全ての事を知ったのだろうか?

多分違う

まだほんの少ししか知らないと思う。

全てを知りたいか?

いいえ、知らなくても大丈夫。

過去の私なら迷わず全てを知ろうとしただろう。

今は違う。

知ったところで何か変わるのだろうかと。

全てを知ってしまえばこの霧は晴れるのか。

恨みや憎しみしか残らない。


恨んだところで過去に戻れるはずもなく、憎んだところで前進できるわけでもない。


複雑な家族という形。

信用していた。

この男の言葉を28年間信用していた。

洗脳だったのか、ただの馬鹿な自分なのか。

頭が悪いにも程がある。


もう少しで離婚して12年になる、この男をどうやって追い出そうかと今日も頭を悩ませる。


12年前、この男の不倫で私は離婚した。

36歳。

お相手は25、6のお若い女性。

離婚と同時に別れさせたはずだった。

離婚後もお金の無心。

時々やって来る。

私にとっては、またいつか夫婦になれると信じていた。だから、お金も渡していた。

今考えると何故そんな事を思っていたのか、理解できない。自分自身、気味が悪いとすら思う。


愛しているつもりだったのか。

可哀想、私がいないと生きていけないのではと、勘違いしていた馬鹿すぎる自分。


そして今思えば私は人生で最大と言っても過言ではない、過ちを犯してしまう。


5年前、私は親の事情で実家に戻ることになった。

姉夫婦と住むために建てた家は二世帯住宅。

父と姉の不仲でローンを残した状態で姉は別の土地へ家を建ててもう戻りませんと。

母は9年前に癌で他界。

年老いた父がひとりでローンを払って行くのには厳しく、二世帯の家はあまりにも広すぎた。

そこで思いついたのが、また家族をやり直そう。

成人して早くに家を出てアパート住まいの子供も呼び寄せ、もう一度みんなで暮らそうと実家に引っ越し。

もちろん、この男も。


この男の存在が死にたくなるほど私を苦しめるとも知らずに。

未来の希望をなくしてしまい、子ども達も煙たがり。

何のために働いて、何故生きているのかすらわからないほどに私は追い込まれていく。


だって、私は気がついてしまったんだもの。

この男を愛していない。

この男は私からも、私の親からも。

そして子ども達からまでお金を絞り取るクズだと。


うつ病だからと、働きもしない、動画やゲームをして1日を過ごし、やる気がない、鬱々するそうで。

お酒をスナックに呑みに行くときは、元気良く仕事の話になると倒れた演出までする。


家族の財布からはお金を抜き、泥棒が入ったと警察まで呼ぶこの男。

自分の立場が危なくなると服薬自殺未遂までやってのける。

狂ってる。

私も。

死なないことに落胆した自分。

私ももう人じゃないのかもしれない。

憎くても他人の死を望むなんてあってはいけない。

でも出ていかないなら永遠の別れを望んでしまう。


綺麗事を言ってばかりはいられない。

生かしておいたら、私達は全てを奪われ死ぬまでお金を無心され。

この家も売り飛ばされるのは時間の問題。

この男ならやるだろう。

お金の為ならなんでもする。


嘘つきで、利用できるものはなんでもする。


実は私にも後ろめたい過去がある。