何年ぶりだろう?
久しぶりに病院のベッドで夜を過ごしている。
点滴のボトルからゆっくりと薬剤が落ちている。
幸い、身体に麻痺はなさそうだ。
しかし、平気な訳はない。
(入院はどのくらい掛かるのだろうか?)
(しばらく、会社には行けないが、大丈夫だろうか?)
みんなに心配かけてしまったことを悔やみながらも、どうすることもできない。
担当医は、やはり脳梗塞だと言ったが、
考えてみると、思い当たることがなくもない。
半年くらい前に、街に呑みに行って、スナックのソファに座り、水割りグラスを左手で持っていると、左手の指先がぷるぷると震えた。
(あれっ? なんか変だ!少し疲れているのかな? 今日、何か力仕事したっけ?)
別に、何も作業していなかったが指先の震えは、数分続いた。
数日後、病院で診察を受けた。医者にそのことを伝えると、
「分かりました。それでは検査しましょう。」
看護師さんにMRI検査がすぐ受けれるか確認するように指示した。
幸い、すぐMRI検査を受けることができた。
しばらく、待合室で待って、医者から診断結果を聞いた。
「脳梗塞が起こったような箇所は見当たりませんでした。しばらく様子をみて下さいね。」
取りあえず、ひと安心だったが、その後は指先の震えがなかったが、たまに、何か頭が重たいような眩暈とまではいえない
が、何か変な症状が起こった。
(あれらが、やはり、脳梗塞の予兆だったのだろうか?)
(最近、太ってきてたし、血圧も少し高かったのも原因だろうか?)
それにしても、病室の天井を眺めながら夜を過ごしていると、考えることは暗く、前向きな気持ちにはなれない。
不安が不安を増長して、圧し潰されそうになる。
後遺症のことはもちろんだが、会社経営への不安。等など、考えなくてはならないことはたくさんある。
いろんな不安に苛まれながら、いつしか寝入っていた。
つづく!