「陣痛が始まったかも」

仕事中のダンナサンにメール。

「すぐ帰る」

すぐに返事をくれて、仕事を放って帰宅してくれたダンナサン。


でも、なかなか陣痛が進まず、朝まで様子を見る事に。

痛がる私の背中をさするでも、大丈夫?と声をかけるでもなく、

PCの前にどっしり座ってゲームを始めたダンナサン・・・


こんなものか・・・

と、心が固まっていくのを感じながら、

定期的に痛むおなかをさすり、一人でソファに丸まっていた。


朝になって陣痛の間隔が短くなったので、病院へ。

その日も仕事だったダンナサンに、

「送ってくれるの?」と聞くと

「あたりまえでしょう、大丈夫だよ。」と答えてくれた。


病院で診察を受けると、

子宮口が5~6センチ開いているから進みそうだね。

との事で、そのまま入院する事に。

ところが、2時間ほど休んでいたら、陣痛が弱くなってしまい、

でも子宮口が開いてしまっているから家には帰せないという事で、

陣痛促進剤を使おうか?という話に。

そして明日の朝まで生まれなかったら、促進剤を使うことに決まり、

そのまま病院でダンナサンと過ごす事になってしまった。


仕事を休んだことが気にかかるのか、

機嫌の悪いダンナサン。

陣痛室で、居眠りし、TVを見て、本を読む・・・

私の方は見てくれない、声もかけてくれない、

退屈そうな顔をしたダンナサンと二人、時間だけが過ぎていく・・・


お昼前に2人で、ダンナサンのお弁当を売店で買ってきた。

私の食事はまだ来ていないのに、食べ始めようとするダンナサン。

「もうじき来るから一緒に食べようよ」そう言ったら

「だって俺のカレー、冷めちゃうよ」って。


そんな険悪なムードのまま、夜が来て・・・

「23時には家に帰るよ。明日仕事だから、寝ないと。」

「そうだよね・・・わかった。」

「産まれそうになったら来るから」

「うん。ありがとう・・・」

そんなやり取りの後、22時頃になって、またダンナサンがTVをつけた。

私は、後一時間しかないのに、またTV見るんだ・・・って悲しくなった。

少しでいいから一緒の時間を過ごしたいなって思った。


「TV、そんなにおもしろい?」そう聞いてしまった。

私のその質問に、ダンナサンが切れた。