王兵(ワン・ピン)監督の『無言歌』を観ました
ちらしに使われているこの写真がとても印象的で
ストーリーもよく知らないまま観ました。
1949年、毛沢東の革命は希望だった。
1956年、毛沢東は自由な批判を歓迎すると言った。
人々は未来を思い、はつらつと発言したものだ。
しかしその数ヶ月後・・・
彼らを弾圧する「反右派闘争」が始まった。。
彼らはだまされたのだろうか。彼ら自身の政府に。
1960年。日本は高度成長期だった。
フランスはヌーヴェルヴァーグだった。
そして中国では、世界の誰にも知られぬまま、人々が辺境で死に向かっていた。
中国西部、ゴビ砂漠の収容所。右派とされた人々が囚われている。轟々と鳴る砂と風。
食料はほとんどなく、水のような粥をすすり、毎日の強制労働にただ泥のように疲れ果てて眠る。
かつて百花のごとく咲き誇った言葉は失われ、感情さえ失いかけた男たち。
そこにある日、上海から一人の女性がやってくる。
愛する者に逢いたいと、ひたすらに願い、嗚咽する女の声が、
いつしか男たち心に忘れかけていた生命のさざ波を広げていく………。
「無言歌」公式サイト
始まって数十分・・数分で「しまった」と思いました。
辛すぎて観てられるか自信がなくなりました。
見せられる光景は、とても映画とは思えなくて
ドキュメンタリーを見せられているかのように出来事を次々に
突きつけられて行く。
後半のキーパーソン。李さん。
李さんを頼って訪ねて
上海からやってくるドンさんの奥さん。
ドンさんは、上海でお医者さんをしていた人。
家族の反対を押切り、過酷な状況だという中国西部へボランティアへ来た。
涙ながらに、家族の言う事を聞いておけばよかったと李さんに訴えたドンさん。
ドンさんが亡くなって1週間後。その奥さんは訪ねてきます。
食糧難から、身ぐるみはがされ、足やお尻の肉をそがれた姿になっていたのを
お墓で見た李さんは、奥さんにお墓の場所を教えません。
奥さんはそれでも数日間、果てしない荒野を歩き回り
たくさんの死体のなかからドンさんを探します。。
生きるとは。
人間とは。
窮地に追いやられて
生と死の境にきて、それでも人に分け与えてあげられる
強さとやさしさを持てるか。
始まってすぐに後悔の気持ちになったけど、
結果、観てよかったと思う。
知らなきゃいけない。
こんな事実があったこと。
中国では上映禁止。