6月3日(金)。
仕事で両国国技館に行きまして、それが夕方に終わってそのまま現地解散だったので、歌舞伎座に行って第3部「道行初音旅(吉野山)」を幕見しました。

整理番号68番でも立ち見でした……。

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忠信を猿之助さん、静御前を染五郎さんという組み合わせ。
逸見藤太は猿弥さん。

澤瀉屋さんの「吉野山」は、最後に忠信が狐火の衣装にぶっ返って狐六方を踏むというハデハデな演出です。
狐六方に加え、高くピョンピョン飛び跳ねたりしながら、花道を引っ込んで行きます。

前半の踊りの部分でも、通常は割愛されることの多い万歳のくだりがありますので、上演時間は約1時間と、ちょっと長め。

個人的には、花道の引っ込みは音羽屋さんの型が好きですが、猿之助さんのは万歳のくだりを踊る点がいいなと思います。
万歳のくだりがあるのとないのとでは、女雛男雛のくだりの風情がずいぶん異なってくるように感じます。

自分が「吉野山」(モチロン忠信)を踊るとしたら、絶対に万歳のくだりもやりたい……と思ったので、真剣に観ちゃいました(笑)。
振りを覚えるために、毎週幕見しようかと思ったくらいです(笑)。

でも、ワタシは覚えが悪くてなかなか振りが入らないので、毎週幕見するくらいではきっと覚えられないなあ……ということで、DVD化を希望(笑)。

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猿之助襲名披露の際、大阪松竹座で「吉野山」を観ましたが、その時と比べると、猿之助さんの忠信がすごく良いと思いました。

猿之助さんは器用で踊りも巧いですが、その分、ややもすると踊りが軽く見えてしまいがちだったというか、振りが流れていく感じでイマイチ情景が伝わってこないな……と思うことがあったんです。

前回大阪松竹座で観た時もそんな感じに見えてしまって、最後のハデハデな引っ込み以外はあまり記憶に残らなかったんですよね。

それが、今回は全然違って見えたので、びっくりしました。
折り目が正しくて、地に根ざしたようなどっしりとした安定感があって、それでいて重すぎず軽やかさがある感じというか……。
とても丁寧な感じの踊りで、情景がよく伝わってきたように思います。

踊りは観る人によって好みが分かれると思いますが、私はこういう、折り目正しく品良く丁寧な踊りが好きです。

30代の頃にはなかったようなものが出て来て、かつ、体力があって体がよく動く、今がまさに「旬」なんじゃないかな……と思いました。
見た目もキレイだし(笑)。

なので、ぜひともこの舞台を収録して、DVD化してほしいです(笑)。

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猿弥さんの逸見藤太が素晴らし過ぎます!(笑)

猿弥さんの踊りは、キレッキレでありながらきっちりとしてとても丁寧な印象を受けます。
独特の愛嬌と柔らかさもあって、すごくイイ味が出ているなあ……と思います。

義太夫にノッて台詞を言う時も、キレイに糸にノッていながら台詞に表情があって、ちゃんとコトバが伝わってくる感じがします。

初日に「四の切」を幕見した際、ロビーで待っている間にスピーカーから舞台の音が聞こえて来たのですが、猿弥さんはスピーカー越しでも口跡が良くて、さすがだと思いました。

出演者の名前や今月の公演内容を取り入れた楽しい台詞もあり、場内は大いに盛り上がっていました~。

ちなみに、逸見藤太の衣装の袴の柄も、澤瀉屋さんの場合は通常のと違ってちょっと派手めな、サイケな感じになっています。

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両国国技館の枡席に初めて座って(仕事でしたけど……笑)、幕見の「吉野山」にとても満足して、いい気分の金曜日でした。