昨日の映画「ウォール・ストリート」の続きです。先入観を持たないために評判を調べずに映画を見たのですが、評価をみると、やはり家族愛部分が必要ない、との感想が多いみたいですね。



他にもツッコミどころ満載!



ジェイコブは失業した日にプロポーズしてYESの返事をもらうけど、インベストメントバンカーをしていた私の友人で、そんな人はいなかったし。失業した日に妻から離婚を切り出された人なら知っている!



そして、慈善パーティーの場面にチャーリー・シーンが出演。両手に美女を連れた彼は、「ブルースター・エアライン」は売って、今は見てのとおり悠々自適と明かします。結局、前作必死で守った、「古き良き善の象徴」的なメッセージは全否定ですか?



さらに!戸田奈津子さんの字幕が、残念!


マカロンのサンクチュアリ  ~ココロは東へ西へ~


一番ツッコミたかったのは、スイスに隠し資産として信託にしてあった「1億ドル」(90億円)。思わず、少なっ。と腰が抜けてしまいました。90億元手にファンド。笑ってしまった私のような人は、もしかしたら金融の世界に、既に毒されているのかもしれません。



2008年のリーマン・ショックを題材にした今回のストーリー。金融の人間なら毎日絶望の淵でマーケットを見ていましたよね。連邦政府がリーマンを救済するか否か、話し合いとなった場面も出てきます。



私が涙したのは、ニューヨーク連銀で開かれた金融機関のトップ同士が救済策を練るために集まって、「この国を社会主義にするつもりか。今までずっとそれと戦ってきたのに」と言うシーン。



当時米財務長官を務めたポールソンが回顧録で述べた、あの数日間の激動のやり取りを彷彿とさせます。(日本の銀行も救済に協力していますので、そのあたりも入れてほしかったな。)



この映画の正しい見方は、お金=悪ではないということ。億単位(日本オフィスでも有り得ます)の高額のボーナスが批判の的になりましたが、私にはそれがいけないことだとは思えません。投資の世界は能力のある人間とそうではない人間の差が顕著に出る傾向にあり、500億を稼げる人間に50億を支払うことは理に叶っていると考えられています。そのボーナスを支払えない会社では競争力が低下し、優秀な人材をキープすることはできないからです。



映画内で「リタイヤ(いわゆるアガリ)までにいくら貯める?」という話題が出てきますが、これは入社したその日からインベストメント・バンカーの間でよく話される事。そのあたりは現実味があって良かったのではと思います。



その意味で、ジェイコブが証券取引法に違反する「風説の流布」を働いたり、ゲッコーがマネーロンダリングするシーンにはがっかりしました。むしろ、ゲッコーが種銭をもとに正当な手段でアセットを11倍に増やす手腕を見せ場にするべきだったはずです。



野心とアイデアを持つ誰もが豊かな生活を送れるチャンスを持てるような世界に。それが資本主義の原点ではないでしょうか。モラルを持った「あるべき金融界の姿」に若者が憧れるような、映画にしてほしかったです。




明日も素敵な一日をお過ごしください。