昔、、、
と言うにはまだ早い何年か前の話。

好きな子がいた。
行きつけの店の飲み友達だった。
綺麗な子だった。
女優をめざしていた。
いつも有名になりたいと言っていた。
彼女は繊細な子だった。
仲間にはガラスのハートと呼ばれていた。
しかし僕は付き合いたいと思っていた。
仲間はみんな撃沈していた。
言い出せずにいた。
その頃の俺は、考えて考えて諦める理由を探すのが得意だった。

ある日、仲間同士で行きつけの店が閉まったあと他の店に飲みに行くことになった。
彼女は僕が誘うと付いてきた。
みんなで朝まで飲んだ。
楽しかった。

しばらくたってから仲間から連絡があった。
彼女が死んだと。
弔いをするから店に来いと言う。
店に行った。
彼女の写真の前に線香が立っていた。
綺麗だった。
なぜ死んだ?
仲間に聞いた。
事故だと言う。
どんな事故だ?
とにかく事故だとみんな言う。
詳しい事は誰も教えてくれない。
線香を焚いて駅まで帰る道中、仲間の1人に言われた。
彼女はひろちゃんの事好きだったんだよ。
何も言えなかった。
電車の中で泣いた。

数ヶ月後、自殺だったと知った。
また泣いた。
とても泣いた。

彼女に思いを伝えて付き合ってたらもっと彼女の話を聞けたかも知れない。
そうすれば彼女は死ななかったかも知れない。
ぐるぐるぐるぐる。
思いは巡る。
後悔した。
自分を責めた。

それから僕は思いはすぐに伝える事にした。
好きでも、ありがとうでも、ゴメンナサイでも。
みんなにそうしろとは言わないが、忘れないで欲しい。
あなたの大切な人が明日生きている保証はどこにも無いんだ。


昔、、、
と言うにはまだ早い何年か前の話だ。