海堂尊の桜宮ワールド第四弾。


これまでの3作に引き続き、

「医療の現状に対する問題意識」、「死」

をテーマに、素人でもサスペンスとして楽しめるよう書かれている。

相変わらず

「登場人物のキャラクターの濃さ・深さ」が非常にうまい。

キャラクターの濃さをうまく使った問題提起の仕方も素晴らしい。


「医療の現状に対する問題意識」について

本作では、理想と現実について書かれていた。

「倫理」という理想と、「現場」という現実。

これは決して相容れない存在ではない。

ただ、どちらかを優先し過ぎると大きな問題に発展する。

バランスが大事なのだ。


海堂氏は理想を追求する沼田助教授と三船事務長というキャラクターと

現実をしっかり見つめている速水部長というキャラクターを

極端に振り切って作り上げることで、

「理想と現実」という問題に輪郭を与えている。


最後の三船事務長と速水部長の会話で、

佐藤新部長に「バランス」という役目を与えているのかなと考察した。


「死」について

最後の猫田師長の

「死後看護は、死をタブー視してきた医療現場ではおざなりに扱われてきた。

でも考えてみて。死んだ後まで看護してもらえると思って初めて、

人はよりよい人生を送ることができるのではないかしら。」

前作の「螺鈿迷宮」ほどではないが、

「死」を正面から見なければならないというメッセージを感じる。


海堂尊氏は社会に医療の問題を知ってもらうというモチベーションで

小説を精力的に書いているとういが、本当に尊敬できる。


私も何か問題意識を持つことが出来たら、

何かしらの方法で発信していきたい。