが膨らんで

ずいぶん前から、出産後に入院するのが怖かった。



そんな不安な心境で、

病院に一人でいるのはとても寂しい。

隣にはかわいい天使が眠っているけれど、

そんな幸せがかき消されるほどに

不安は強かった。



動悸がひどくなる。

携帯が気になる。


ダンナサンからメール。

「時間外になっちゃうけど、今夜会いに行くよ」


涙がでた。

嬉しくて嬉しくて。


出産前に、ダンナサンと話した休憩スペースで

病室を抜け出して、夜中にこっそり面会した。

30分くらいの短い時間だったけど

たわいない話しかしてないけど

嬉しかった。


それ以外の日は、仕事に追われて、一度も来れなかった。


会えない日は、ダンナサンが帰宅した後、

電話で話して、夜中まで何度もメールして過ごした。


苦しかったけど、

ダンナサンなりに、安心させようと努力してくれたんだと思う。


そして退院の日。

その日もダンナサンは来れなかった。

かわりにお義母さんが、迎えに来てくれて

うちまで送ってくれた。

ダンナサンからは「迎えにいけなくてごめんね」とメール。

帰宅した事をメールで伝えたら

電話もくれた。


お義母さんは、私の顔を見て、私が辛い思いをしている事に

気がついた様子で、なぐさめてくれた。

ダンナサンに内緒で、こっそりいつも相談に乗ってもらっているお義母さん。

そんな優しさに、また涙がでた。


こうして、ずっと怖かった入院生活が終わった。

たまった洗濯物を洗濯機に入れていたら、

白いしみがついたダンナサンのパンツが出てきた。


入院中、彼女と会っていたのか、それはわからないけど

会っていたのかもしれないけど

私は、あの時のダンナサンの優しい笑顔と私への愛情を信じようと思った。


同時に、これからまたあの地獄のような苦しい生活が始まるんだなと思った。


私のおなかはへこんで、

小さな天使が一人家族に加わったけれど、

状況は何も変化していないんだなって

改めて感じた。